経済産業省が提唱する「社会人基礎力」とは?

近年、労働力不足やグローバル化によって従来の雇用システムは機能しなくなり、事業者に対する就業構造の改革圧力が強まっています。一方で、雇用環境の変化は労働者にとっても他人事ではなく、高齢化という大きな流れの中で人生100年時代を生き抜くためのキャリア形成が求められています。
この記事では、キャリアを形成する上で重要性が増している「社会人基礎力」についてまとめました。キャリア形成で悩んでいる方、ビジネスマン・社会人としての素養を磨きたい方は、参考にしてみてください。

1.社会人基礎力とは

グローバル化の進展と人生100年時代の到来により就業期間が長期化する中、ライフステージ(就職、転職、昇進など)の各段階において必要な能力を十分に発揮することが重要となっています。このような状況下で、国の各機関は個人のキャリア形成の重要性に着目し、キャリア形成の目標を自立した社会人として人生100年時代を生き抜くための総合力である「人間力」の向上に置きました。その上で、人間力向上のための要素を4つ挙げ、中心的な役割を担うものとして「社会人基礎力」をクローズアップしています。

「社会人基礎力」は経済産業省が提唱した概念で、3つの能力と12の能力要素から構成され、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」と定義付けられています。2006年に提唱されて以降、社会・経済環境ともに急激に変化したことで、重要性が一層高まっています。社会人基礎力の詳細を見る前に、「人間力向上」のイメージを把握しておきましょう。

人間力向上のイメージ

「人間性と基本的な生活習慣」を土台に置き、その上に「基礎学力」「社会人基礎力」「専門知識」の3本の柱を据えて、これらの相互作用をもって「人間力の向上」に繋げるというイメージです。

2.3つの能力と12の能力要素で構成される社会人基礎力

3つの能力と12の能力要素について個別に見ていきます。

3つの能力 1.前に踏み出す力
(アクション)
※一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
2.考え抜く力
(シンキング)
※疑問を持ち、考え抜く力
3.チームで働く力
(チームワーク)
※多様な人々とともに、目標に向けて協力する力
12の要素 1.主体性
2.働きかけ力
3.実行力
4.課題発見力
5.計画力
6.創造力
7.発信力
8.傾聴力
9.柔軟性
10.状況把握力
11.規律性
12.ストレスコントロール力

2-1.前に踏み出す力:アクション

主体性(自ら進んで取り組む力)

他者に影響されず、自分のやるべきことを見極めて、困難な課題にも自発的に取り組むことができる力です。

働きかけ力(他者に働きかけ、巻き込む力)

周囲の人間を動かして目標を達成する力であり、相手を納得させることができる力でもあります。

実行力(自ら目標を設定し確実に行動に移す力)

失敗を恐れず、果敢に挑戦する気概をもって取り組むことができる力です。

2-2.考え抜く力:シンキング

課題発見力(冷静な分析力)

冷静に行動を分析し、取り組むべき課題を明確にすることができる力です。正しい状況分析とともに、成果を得るために必要な要素を的確に把握する力とも言えます。

計画力(プロセスの明確化と周到な準備力)

物事に優先順位をつけ、実現可能性を高めることができる力であり、不測の事態に見舞われても迅速かつ柔軟に計画を変更できる力です。

創造力(新しい価値を生み出す力)

既成概念にとらわれず、柔軟な発想のもと、新しい価値や解決策を創り出す力です。

2-3.チームで働く力:チームワーク

発信力(的確かつ明確に伝える力)

伝えたいことを、具体例や客観的なデータを用いて相手が理解できるよう伝える力です。また、ニーズを敏感に察知して伝えることができる力です。

傾聴力(丁寧かつ真摯に聴く力)

相手の意見や言い分を丁寧かつ真摯に聴き、随所で質問や内容確認を行うなど、相手の意見を正確に把握し理解する力です。

柔軟性(立場・意見の違いを理解する力)

立場の違いなどにより意見や認識に相違があるとき、相手の立場を理解し受け入れることができる力です。

状況把握力(周囲の状況を把握し配慮できる力)

人間関係を含め周囲の状況を把握するとともに、良い成果を得られる方向に物事を進めることができる力です。

規律性(ルールを遵守する力)

社会や組織のルールを守るとともに、重要な場面で意思疎通の齟齬が生じないように、情報共有を正確に行う力です。

ストレスコントロール力(ストレス要因を特定して対処する力)

自力または他者の力を借りてストレスに対処できる力です。ストレス耐性ではなく、ストレスを感じたとしても、受け流すことができる、あるいはポジティブに捉えることができる力といえます。

3.人生100年時代の社会人基礎力

社会人基礎力は、2006年に経済産業省が「人生100年時代」と「第4次産業革命」を念頭に提唱したものですが、近年、「人生100年時代」ならではの切り口と視点が必要となり、2017年に同省が開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において見直しが行われました。

従来の3つの能力と12の能力要素に、さらに「3つの視点」を加え、新たに「人生100年時代の社会人基礎力」を、「これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力」と定義(2018年2月経済産業省産業人材政策室資料)しました。新しく追加された3つの視点は以下のようになっています。

  • 目的:自己実現や社会貢献に向けて「どう活躍するか」
  • 学び:ライフステージごとに「何を学ぶか」
  • 統合:多様な経験、能力、キャリアを組み合わせて統合し、次のステップへ向け「どのように学ぶか」

従来の3つの能力と12の能力要素を骨格としつつ、新たな3つの視点で次のステップを想定するという循環(学びの継続)を提言しています。また、単なる机上の学習に終わらせないために、企業に対しては、「リカレント教育(=社会人の学び直し)」「社内起業」「副業・兼業」といった体験の場の制度化を呼び掛けています。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。社会人基礎力は、3つの能力と12の能力要素という骨格を維持しつつ、「キャリアの振り返りと継続的な学び」を意識した概念にアップデートされ、今後も状況に応じて変更が加えられることが想定されています。今後、キャリア形成のための支援策は充実していくものと考えられますが、他人事として受け身でいるのではなく、主体的に取り組むことが大切です。ぜひこの記事を参考に自分の付加価値を高めるためのロードマップ作りを検討してみてください。

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