深刻な人手不足と人生100年時代への対応が迫られる中、企業・個人ともに大きな転機期を迎えています。政府は個人のキャリア形成に向けた支援策とともに兼職・兼業を推進しており、ビジネスパーソンにとっては、自分のキャリアプランを検討するにあたり、備えるべきスキルの見直しが必要となっています。そこで今回は、人生100年時代を生き抜くために、ビジネスパーソンに求められる能力について詳しく解説します。キャリアプランニングで悩んでいる方、社会人としてのスキルアップを検討している方などは、参考にしてみてください。
1.ビジネスパーソンに求められる6つの能力とは
ビジネスパーソンがキャリアプランニングを行うためには、備えるべき能力を正しく把握することが大切です。備えるべき能力には経済産業省が提唱する「社会人基礎力」と重なる領域もありますが、以下、6つの能力が必要になります。
- テクニカルスキル
- リテラシー
- ポータブルスキル
- スタンス
- ポテンシャル
- モチベーション
1-1.テクニカルスキル
体系化された会社の中では、一般的に、平社員⇒課長(級)職⇒部長(級)職⇒役員という出世コースを上ることになります。ハーバード大学のロバート・カッツ教授は、3つのマネジメント・スキルをあげ、さらに人材を3つの階層に区分して、各階層に必要とされるスキルの度合いを示しています。その中のひとつが、「テクニカルスキル」です。
テクニカルスキルとは、従業員が備えるスキルとして、担当する業務を適切に遂行するために欠かせない「知識・技術」「熟練度」などを指しますが、職種によって求められる能力の種類は異なります。例えば営業職なら商品知識やコミュニケーション能力等、企画職なら情報収集力・分析力、事務職なら事務処理能力・PCスキルといったスキルが必要になるでしょう。
従来、このようなスキルは「現場対応型スキル」として認識され、階層が上がる(=出世)に従ってそのウエイトは低下するというのが一般的な考え方でした。しかし近年は、マネジメント層にとっても、職責を果たすためには重要な要素として再認識されており、企業内におけるキャリアップで必要不可欠な能力となっています。
1-2.リテラシー
リテラシーという単語は、もともと文字の読み書き能力を総称したものですが、ビジネスの分野では、特定の事業や領域に関する専門的知識、またはスキルを表す言葉として用いられています。これをビジネスパーソンが備えるべき能力として整理すると、「基盤リテラシー」「社会人リテラシー」「ビジネスリテラシー」という3つの視点で捉えることになります。
基盤リテラシー
「基盤リテラシー」とは、物事の本質を理解し、表現し、メッセージを発信できるという高い水準の「読み・書き」の能力です。ビジネスの現場では、例えばインターネットを通して得られた情報をいかに読み解き、担当業務に利活用することができるかという点で、その能力の水準が評価されることになります。
社会人リテラシー
「社会人リテラシー」は、「コンピュータースキル」「情報リテラシー」「マネーリテラシー」で構成されます。このうち、コンピュータースキルは、「情報収集と分析」「利活用」「発信」という要素のほか、最近はSNS等による「コミュニケーション」を加えてICTリテラシーと称され、応用力の高度化が求められています。
なお、情報リテラシーとは、様々な情報源の中から必要な情報にアクセスし、その情報を正しく評価・活用する能力を言います。マネーリテラシーは、金融庁の定義によれば、「生活スキルとして最低限身につけるべきリテラシー」とされ、「家計管理」「生活設計」「金融知識および金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」「外部の知見の適切な活用」の4つの分野において、年齢等で7階層に区分され、各階層において備えるべき知識と能力が体系化されています。
ビジネスリテラシー
「ビジネスリテラシー」とは、ストラテジー(経営戦略・事業戦略策定力)、ネゴシエーションスキル(交渉術)、英語力(グローバル化対応)などで構成されます。これらの能力を向上させるためには、業務における経験値を積み上げるとともに、リカレント教育等を活用した体系的学習によって、専門的な知識を習得することも重要なポイントです。
1-3.ポータブルスキル
