司法書士試験「刑法」の概要・勉強法・対策まとめ

司法書士試験の「刑法」は、主要科目である「民法」や「商法」などと比べると出題数が少ない科目です。しかし学習範囲は広範に渡るため、「どれだけ時間を割いて勉強するか?」「どの程度学習したらよいか?」という判断が難しい科目でもあります。そこで、この記事では、司法書士試験の「刑法」について概要と出題傾向、対策の必要性、勉強法と対策などを詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

1.司法書士試験「刑法」の概要と出題傾向

司法書士試験の「刑法」は例年7月上旬の日曜日に行われる筆記試験の多肢択一式問題として出題される科目です。まずは、「刑法」の概要と出題傾向を確認していきます。

1-1.刑法の概要

そもそも刑法とは、犯罪となる行為の内容を規定した法律です。もちろん犯罪の行為や種類だけを規定しているのではなく、その犯罪にはどのような刑罰がどの程度科されるのかも具体的に定めています。個人間の決まり事を定めた「民法」は私法と呼ばれますが、「刑法」は罪を犯した個人と刑罰を執行する国家との決まり事を定めているため公法とも呼ばれています。

刑法には、「どのような行為が犯罪となるのか」「犯罪を起こした場合にはどのような刑罰がどの程度科されるのか」について、法律として事前に決めておかなければならない「罪刑法定主義」という基本原則があります。そのため、「刑法」では犯罪の種類やその刑罰について細かく定めています。

このように「刑法」は、犯罪と刑罰を明確に規定することによって国家が刑罰を下す要件なども明らかにしていますが、実際に刑事事件などの裁判を行う手続きについては刑事訴訟法という手続法等で別途定められています。司法書士試験は「刑法」のみが試験範囲となっているため、「刑法」で定められた犯罪の種類やその刑罰が主な学習範囲となります。

「刑法」の主要な分野は、どのような要件が備わったら犯罪が成立するかという「犯罪論」と、その犯罪にはどのような刑罰がどの程度科されるかという「刑罰論」の2つに分けることができます。これらの2つの分野では犯罪論のほうが「刑法」に占める割合は大きくなっており、司法書士試験の対策でも犯罪論を中心に対策します。また、刑法の条文は、各犯罪に共通して適用される事項などを定めた総論と個別の犯罪について規定された各論から主に構成されています。

総論 刑の種類、刑の執行猶予、正当防衛、緊急避難、責任能力、未遂、共犯など
各論 放火罪、殺人罪、傷害罪、窃盗及び強盗罪、詐欺及び恐喝罪など

そのため、どの犯罪でも共通して問題となる正当防衛や共犯などの総論の理解が土台となり、その上で各論について詳しく理解していく流れが基本になります。

1-2.「刑法」の出題傾向

司法書士試験では、午前の部で行われる記述式試験の多肢択一式問題に「刑法」から3問出題されます。下記は司法書士試験の記述式試験における多肢択一式問題の科目と出題数をまとめた表です。

科目 出題数 配点
午前の部 憲法 3問 9点
民法 20問 60点
刑法 3問 9点
商法 9問 27点
午後の部 民事訴訟法 5問 15点
民事保全法 1問 3点
民事執行法 1問 3点
司法書士法 1問 3点
供託法 3問 9点
不動産登記法 16問 48点
商業登記法 8問 24点

多肢択一式問題は全部で70問出題されていますが、そのうち「刑法」の出題は全体の5%未満となる3問の出題にとどまります。
過去数年の「刑法」は「~の記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいもの(誤っているもの)の組合せはどれか?」という問題形式で出題されており、3問とも正誤の組合せで出題されている点は大きな特徴です。また、この3問は基本的に総論1問と各論2問、または総論2問と各論1問という構成で出題されているのも大きな特徴となります。

では、直近2回の試験で出題された3問の出題内容を実際に確認していきます。

・2019年度(令和元年度)試験

  • 共同正犯(総論)
  • 放火罪(各論)
  • 名誉棄損罪(各論)

