中小企業診断士の試験は「1次試験」と「2次試験」に分かれますが、知識主体の1次試験と違って、2次試験は論理的思考も求められるため、試験対策で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回は中小企業診断士の第2次試験を攻略するポイントを詳しく解説していきます。併せて試験科目や合格率、学習のポイントなどもご紹介しますので、第2次試験対策に悩んでいる方は、参考にしてみてください。
1.中小企業診断士とは?
中小企業診断士は中小企業等の経営に関する診断・助言を行う専門家で、経済産業大臣が登録する国家資格です。中小企業診断士はいわゆる経営コンサルタントと同様の業務を行いますが、その能力が国に認められた者として企業経営の支援・指導に従事しています。
中小企業診断士になるには、2つの方法があります。中小企業診断協会が実施する第1次試験および第2次試験に合格した後、実務補習を修了(または診断実務に従事)するか、第1次試験合格に加え、中小企業基盤整備機構が実施する養成課程を修了するかのどちらかです。
養成課程の修了には時間と費用が多くかかるため、第1次試験の合格後に第2次試験を受けるのが一般的です。
1-1.中小企業診断士の仕事内容
中小企業診断士の主な仕事は、企業の経営全般に関する診断・助言です。具体的には、企業における経営戦略や経営計画の立案から各業務の問題解決の支援や指導となります。成長戦略や新規事業計画の立案をサポートしたり、営業力強化、人材育成、組織開発、財務基盤改善、生産改善などの課題解決を手伝ったりします。
このほか、国や自治体などで中小企業施策に基づいた業務に貢献するのも中小企業診断士の重要な役割です。
2.中小企業診断士の第2次試験とは?
第2次試験は「筆記試験」と「口述試験」の2つで構成されます。筆記試験は事例問題について短答式または論文式で解答する形式です。口述試験は筆記試験の合格者を対象に口頭による面接が行われます。
第2次試験の日程は、受験申込期間が毎年8月20日頃~9月20頃で、筆記試験は10月20日頃に実施されます。
一方、口述試験は毎年12月15日頃で、合格発表日は12月25日頃となっています。なお、試験料は17,200円(平成29年度実績)となります。
第2次試験を受けるには、第1次試験に合格する必要がありますが、第1次試験の合格は2年間有効なので、今年度の第1次試験に合格した人は、来年度の第1次試験は受けずに第2次試験を受けることができます。
2-1.筆記試験の内容
第2次試験の筆記では、実務の事例問題として下記の内容が出題されます。各設問150~200文字程度の記述式で、各事例の試験時間は80分、配点は100点です
- 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
2-2.口述試験の内容
口述試験では、当該年度の事例問題などを対象に、その診断および助言に関する内容を4~5つほど口頭で質問されます。試験時間は10分程度です。
3.中小企業診断士第2次試験の合格率
中小企業診断士第2次試験の直近3カ年の合格率を下表で確認してみましょう。
年度・試験内容 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
平成28年度 | 筆記試験 | 4,394人 | 842人 | 19.2% |
口述試験 | 842人 | 842人 | 100% | |
平成29年度 | 筆記試験 | 4,279人 | 830人 | 19.4% |
口述試験 | 830人 | 828人 | 99.8% | |
平成30年度 | 筆記試験 | 4,812人 | 906人 | 18.8% |
口述試験 | 906人 | 905人 | 99.9% |
筆記試験の合格率は2割以下ですが、口述試験はほぼ全員が合格しています。第2次試験全体の合格率は概ね18%~20%程度となります。
4.中小企業診断士第2次試験の対策方法
筆記試験と口述試験のそれぞれを対策するポイントを詳しくご紹介します。
4-1.筆記試験の学習と攻略ポイント
筆記試験は80分の時間制限があります。問題文、設問文、解答には論理一貫性があるので、解答内容は問題文と設問で与えられた情報を根拠に記述する必要があります。そのため、実務でも役立つような提案や解決策であっても、解答内容が与えられた情報から判断できない場合は、合格にはなりにくいでしょう。
筆記試験対策としては、過去問を学習して「問題文・設問文⇔解答」の関係を論理的に捉える練習が必要です。以下のテーマごとの攻略ポイントを参考にして、過去問を繰り返し解きましょう。
事例1「組織・人事」の対策
出題の中心は、経営戦略、組織管理、組織改革、人材育成などになります。事例1の対策として、まずは第1次試験科目の企業経営理論における上記の論点等を復習しておく必要があります。出題の意図を掴むのが難しい場合は、解答内容を絞り込まず幅広い答えを論理的に用意することが重要です。
事例2「マーケティング・流通」の対策
経営戦略から販売や流通等の業務、顧客との関係性などが問われます。出題の中心は経営戦略、マーケティング戦略及び管理、売上拡大・新規顧客開拓、顧客管理などです。
対策としては、まず第1次試験科目の企業経営理論と運営管理の上記論点等を復習しておきます。出題意図は比較的掴みやすいため、素直に解答をまとめるのが良いでしょう。なお、問題文などの情報量が多いため、「時系列を誤って解答しないこと」「全体の戦略の方向性に沿って答えること」がポイントになります。
事例3「生産・技術」の対策
出題の中心は経営戦略、生産計画、生産管理などになります。対策として、まずは第1次試験科目の企業経営理論、運営管理と経営情報システムの上記論点等の復習をします。生産管理などの知識が不可欠ですが、知識重視の解答は避け、問題文・設問文の与えられた情報から経営戦略のポイントを踏まえてどう生産を行うべきか、改善するべきかという視点で解答することが重要です。
事例4「財務・会計」の対策
出題の中心は、経営分析、企業価値、設備投資の経済性計算などになります。対策としては、第1次試験科目の財務会計における上記論点等を丁寧に復習します。事例4は数値から企業の経営状態を把握することが不可欠になるため、財務会計の計算問題の復習とともに過去問の学習が必須です。
4-2.口述試験の攻略ポイント
口述試験は筆記試験の内容をもとに質問されるため、当該年度の事例問題を復習しておきましょう。面接に臨む態度としては、常識的な振る舞いや受け答えができれば、不合格になることはあまりありません。
5.まとめ
中小企業診断士の第2次試験筆記では問題文・設問文の情報から論理的に解答を導き出す力が合否を分けます。過去問から「問題文・設問文⇔解答」の関係を論理的に捉える練習を積み重ねましょう。一方、口述試験はほとんどの受験者が合格できる試験になるため、当該年度の筆記試験の内容を復習し、礼節をわきまえた態度で試験に臨めば、あまり心配する必要はないでしょう。第2次試験対策でお悩みの方は、記事を参考にしながら自身に合った対策方法を検討してみてください。
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