人生100年時代を見据え、自らのキャリア形成はどうあるべきかが問われています。この記事では、短いスパンでさまざまな環境が変化する現代にあって、ビジネスパーソンに求められるキャリアについて、その構成要素を考察してみます。キャリア形成で悩んでいる方、キャリア形成のために必要な要素を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
1.キャリアを作る5つの要素
「キャリアを作りあげる」とは、自らのプランニング(=計画作り)を元にいくつものプロセスを歩む行為と言えます。しかしプランニング自体が曖昧ではキャリア形成につまずいてしまう結果になりかねません。
キャリアプランニングで最初に行うのが、「自己分析」です。自分には何ができて何ができないのか、を分析し、キャリア形成のために自分が備えている経験・知識などの資産状況を把握・評価することから始めます。これを「知的資産の棚卸し」と呼びます。その上で「今後どうなりたいのか」「目的を達成するためには何が必要になるか」を考えることが大切です。
キャリアを形成する要素としては次の5つが挙げられます。
- 業務遂行能力・資産
- 自分の行動・思考特性
- マインド・価値観
- 身体の健康
- 環境(雇用環境・景気状況・社会状況)
それぞれ見ていきましょう。
1-1.業務遂行能力・資産
日々の業務を遂行するためには、自分が持っている知識、資格、技術、人脈といったあらゆる能力を動員しますが、対処すべき課題によってこれらの能力の組み合わせと各要素の割合は変化します。仮に、持っている能力の組み合わせでは対処できない課題に直面した場合は、知的資産のレベルが求められる水準に達していないということになります。どのレベルの課題にまで対処できるかを知るには、自分の持つ資産価値を客観的に評価し、把握することが必要です。
また、スキルを伸ばそうと思ったとき、とりわけ不得意・苦手分野のスキルを伸ばそうと思ったときに重要なのは、他人と比較するのではなく、オンリーワンを目指すという目標設定をすることです。将来へ向けて自分にしかない価値(スキル)、つまり他人とは異なる価値を見出すことが大切です。自身の価値が希少で真似することが困難なものであれば、競争優位性が生まれ、職務遂行能力の拡大に結び付きます。これが「知的資産の棚卸し」の目的です。
1-2.自分の行動・思考特性
人にはそれぞれの行動に特有の傾向や志向といったものが見られます。行動・思考特性は、知識や資格、技術といった業務遂行能力を発揮するために必要な要素の一つです。知識や技術をハードとすれば、行動特性、思考特性はそれらを活かすためのソフトウエアと例えることができます。そして、自分の能力だけでなく、チーム力を最大化するために必要な要素でもあります。
役割に応じた行動特性・思考特性を備えていることが、組織内で高い評価を得ることができる「強み」となります。柔軟に考え行動できる能力は、ビジネスパーソンとしての自らの価値を高めるために必要不可欠であり、仕事に対してプロフェッショナルであろうとする意志が強いほど向上していきます。
1-3.マインド・価値観
キャリア形成において、土台ともいえる要素が「マインド・価値観」と言われる領域です。これまで積み上げてきた経験や、人・社会との関わり方などを含め、今までの人生で醸成してきた社会人としてのコアの部分です。マインド・価値観は、「自分は仕事にどう向き合うべきか」「どのような価値を提供できるのか」「そのためには自分の技量・人脈をどう生かすべきか」という方向性を決定づける重要な役割を担っています。すべてを良い方法に導くこともできれば、視野の狭さから方向性を誤り、ステークホルダー(利害関係者)に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
このようにマインド・価値観は、キャリアを形成する上で重要な要素であるからこそ、プロとしてどうあるべきかを念頭に磨き続けることが求められます。自分磨きの方法は「学び直す」「パラレルキャリアを築く」などいくつもあります。常日頃から自己研鑽に励む姿勢が大切です。
1-4.身体の健康
人生100年時代を意識してキャリア形成に注目が集まっていますが、その資本は心身の健康にあります。自分を磨き上げ、人材市場で争奪戦が起こるほどのキャリアを築くことができても、寿命が短ければ本末転倒です。キャリアプランニングの前にライフプランニングの作成も重要です。人生100年時代のキャリアをどう形成するかを考える前に、資本となる身体の健康を維持・強化する方法も模索しなければなりません。
特に、ミドル層(30代中盤〜40代後半)の域に入れば、社会的責任が重くのしかかり、身体・精神共に不安定になりやすく事故や病気を招くこともあります。健康問題で最も注意が必要と言われる生活習慣病の予防・ストレス発散などは、キャリア形成を図る上では重要な要件と言えます。
1-5.環境(雇用環境・景気状況・社会状況)
キャリア形成をスムーズに進めるためには、企業とビジネスパーソンを取り巻く環境の変化に留意することも重要です。例えば国内経済の情勢を見ると、名目GDP9%成長(47兆円増加)、ベースアップ(賃金上昇)4年連続実現、有効求人倍率47都道府県全てで1倍超、正規雇用26カ月連続前年越え、と良い面もあれば、個人消費や企業の設備投資は依然として弱含みであり、民需の活力増大がなければ景気拡大の実は上がらないという課題も残っています。
また政府は一億総活躍社会を掲げていますが、少子高齢化や人手不足、社会保障費の増大など、問題も山積みです。今後は、外国人労働者の雇用急増や消費増税の実施によってどのような影響を受けるのか、社会がどのように変化するのかなどを予測できる感性を磨くことも重要です。
2.キャリアを作るとは
自分のあり方を定める方法として次の3要素から導くことができます。
- 過去から積み上げてきたもの(=業務遂行能力)
- 現在(=健康・行動思考特性・マインド価値観・自分取り巻く環境)
- 未来(=目標・夢)
過去に積み上げてきた業務遂行能力のたな卸しによって知的資産の質と量を把握し、自身を取り巻く環境の変化を押さえ、キャリア形成上大きなポイントとなる「マインド・価値観」、自分の「人間力」を高めることが大切です。
人生100年時代を生きるための長い就労期間に、自らの夢を描き、実りのある人生とするためのキャリアを作るには、現在の自分の能力を少し超えたところに目標を置き、新しい道を拓くことが必要です。そして、企業での成功、転職、起業・独立といった多様な選択肢の中から自ら決定するものです。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に、社会人を形づくるマインドのあり様が示された興味深い言葉をご紹介します。現星稜高校野球部名誉監督である山下智茂氏が、高校時代の教え子で国民栄誉賞を受賞した元プロ野球選手の松井秀喜氏に送った言葉で、松井氏の著書に限らず様々な雑誌や書籍で紹介されています。
「心が変われば行動が変わる」
「行動が変われば習慣が変わる」
「習慣が変われば人格が変わる」
「人格が変われば運命が変わる」
ぜひこの記事や言葉を参考に、有意義なキャリア形成について一度考えてみてください。
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