・2018年度(平成30年度)試験

  • 私文書偽造罪や偽造公文書行使罪などの文書偽造の罪(各論)
  • 自首(総論)
  • 殺人罪や監禁致傷罪、暴行罪などの人の生命・身体に対する罪(各論)

平成30年度は。近年出題がなかった自首に関する問題が出題され、多くの受験者が対応に苦慮しました。また、以前は財産罪と呼ばれる財産権を侵害する犯罪(窃盗罪や強盗罪、詐欺罪、横領罪など)がよく出題されていましたが、ここ2年は出題されていません。しかし、平成29年度の本試験では財産罪である横領罪からの出題があったため、ここ2年の問題だけを見て出題傾向が変わったと判断するのも早計でしょう。

2.「刑法」の勉強法・対策

多肢択一式問題で3問しか出題されない科目はどのように対策を行ったらいいのでしょうか。「刑法」の対策の必要性と勉強法・対策について見ていきます。

2-1.「刑法」対策の必要性

司法書士試験の「刑法」は多肢択一式試験で3問のみの出題となりますが、合格率が3%前後の難関競争試験ではこのような科目の対策が重要になります。

司法書士試験では基準点が設けられています。基準点とは、多肢択一式試験の午前の部と午後の部、または記述式のいずれかがこの点を下回っていると足切りになる点数です。「刑法」は午前の部の試験で9点の配点のみとなりますが、105点満点の午前の部において、9点を捨ててしまうと、実質96点満点となってしまいます。午前の部の基準点の過去5年の平均は約80点ですが、年によっては90点近いときもあるため、「刑法」の9点を捨ててしまうと、「刑法」以外で3問間違えるだけで足切りとなる可能性が高くなります。

基準点が90点まで高くなる年度は稀ですが、司法書士試験のように上位の数パーセントが合格となる競争試験では他の受験者が得点できる問題で得点できなければ合格は厳しくなります。

そのため、問題数の少ない「刑法」のような科目は他の人と差をつけるために対策するのではなく、他の受験者が解けるレベルの問題を解けるように対策することが重要になってきます。

2-2.勉強法と対策

司法書士試験の「刑法」では、司法試験のように難しい問題は出題されません。そのため基本的な学説や判例を理解しながら勉強を進める方法が一般的です。「刑法」は各論点に様々な学説や解釈などがあり、学問としては奥が深い科目となるため、あまり深入りしないことも勉強を進めていく上では重要です。

また、「刑法」は学習範囲も広いため、まずは財産罪などの重要な頻出項目の構成要件や判例などを理解できるまで繰り返し学習し、その他の過去に出題された項目についても過去問が解けるレベルまで対策しておくことが大切です。

司法書士試験の「刑法」は得点を稼ぐ科目ではないため、他の受験者が正解できる問題を間違えないように対策することが基本になります。また、他の主要科目などに多くの学習時間を割けるようになるべく短時間で効率的に学習する必要があります。

そのためには過去問などを参考に頻出分野を見極めることも重要です。効率的に勉強したい場合は、資格スクールや通信講座を利用するという方法もおすすめです。資格スクールでは、過去の出題傾向などを徹底的に分析しているため、使用するテキストや問題集などで優先度の高い項目が網羅されています。

また、本試験前には独自の試験委員対策などを行う資格スクールもあり、出題可能性の高い項目に絞って対策を行うことが可能になります。仕事や家事・育児で学習時間の確保が難しい方にとっては、大きな助けとなることもあるでしょう。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。司法書士試験の「刑法」について、概要や勉強法・対策などを確認しました。司法書士試験において、「刑法」のように出題数の少ない科目はいかに効率良く勉強できるかが重要なポイントになります。この記事を参考に。資格スクールなどの活用も含めて、ご自身に最も合った学習方法を検討してみてください。

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