中小企業診断士の第1次試験とは?概要・内容まとめ

中小企業診断士はおもに中小企業の経営問題に対してアドバイスや助言をする専門家です。ビジネスパーソンに根強い人気のある国家資格であり、毎年1万5千人前後の方が受験しています。なお、合格率は1次試験、2次試験ともに20%前後と低いため、最終合格を目指すためには効率的な対策が必要になります。今回は、中小企業診断士の特徴や、第1次試験の内容および難易度について詳しく解説します。中小企業診断士資格の取得を検討されている方は参考にしてみてください。

1.中小企業診断士とは?

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するために経営診断や助言を行うプロのコンサルタントです。相談を受けた中小企業の課題をあぶり出し、企業の成長戦略を策定するだけでなく、実現に向けたアドバイスなども行います。最近では、中小企業と行政や金融機関を結ぶパイプ役としても求められ、補助金や助成金などの公的支援を活用するためのバックアップとしての役割も担っています。

中小企業診断士の資格を保有していると、企業コンサルタントとして独立・開業できるのが大きなメリットです。また、最近は幅広い経営知識を有する企業内診断士の需要が高まっているため、独立・開業しない場合でも企業の一員として経営を支える企業内診断士として活躍することも可能です。

中小企業診断士になるためには、中小企業診断協会(J-SMECA)が実施している中小企業診断士試験に合格する必要があります。試験は年に1回行われ、マークシート方式で行われる第1次試験(8月)、筆記試験と口述試験で行われる第2次試験(10月)に合格すると15日間程度の実務補修または実務従事を経て、中小企業診断士として登録できるようになります。

2.第1次試験の内容・難易度

中小企業診断士の第1次試験では7科目の試験が2日間にわたって実施されます。出題はマークシート方式で行われ、1科目あたりの試験時間は60分または90分です。令和元年度に行われた中小企業診断士試験は以下のような時間割で行われました。

試験時間 配点 試験科目
1日目 9:50~10:50(60分) 100点 経済学・経済政策
11:30~12:30(60分) 100点 財務・会計
13:30~15:00(90分) 100点 企業経営理論
15:40~17:10(90分) 100点 運営管理(オペレーション・マネジメント)
2日目 9:50~10:50(60分) 100点 経営法務
11:30~12:30(60分) 100点 経営情報システム
13:30~15:00(90分) 100点 中小企業経営・中小企業政策

(出典:中小企業診断協会)

中小企業診断士第1次試験の難易度については、例年20%前後と難易度の高い試験になっています。ビジネスパーソンに人気のある資格なので働きながら受験する方が多いのも特徴です。なお、科目合格制度などもあるため、他の資格試験と単純に比較するのは難しいですが、働きながらでも約20%の合格率であることを考えると、しっかりと試験対策をすれば結果がついてくる試験とも言えます。

ここからは、第1次試験のそれぞれの科目についてその内容を確認します。

2-1.【1日目】経済学・経済政策

経済学・経済政策では会社経営やコンサルティングに必要な経済の知識などが問われます。ミクロ経済学やマクロ経済学と呼ばれる学問分野からの出題が中心で、経済学の主要な理論や経済政策について問われる科目です。

ミクロ経済学

企業の生産活動や家計の消費活動などの分析が中心となり、需要供給曲線などの市場のメカニズムに関する問題なども出題されます。

マクロ経済学

ミクロ経済学よりも大きな視点から見た国の経済活動などの分析が中心となり、財政政策や金融政策、各種経済指標などに関する問題が出題されます。

2-2.【1日目】財務・会計

財務・会計では、財務諸表などから企業の経営成績や財政状態を正確に読み取る力が問われます。中小企業の診断や助言を行うためには、財務諸表の数字から危険性や今後の可能性を見抜く力も必要となるため、財務会計の基礎から管理会計まで幅広い知識が問われる科目となっています。また、計算問題も多く、暗記だけでは対応することが難しいのも特徴です。応用力が問われる問題なども出題されています。

財務会計

簿記の基礎から貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成、経営分析指標などについて問われます。

