調剤事務管理士は、病院外にある調剤薬局で仕事をする際、処方箋をもとに調剤報酬を計算する業務など、求められる専門性が高く、景気に経営状態が左右されづらい病院や調剤薬局で重宝されるため、安定的な就業先を長く確保できるということで、今注目されている人気の資格です。
今回は調剤事務管理士の資格について、仕事や試験内容、試験に合格するためのおすすめの勉強方法について詳しくご紹介します。就職や転職の際にとても役立つ資格の一つですので、調剤薬局の事務職員として働きたいという方はぜひ参考にしてください。
1.調剤事務管理士の仕事とは?
調剤事務管理士は病院の薬剤部や院外の調剤薬局での事務全般を担当しますが、具体的には次のような職務内容となります。
- 薬剤師のサポート
- 医師が交付した処方箋の受付や会計
- 保険請求分のレセプト作成
1-1.薬剤師のサポート
厚生労働省が本格的に医薬分業の施策を推し進めた1997年以降、院外処方(薬剤を保険調剤薬局などで受け取ること)が圧倒的に増えました。それに伴い、日々多忙になる薬剤師をサポートするのが調剤事務管理士の重要な仕事の一つです。
1-2.医師が交付した処方箋の受付や会計
調剤薬局を訪れた患者の受付や保険証の確認、お薬手帳の作成などを行います。その後は、薬の処方が終わった患者の調剤報酬を計算し、患者の一部負担額を支払ってもらい、領収書を発行します。
1-3.保険請求分のレセプト作成
月初めの1週間ほどで患者一人ずつの1か月分の調剤報酬明細書(レセプト)を作成し、健康保険組合などの保険者に調剤報酬を請求する業務を行います。
2.調剤事務管理士試験とは?
調剤事務管理士試験は調剤事務管理士の資格を得るための試験で、正式には調剤事務管理士技能認定試験といいます。医療事務の技能認定を行う技能認定振興協会(JSMA)という資格試験団体が実施する民間資格となります。
2-1.受験者数と合格率、試験日程
調剤事務管理士試験の受験者数は毎年1万5,000人前後です。合格率は実施回ごとに多少のバラつきはありますが、60%前後で推移しています。下表は技能認定振興協会が発表している2018年に実施された調剤事務管理士試験の合格率です。
実施日 | 合格率 |
---|---|
2018年11月 | 53.6% |
2018年09月 | 61.0% |
2018年07月 | 57.6% |
2018年05月 | 57.6% |
2018年03月 | 64.4% |
2018年01月 | 55.8% |
調剤事務管理士試験は年に6回実施され、奇数月の第4土曜日を試験実施日と定めています。試験会場は主に全国の技能認定振興協会指定の会場となりますが、受験申請が行われた専門学校などで実施されることもあります。なお、技能認定振興協会が実施する医療事務系の資格試験ではインターネット受験ができる資格もありますが、調剤事務管理士の資格は2019年2月現在インターネットでの受験はできません(※インターネットによる申し込みは受け付けています)。
2-2.調剤事務管理士試験の内容
調剤事務管理士の試験は、「学科試験」と「実技試験」を合わせた120分間で行われます。
学科試験はマークシート方式で10問出題され、100点満点のうち70点以上の得点で合格基準に達します。
実技試験は記述式となっており、調剤報酬明細書(レセプト)の点検問題1問・作成問題2問の計3問の出題です。3問合計で70%以上の得点が合格基準となりますが、1問でも50%未満の得点の問題があれば不合格となってしまうため、注意しましょう。
それぞれの試験の出題範囲は以下の通りです。
学科試験 | 法規 | 医療保険制度 |
---|---|---|
調剤報酬請求に関する知識 | ||
調剤報酬請求事務全般 | 調剤報酬点数の算定 | |
レセプト作成 | ||
薬剤用語に関する知識 | ||
実技試験 | レセプトを作成するために必要な知識全般 |
なお、調剤事務管理士試験はテキストなどの資料を試験に持参し、参考にして回答を作成することが許されています。
2-3.調剤事務管理士試験の受験資格
調剤事務管理士試験では受験資格の制限は特に設けていません。6,500円の受験料を支払い、申し込みをすることで誰でも試験を受けることができます。受験資格という最初の関門がない資格試験になるため、誰でも挑戦しやすいのが特徴です。
3.おすすめの勉強方法
調剤事務管理士試験の受験対策では、調剤報酬明細書(レセプト)に重点を置いて勉強することが重要です。
3-1.レセプトを多く作成することが大切
特に、「レセプト作成の数をこなすこと」が合格への最短ルートであると言われています。レセプトの作成経験が多いほど処方箋をスムーズに読み解くことができ、レセプト作成のポイントを把握できるようになります。法律や医療保険制度の理解だけに多くの時間を割くのではなく、レセプト作成の演習と並行して進めることで自然と知識も身に付いていきます。
3-2.通信講座、資格スクールの活用で効率的に合格を目指す
調剤事務管理士の試験は参考書を使用して独学で合格することもできますが、効率よく学習するためには通信教育や資格スクールを利用すると良いでしょう。通信教育や資格スクールは費用がかかるため敬遠されがちですが、独学で参考書を購入し、何度も受験料を払って試験に臨むことを考えると最終的に費用が安くなることもあります。
また、最初に理論的な学習を行って知識を蓄積しながら、徹底的に反復練習を行うという通信教育や資格スクール独自の学習法は、短期間での合格を目指す方には特におすすめの勉強法です。処方箋の読み取りやレセプトの作成問題などでは徹底的な反復練習が正答率を飛躍的に高めます。資格試験の勉強方法には様々な選択肢がありますが、いろいろな情報を比較検討したうえで、万全の状態で試験に臨むための勉強方法を決めるようにしてください。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。調剤事務管理士は調剤報酬の計算など専門性の高いスキルを得られる資格ですが、試験の難易度はそこまで高くないため、受験者数は近年増加傾向にあります。全国各地にある保険調剤薬局などで働けることや、景気の動向に左右されない安定した職種であることなどが人気の理由です。今後、医療事務系の就職や転職を考えている方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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