司法試験予備試験とは?概要・試験科目・難易度のまとめ

弁護士や裁判官、検察官になるためには司法試験を突破する必要がありますが、司法試験を受験するには、「法科大学院の卒業」もしくは「司法試験予備試験の合格」のいずれかの条件を満たす必要があります。司法試験予備試験とは、金銭的な理由などで法科大学院に通えない方にとって、弁護士や裁判官などになるための唯一の手段として重宝されている試験制度です。この記事では、司法試験予備試験の概要や試験科目、難易度などについてわかりやすくお伝えします。司法試験予備試験の受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

1.司法試験予備試験の概要

司法試験予備試験(以下、司法予備試験)とは、法科大学院を卒業した者と同程度の知識を持っているかどうかを判定し、司法試験の受験資格を与えるために行われる国家試験です。2011年以前は、法科大学院を卒業することが司法試験の受験資格が与えられる唯一の条件であったため、経済的もしくは時間の都合により法科大学院に通えず、弁護士や裁判官になるのを諦める受験生も少なくありませんでした。

こうした状況を変えるために導入されたのが、予備試験制度です。法科大学院に通わなくても司法予備試験に合格すれば、法科大学院の修了者と同様に司法試験の受験資格を得られます。

司法予備試験の受験資格には制限がなく、受験料を支払えば誰でも受験できます。司法予備試験の受験料は、平成30年度時点で17,500円です。詳しい出願手続きに関しては、法務省のホームページにある司法試験予備試験の項目に掲載されています。詳細を確認したい方は、法務省のホームページをチェックしてみましょう。

2.司法予備試験の内容・スケジュール

司法予備試験は年一回実施されており、受験回数の制限は設けられていません。合格するまで何回でもチャンレジすることができます。

司法予備試験には、「短答式試験」「論文式試験」「口述試験」の3つがあります。短答式試験に合格した者のみが論文式試験の受験資格を得られ、次に論文式試験の合格者のみが口述試験の受験資格を得られ、口述試験に合格すると最終合格となり、司法試験の受験資格を得られます。

例年、短答式試験は5月下旬、論文式試験は7月上旬、口述試験は10月下旬にそれぞれ実施されます。平成31年度の司法予備試験は、短答式試験が5月19日(日)、論文式試験が7月14日(日)および15日(月)、口述試験が10月26日(土)および27日(日)の日程で実施されます。

試験の種類によって試験を受けられる場所が異なる点にも注意が必要です。短答式試験は札幌市や仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、福岡市などの地域で実施されます。一方、論文式試験は札幌市と東京市、大阪市、福岡市のみで実施されます。口述試験は東京都またはその周辺でのみ実施されます。受験する方にとっては現在の居住地から遠い場所が試験会場となる場合もあるため、仕事・学校などのスケジュールはあらかじめ調整しておく必要があります。

3.司法予備試験の試験科目

司法予備試験の試験科目について、試験の種類ごとに見ていきます。

3-1.短答式試験

マークシート方式で行われる短答式試験では、法律基本科目(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)と一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学、英語)が試験科目として出題されます。

法律基本科目については各30点満点、一般教養科目は60点満点となっており、合計で270点満点の試験です。短答式試験は、およそ6割の点数(160〜170点)が合格ラインとされています。

試験科目 配点
法律基本科目 憲法 30点
民法 30点
刑法 30点
商法 30点
民事訴訟法 30点
刑事訴訟法 30点
行政法 30点
一般教養科目 人文科学 60点
社会科学
自然科学
英語
270点

3-2.論文式試験

短答式試験とは異なり、論文式試験ではA4用紙4枚に解答を書く形式の試験となっています。論文式試験では、前述した法律基本科目(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)と一般教養科目に加えて、実務基礎科目(民事訴訟実務、刑事訴訟実務および法曹倫理)があります。

合計10科目・各科目50点満点で出題されているため、論文式試験は500点満点の試験です。合格点は明らかにされていませんが、短答式試験よりも試験科目数も問題も多いため、十分な試験傾向の分析と対策が必要です。

試験科目 配点
法律基本科目 憲法 50点
民法 50点
刑法 50点
商法 50点
民事訴訟法 50点
刑事訴訟法 50点
行政法 50点
一般教養科目 人文科学 50点
社会科学
自然科学
実務基礎科目 民事訴訟実務 50点
刑事訴訟実務および法曹倫理 50点
500点

3-3.口述試験

口述試験は、試験官にその場で出題されたことに対して答える形式の面接試験です。試験科目は、法律実務基礎科目(民事・刑事)の2科目となります。民事の試験科目は民事訴訟法、刑事の試験科目は刑刑事訴訟法および法曹倫理がそれぞれ試験の範囲となります。

法律実務基礎科目 民事訴訟実務
刑事訴訟実務および法曹倫理

4.司法予備試験の受験者・難易度・合格率

司法予備試験の受験者や難易度、合格率について見ていきます。

4-1.司法予備試験の受験者

司法予備試験の受験者数は、毎年若干の変動はありますが、およそ11,000人前後で推移しています。受験者で最も多いのは大学をすでに卒業した方、その次に多いのは現役の大学生となっています。受験者のなかには法科大学院に在学中(もしくは法科大学院を卒業した方)でありながら、司法予備試験を受験する方も少なくありません。

4-2.司法予備試験の難易度・合格率

司法予備試験の合格率は、短答式試験でおよそ20%強、論文式試験でおよそ20%弱、口述試験でおよそ95%程度となっています(平成30年度)。

口述試験こそ合格率は高いものの、短答式試験と論文式試験共に合格率2割程度と低く、受験者数に占める最終的な合格者数で見ると、合格率は3.9%と国家資格のなかでも最難関の1つに挙げられます。さらに試験科目が多く・試験範囲も非常に広い点や知識の応用を要する論述試験が課されることも踏まえると、数字以上に司法予備試験の難易度は高いと言えるでしょう。

ただし、予備試験自体の難易度は高いものの、本番の司法試験合格率では、法科大学院の卒業者が20%前後であるのに対し、予備試験合格者は70%を超える状況になっています。

5.まとめ

司法予備試験は、法科大学院に通えない方が法曹を目指す唯一の道でありながらも難易度が高い国家試験です。短答式・論文式・口述試験と、三つの試験を受けなくてはいけない上に、各試験の科目も多いため、完全に独学で突破するのは非常に困難と言えるでしょう。司法予備試験を受験する際には、早い段階から予備校や通信講座を利用するなど、効率的かつ着実に勉強を積み重ねていくことが大切です。

なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、短答式試験の合格発表後に論文式試験の対策を進めても間に合わないという現実を踏まえ、短答式試験と論文式試験を併せて対策し、合格力をつけることができる「司法試験予備試験対策講座」を開講しています。
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