宅建士試験の難易度とは?民法改正が試験に影響するので注意が必要!

宅建士(宅地建物取引士)資格は不動産業だけでなく、金融機関や一般企業などでも重宝されています。宅建士になるための試験は毎年10月に実施されており、20万人前後が受験する人気の国家資格試験です。この記事では、宅建士試験について試験科目と内容、難易度、民法改正の試験への影響などを詳しく解説します。宅建士を目指している方はぜひ参考にしてみてください。

1.宅建士の試験科目と内容

宅建士試験は国土交通大臣の指定を受けた一般財団法人不動産適正取引推進機構が年1回実施しています。他の国家資格のように明確な試験科目は定められていませんが、試験の基準および内容は次の通りです。

主な出題内容 問題数
宅建業法 20問
権利関係(民法、借地借家法など) 14問
法令上の制限(国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、農地法など) 8問
その他、税金など不動産に関係する問題 8問

出題は全50問で、試験時間は2時間です。なお、公式では試験科目の内容を次の7項目に分けています。

土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること

主に宅地としての土地や建物の形質や構造に関する問題が出題されます。

土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること

民法や不動産登記法、借地借家法、建物区分所有法などの法令に関する問題が出題されます。不動産売買における契約など、民法に関する出題が主となり「権利関係」と呼ばれる分野です。

土地及び建物についての法令上の制限に関すること

都市計画法や建築基準法、農地法、国土利用計画法、土地区画整理法などの街づくりや家づくりに関する法令の問題が出題されます。

宅地及び建物についての税に関する法令に関すること

不動産取得税や固定資産税、印紙税、登録免許税、所得税などの不動産取引に関連のある税金に関する法令の問題が出題されます。

宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること

不動産の需供や統計に関する実務問題が出題されます。関連法令は住宅金融支援機構法や不当景品類及び不当表示防止法等です。

宅地及び建物の価格の評定に関すること

地価公示法や不動産を鑑定評価に用いる統一基準である不動産鑑定評価基準に関する問題が出題されます。

宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること

宅建士試験の重要分野である宅地建物取引業法や同施行法等に関する問題が出題されます。試験に占める出題分量も多く、宅建士試験を受験する際に最重要となる分野です。

2.宅建士試験の難易度は?

宅建士試験の難易度を確認する前に、まずは過去10年間の宅建士試験実施概況を確認してみましょう。

宅建士資格試験過去10年度分データ

宅建士試験は毎年20万人前後の方が受験しており、合格率は16%前後です。受験者数はここ5年ほど増加傾向にあり、平成30年度は21万人を超える方が受験しています。また、合格者は毎年3万人前後で年度ごとの合格率増減は比較的少ないと言えます。

単純に合格率だけを比較すると、同じ士業関連の国家資格である社労士試験(合格率約6%)や行政書士試験(合格率約10%)よりも難易度は低いと考えることもできます。合格に必要な勉強時間はおよそ200~300時間と言われ、社労士や行政書士試験とは出題される法令の範囲や出題形式なども異なるため、合格率は高くなりますが、近年の宅建士試験は難化傾向にあります。過去問を中心としたポイントをきちんと押さえた対策を実践できなければ、1回での合格は難しいでしょう。100人受験して16人前後しか合格しない難関試験だと認識して、しっかりと試験対策を行うことが重要になります。

3.民法改正が試験に与える影響

2020年4月から改正民法が施行される予定ですが、宅建士試験にも大きな影響が予想されています。民法の改正内容と試験への影響について確認してみましょう。

3-1.民法の改正内容

2020年4月から施行される民法は120年ぶりの大改正が行われています。最も大きな改正点は、民法制定以来ほとんど見直されることのなかった債権法に関する内容です。債権法とは、契約等に関する最も基本的なルールを定めた部分で、現在の社会経済に対応した法律へ改正するとともに、裁判の判例などをもとに実務で運用されている事項を明文化するために見直しが行われます。宅建士試験に関係する改正の一部について内容を確認してみましょう。

保証人の保護に関する改正

一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を「根保証契約」と言い、限度額の定めのない個人の根保証契約は改正後の民法では無効となります。住宅等の賃貸借契約に関わる保証人契約が「根保証契約」に該当することもありますが、保証人が支払う限度額に上限を設けなければ保証契約自体が無効です。

賃貸借契約に関するルールの見直し

賃貸借契約とは賃借人が賃貸人へ賃料を支払って物や不動産などを借りる契約です。賃貸借契約について以下のような改正が行われました。

  • 賃借物の修繕に関する要件の見直し
  • 賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
  • 賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化
  • 敷金に関するルールの明確化

特に大きな改正点は賃借人の原状回復義務や敷金に関するルールが明確化された点です。今回の改正により、「通常損耗や経年変化による損傷や損耗は賃借人に原状回復義務がないこと」「敷金の名目で賃貸人が預かった金銭は賃貸借契約の終了後に返還する義務が生じること」が明記されました。

売買契約に関するルールの見直し

改正民法では、売買の目的物が契約内容と異なっている場合、「売主に対して契約の解除や完全な契約履行を求めること」「代金の減額請求ができること」が明記されました。どこまで売主に対して請求できるかは、契約の内容と異なった責任が売主と買主のどちらにあるかによって決まります。

3-2.試験への影響

宅建士試験では実施される年度の4月1日時点の法令が適用されます。2020年4月1日から改正民法が施行されるため、2020年10月に実施される試験では改正後の民法で出題されますので、民法の改正内容についても対策が必要です。

基本的に、宅建士試験は基本事項と過去問を重点的に学習する方法が合格への近道と言われていますが、民法改正後は新しい改正論点についても時間をかけて学習する必要があります。特に、過去問で出題されている内容を新しい論点に置き換えた問題などが出題される可能性もあるため、改正前に比べると改正論点に重点をおいた学習が必要です。過去に宅建士試験を受験された方で再受験を考えている方は、民法の改正が行われる前の2019年度に受験すると過去の学習内容を活かすことができ、改正論点の学習も不要になります。2020年度以降の宅建士試験を受ける方は民法改正による大きな影響に注意してください。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。宅建士試験は同じ士業である社労士や行政書士よりも合格しやすい試験ですが、ポイントを押さえた対策と質の高い学習時間の確保が必須の試験といえるでしょう。試験内容などに対する正しい情報を収集して効率的な学習を心がけることが合格への近道となります。また、2020年10月実施の試験から改正民法の対策にも注意が必要です。今後、宅建士試験の受験を検討している方は、最新情報が手に入り、試験対策がしやすい資格スクールを活用するなどして、効率よく合格を目指しましょう。

資格スクールの大栄では、重点的な過去問対策だけではなく、改正論点についても徹底分析し、出題が予想される問題にいち早く対応することが可能です。勉強方法で悩んでいる方は、効率良く短時間で合格を掴める資格スクール大栄の宅建士講座をぜひ検討してみてください。

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