ポータブルスキルとは、直訳すれば「持ち運びできるスキル」となります。ビジネスの世界では、「所属する会社や部署、時代背景などが変わっても通用するスキル」とされています。ポータブルスキルの評価ポイントは、環境が変化しても、「仕事のやり方」と「人や企業との関わり方」に対応し、自らが備える「専門知識」「専門技術」を発揮するための「適応能力」にあります。
厚生労働省が研修事業を委託した「一般社団法人 人材サービス産業協会」が作成した、ポータブルスキル活用研修資料に掲載している「適応の仕方の観点」によると、その内容は以下の通りです。
- 指示を待つのではなく、自らの意思で積極的に行動する
- 何事も前向きに受け止め、建設的に考えようとする
- 人に対して開放的、素直で、親しみを感じられる
- 謙虚に他者の意見に耳を傾ける
- 環境変化を受け入れ、変化することを恐れない
(人材サービス産業協議会「ポータブルスキル活用研修テキスト」より)
1-4.スタンス
人材育成は「スタンス」から始まると言われるほど優先順位が高く、ポータブルスキルやテクニカルスキルを支える土台となる重要な要素です。その概念は、「物事に対する姿勢や志向・価値観」「人としての生き方・働き方」とされています。ポータブルスキルやテクニカルスキルがアプリケーションだとすれば、「スタンス」はオペレーティング・システムと言えます。各種のスキルを縦横無尽に使いこなすには、優秀なOSが必要です。「スタンス」は、その能力を醸成するためのきっかけとして、新採研修で取り入れられることの多いテーマでもあります。
1-5.ポテンシャル
ポテンシャルは、「潜在力」「可能性」「将来性」などの言葉で表現されます。ビジネスパーソンに当てはめると、「仕事で成長するための潜在的知的能力をもった人」と言えます。ポテンシャルの高い人の特徴を整理すると、以下の5項目程度に絞ることができます。
・ポテンシャルの高い人の特徴
特徴 | 概要 |
---|---|
自己分析に長け、持てる実力を発揮することができる | 自己を客観的に考察・分析し、自己の行動のあり方を整理し、持てる力を十分に発揮することができます。 |
何事も前向きに捉えることができる | ネガティブ思考は足踏みとなり成長を阻害します。ポジティブ思考ができる人は潜在的成長性が高いと言えます。 |
高い目標を持ち、それを実現するための努力ができる | 努力する力のある人は、自然と目標も高くなり、その実現へ向けて努力を積むという成長のサイクルを回すことができます。 |
計画力、周到な準備力、実行力を備えている | なすべきことを明確にし、実行に当たっては優先順位をつけ、実現可能性を高めるための準備ができる能力があります。 |
積極果敢なチャレンジ精神を備えている | 積極性は、常に新たなチャンスを生み、挑戦することで新しいスキルを身につけ、更なるチャンスを生み出す力となります。 |
1-6.モチベーション
モチベーションは、人が行動を起こそうという意思を持つための動機です。場面によっては、「意欲」や「やる気」という言葉で表されることもありますが、ビジネスシーンでは、一般的に用いられている言葉です。モチベーションの高い人の特徴は、ポテンシャルの高い人の特徴と重なる部分も多いと言われ、以下のように整理することができます。
- 他人の批判をしない、他人を責めない
- 常に謙虚な姿勢である
- 知的好奇心が強い
- 成長しようという意識が高い
- 困難に直面しても諦めない強い心を持っている
2.まとめ
これからキャリア形成を進めるにあたり、備えるべき能力の概要はつかめたでしょうか。ビジネスパーソンの能力については、様々な角度から考察がされており、様々な専門的な用語を駆使して語られる場面も多くあります。今回の記事を参考に、自分に必要なキャリア形成について検討してみてください。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄や、パソコンスクールAVIVA(アビバ)では、キャリアアップに役立つ資格やパソコン・ITスキルを身につけることができる講座を多数取り揃えています。
キャリア形成で悩んでいる方は、ぜひ一度資料請求や無料体験をお申し込みいただき、ご相談ください。
【詳細ページ】パソコンスクールAVIVA(アビバ)の詳細を見る
【詳細ページ】資格スクール大栄の詳細を見る