中小企業の経営に関する資格の一つに中小企業診断士という国家資格があります。国が認める経営コンサルタントとしてビジネスマンを中心に人気があり、毎年約1万4000人の受験者がチャレンジしています。
仕事や就職・転職で有利になるうえ独立・開業もできるため、働き方の多様性が求められる今、注目度がますます高まっています。
そこで今回は中小企業診断士の仕事内容や年収とともに、資格取得で期待されるメリットをご紹介します。
- 1.中小企業診断士とは
- 2.中小企業診断士資格を取得する4つのメリット
- 3.まとめ
1. 中小企業診断士とは
中小企業診断士は中小企業の経営に関する診断・助言を行う専門家として、経済産業大臣が登録する国家資格です。おもに公的支援事業や民間の経営コンサルティング事業に従事します。
1-1 中小企業診断士の資格取得
中小企業診断士になるには、中小企業診断協会が実施する第1次試験(8月)に合格と、その後の第2次試験(10月、12月)の合格に加えて、実務補修の修了(または診断実務の従事)もしくは養成課程の修了が必要となります。
1-2 中小企業診断士の仕事内容
中小企業診断士の仕事内容は「経営の診断及び経営に関する助言」「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」など、主に業務改善への支援・指導がとなっています。
- 経営戦略や経営計画の立案
- 各種業務の改善(営業強化、人材育成、マネジメント体制の確立、財政再建、生産改善等)
- 行政や金融機関等との仲介役
- 中小企業施策の活用支援
1-3 中小企業診断士の年収
中小企業診断士は独立した経営コンサルタント等である「独立診断士」と、法人などに勤務する会社員等の資格保有者である「企業内診断士」に大きく分かれ、年収もそれぞれ異なります。
平成28年4月に中小企業診断協会が実施した独立診断士へのアンケート調査によると、業務全体の合計日数が100日以上ある独立診断士の年収は下記の通りとなっています。
- 401~500万円未満:10.0%
- 501~800万円未満:19.9%
- 801~1,000万円未満:14.9%
- 1,001~1,500万円未満:18.8%
- 1,501~2,000万円未満:9.1%
- 2,001~2,500万円未満:3.6%
- 2,501~3,000万円未満:2.2%
- 3,000万円以上:4.3%
稼働日数が年間100日を超える独立診断士の6割近くが年収が約800万円以上となっていることがわかります(データでみる中小企業診断士2016年度版 |J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト])。
一方、企業内診断士の年収は各企業、従事する業務や役職などによって異なるため、具体的な数字を示すことは難しいですが、会社から資格手当が出るケースもあるなど他の会社員よりも年収が多くなる傾向があります。
1-4 中小企業診断士はこういう人におすすめ
中小企業診断士は企業の経営に関わる方、ビジネスに従事する者や就職・転職を考えている方などにおすすめの資格です。
中小企業診断士試験では「ヒト、モノ、カネ、情報」の経営資源をはじめ、企業経営に関する広範囲の知識と企業を支援する能力が求められるため、資格を取得する過程でそれらの知識を身に付けることができます。
これらの知識は経営支援以外にもさまざまな職種や業務に役立つものです。そのため、「会社の経営状況を改善したい」「会社での評価を上げたい」「就職・転職で有利になりたい」「将来独立したい」などと考えている方に適した資格と言えるでしょう。
2. 中小企業診断士資格を取得する4つのメリット
中小企業診断士資格で得られる代表的なメリットは以下の4つです。
2-1 企業経営に関する知識が身に付く
中小企業診断士の第1次試験では、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」に関する知識が問われます。
そのため資格を取得する過程で、さまざまな業種や業務に役立つ必要な知識を得ることができます。
2-2 キャリアアップにつながる
中小企業診断士は、「営業」「財務」「製造」「人事」「情報システム」「法務」といった業務に関する知識を有するため、戦略・計画の立案や業務改善などの能力もあるためキャリアアップに役立ちます。
中小企業診断士の知識・能力を活かして経営課題の解決等に取り組むことで、社員としての評価は高まり、上位の役職や重要なプロジェクトの責任者等に登用されることも期待できるでしょう。
2-3 就職・転職に有利になる
中小企業診断士は企業経営に関わる幅広い知識を持ち、経営サポートが可能なプロフェッショナルとして評価されることで、就職・転職で有利になるケースも少なくありません。
中小企業診断士資格を採用条件もしくは「望ましい」とする求人の募集は、経営コンサルティング会社や一般企業の経営企画部門などで多く見られます。また、商工会議所等の公的機関や金融機関の経営支援部門などの求人でも同様の募集は見受けられます。
上記の職種以外で中小企業診断士の資格がどのように評価されるかは各企業によって異なりますが、中小企業診断士が難関試験(1次試験と2次試験トータルの合格率が約4%)であることから、資格の保有そのものが評価されることもあります。
2-4 独立・開業も可能
中小企業診断士資格を取得することで、経営コンサルタントとして開業するキャリアも目指しやすくなります。
実際に、中小企業診断士を取得して経営コンサルティング会社に勤務しながら実務を重ね、その経験をもとに独立する方は多くいます。その他にも一般企業に勤めながら中小企業診断協会に入会し、経営支援の実務経験や人脈を広げ、機会を待って独立開業するという方法もあります。実務に従事する機会が増えることで、独立・開業への道も開かれるわけです。
3. まとめ
いかがでしたでしょうか?経営に関する幅広い知識と企業への支援能力を持つ中小企業診断士は、経営者の参謀役や相談相手のほか、企業内では各職場でのリーダーとして認識される存在になりえます。特にキャリアアップや独立開業を目指しているビジネスマンの方は、中小企業診断士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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