司法書士試験「憲法」の概要・勉強法・対策まとめ

司法書士試験における「憲法」はわずか3問しか出題されないため、他の主要な科目と比べると重要度が低く、対策も後回しにされる傾向にあります。しかし、合格率3%前後の司法書士試験を突破するためには、出題数の少ない科目をいかに効率よく学習できるかが合否に影響してきます。そこで、今回は司法書士試験の「憲法」の内容や出題傾向、対策する重要性を確認し、勉強法や対策を詳しく解説していきます。効率的な勉強方法を知りたい方は、参考にしてみてください。

1.司法書士試験「憲法」の概要・出題傾向

「憲法」は国を統治する基本原理やその組織・権限について定めた決まり(=最高法規)です。民法や刑法などの法律とは根本的に考え方が異なり、国民の自由や権利を守るために「やらなければならないこと」や「やってはならないこと」などを抽象的に定めています。他の法律と比べてややイメージしにくい印象があるため、対策もおろそかにならないよう注意する必要があります。

1-1.「憲法」の概要

「憲法」の試験科目は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の三大原則および統治機構に関する内容から主に構成されています。ただし、国民主権(前文と第1条のみ)と平和主義(前文と第9条のみ)についての条文自体が少ないため、「基本的人権の尊重」と「統治機構」に関する規定が出題の大部分を占めます。

基本的人権の尊重

基本的人権は、人が生まれながらに持っている人間らしく生活するための権利で、何者にも侵害されることのない永久に保障される権利です。第10条〜第40条までが基本的人権の尊重に関する規定で、性別や国籍、人種などにより差別されない平等権や、身体の自由や表現の自由などを保障する自由権などから構成されています。司法書士試験においては「人権」と呼ばれることのある分野です。

統治機構

統治機構とは、国が国民を統治するための仕組みや制度を定めた規定です。「憲法」では一極に権力が集中しないよう統治機構を立法(国会)と行政(内閣や地方自治体など)、司法(裁判所)に分ける三権分立が定められています。第41条から第95条までが統治機構に関する規定で、国会、内閣、司法、財政、地方自治の各章から構成されています。

上記以外に、憲法改正に関する規定(第96条)や憲法が国の最高法規であることの規定(第97条から第99条)もあります。

1-2.「憲法」の出題傾向

司法書士試験では、午前の部の多肢択一式試験で「憲法」から3問出題されます。近年の傾向では、「基本的人権の尊重」から1問、「統治機構」の分野から1問が必ず出題され、残る1問もどちらかの分野からの出題です。直近の平成31年度本試験では、下記3問が出題されています。

  • 基本的人権について判例の趣旨を問う問題(正しいものの組み合わせを選択して解答)
  • 統治機構について判例の趣旨を問う問題(正しいものの組み合わせを選択して解答)
  • 統治機構の条文について知識を問う問題(誤っている組み合わせを選択して解答)

出題形式は平成31年度のように正しいものの組み合わせを選ぶ形式のほかに、穴埋め形式での出題や正しいものの数を選ぶ形式で出題されています。

司法書士試験の「憲法」は、条文知識を問う内容から踏み込んだ判例内容を問うものまであるため、条文の暗記だけでは対応するのが難しいでしょう。しかし、毎年のように出題されている条文に関する知識問題と判例の問題については、しっかりと対策することで解答できるレベルとなります。

2.「憲法」の勉強法・対策

司法書士の試験において、「憲法」は出題数こそ少ないものの合否に直結する科目です。その理由は司法書士試験の配点と合格点にあります。以下の表は多肢択一式試験の午前と午後の部の試験科目と出題数、配点をまとめたものです。

科目(午前の部) 出題数 配点
憲法 3問 9点
民法 20問 60点
刑法 3問 9点
商法(会社法) 9問 27点
科目(午後の部) 出題数 配点
民事訴訟法 5問 15点
民事保全法 1問 3点
民事執行法 1問 3点
司法書士法 1問 3点
供託法 1問 3点
不動産登記法 16問 48点
商業登記法 6問 18点

表を見ると分かる通り、民法と商法、不動産登記法、商業登記法の出題割合が大きく、総問題数70問中53問、総得点210点のうち159点を占めています。そのため、数字だけ見れば出題割合の低い「憲法」は対策しなくても大丈夫と考える方もいます。

2-1.「憲法」の対策が合否のカギを握る理由

司法書士試験の基準点と合格点を見てみると、多肢択一式試験の基準点をクリアするために必要な過去5年の平均点は、午前の部と午後の部の平均点を足した79.2+72.0=151.2点となります。そのため、この基準点をクリアするには、出題数の多い4科目の対策だけでほぼ満点を取らなければならないことになります。

なお、合格するためには多肢択一式と記述式の両方で基準点をクリアした上にさらなる点数の上積みが必要になります。全体の平均点が高い場合、基準点も高くなる可能性もあります。特に、多肢択一式試験は70%を超える正答率が必要となるので、「憲法」などの出題数の少ない科目が合否のカギを握ることになり、その他出題数の少ない科目でもまんべんなく得点できるような対策が必要になります。

※基準点とは、多肢択一式試験の午前の部と午後の部または記述式試験のいずれかがこの点を下回ると不合格になる足切り点です。

2-2.勉強法と対策

司法書士試験の「憲法」は条文の丸暗記だけでは対応が難しい科目です。そのため、条文の趣旨や背景なども含めた理解が必要となります。特に毎年のように出題されている「統治機構」については抽象的な表現も多く、理解しづらい内容となっているのが特徴です。ただし、単純な条文知識を問う形式に対応するためには、最低限の暗記は必要になります。

また、判例問題については何が裁判の争点となり、どのような理由で判決が下されたのかを理解することが重要です。最低限、他の受験者が正解できるレベルの問題は解けるように準備しておく必要があります。

なお、「憲法」科目の対策の必要性はこれまで説明した通りですが、あまり時間をかけ過ぎて他の科目の学習がおろそかにならないよう注意することも大切です。配点の多い4科目の学習には時間を多く割り当てる必要があるため、配分の少ない「憲法」などの科目はいかに効率よく学習するかがポイントになります。

例えば参考書などを利用して、条文や判例の理解と問題演習を行うのも良いですが、より効率性を求めるのであれば予備校や資格スクールの対策講座等がおすすめです。出題傾向などの分析によるポイントがまとめられたテキストを利用できる上、問題演習をこなせるのは大きなメリットとなります。また、分からない箇所は質問できるので、より短時間で学習を進めることができます。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。司法書士試験の「憲法」について概要や勉強法、対策などを説明しました。司法書士試験の「憲法」は出題数が少ないものの、合格にするには対策が必要になる科目です。他の配点が多い科目により時間を割けるように効率的に学習することもポイントになります。予備校や通信講座を利用するなど、ご自身に最も合った勉強法を検討した上で、効率良く学習を進めましょう。

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