管理会計

原価計算に基づく損益分岐点の計算など企業の意思決定や利益計画の策定につながるような内容が問われます。また、ファイナンスに関する問題も出題されています。

2-3.【1日目】企業経営理論

企業経営理論では、企業経営に関する幅広い知識が問われます。お金や人材といった経営資源に関する経営戦略論や組織論だけでなく、経営戦略を効率的に遂行するためのマーケティング論などの知識も問われる科目となります。

経営戦略論

お金という経営資源の選択活用が求められるため、経営計画や企業戦略、成長戦略、競争戦略、国際経営などの問題が出題されます。

組織論

組織経営の形態や構造、組織運営、人的資源の管理などの人材に関する問題が中心です。

マーケティング論

経営戦略を実行するための市場調査や消費者行動、製品計画、価格計画などに関する問題が出題されます。

2-4.【1日目】運営管理

運営管理では、企業の現状に即した的確な診断やアドバイスを行うために必要な知識が問われます。具体的には、製造業などの製造工程や品質管理などに関する生産管理と販売や、流通などを中心とした店舗管理といった内容です。

生産管理

生産の管理や生産のオペレーションについて問われ、生産の効率化から設備の配置方法、在庫管理の手法なども出題されます。

店舗管理

商店街や個別店舗に関する知識や、商品仕入や販売に関するマーチャンダイジングなどの問題が出題されます。

2-5.【2日目】経営法務

経営法務はビジネスに関する法律知識が問われる科目です。会社の創業期から通常業務に関わる民法や会社法、知的財産に関する法律や、上場などの成長ステージに必要となる金融商品取引法、さらには廃業に関する倒産関連の民事再生法などの会社に関わる法律知識が問われます。主な出題範囲は以下の通りです。

  • 会社設立から倒産に関する法律知識
  • 取引関係に関わる法務知識
  • 企業活動に関わる法務知識
  • 資本市場へのアクセスや各種手続き

2-6.【2日目】経営情報システム

経営情報システムは、ITの普及により会社の経営上必要となった情報通信技術に関する基礎知識が問われる科目です。また、これに伴い膨大な情報が集約管理される状態となっているため、経営情報の管理に関する知識も問われます。

情報通信技術に関する基礎知識

情報処理の基礎からデータベース、ファイルに関する知識について出題されます。また、通信システムやシステムの性能などに関する知識も出題範囲です。

経営情報の管理

経営戦略と情報システムの関連性や、情報システムの開発や運用管理などに関して出題されます。

2-7.【2日目】中小企業経営・中小企業政策

中小企業経営・中小企業政策では、中小企業が抱える様々な課題などを通して現状を正確に理解するための知識が問われます。また、その課題に対して国などが実施している支援策についての知識も必要となる科目です。中小企業庁が公表している中小企業白書から問題が多く出題されています。

中小企業経営

自己資本充実や創業促進、経営促進、経営基盤の強化などの中小企業が抱える課題について問われます。また、経済や産業における中小企業の役割や位置づけなどに関する問題も出題されています。

中小企業政策

中小企業に関する法律や規則、中小企業庁などが行う施策に関する問題なども出題されます。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。中小企業診断士の資格と第1次試験の内容をご紹介しました。中小企業診断士は企業経営のプロとして活躍の場を広げている資格で、働きながらキャリアアップも目指すことができます。合格率は20%程度と難しい試験ですが、試験傾向と頻出問題を効率的に押さえれば、働きながらでも一発合格を狙うことも可能です。独学で挑むのが苦手な場合は、通信講座や資格スクールを活用することでモチベーションを高く維持しながら学習することができます。中小企業診断士に興味を持った方は、自分にあった学習スタイルを検討してみてください。

なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、中小企業診断士講座を用意しています。大栄の中小企業診断士講座は、中小企業診断士資格の他にもビジネスに役立つ複数の資格を取得できるカリキュラムとなっており、忙しい社会人の方でも効率的にキャリアアップを目指せる講座です。

大栄の中小企業診断士講座に興味がある方は、ぜひ一度資料請求や無料体験をお申し込みください。

【詳細ページ】資格スクール大栄の中小企業診断士講座の詳細を見る