新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、リモートワークやテレワークが推奨され、大きな注目を集めています。会社のオフィス以外で働く形態を総称した言葉ですが、新型コロナウイルスが発生する前から国が積極的に進めてきた経緯もあり、本来の目的を知っておくことも、リモートワークについて理解を深めるうえで必要です。
そこで今回は、リモートワークが注目されている理由について様々な視点から解説していきますので、関心のある方は参考にしてください。
1.リモートワークが注目される理由とは?
リモートワークは、インターネット技術の進展とともに、IT業界で発展したオフィス以外の場所で働くことを表す言葉として使われています。また、各省庁は、以前より会社以外の場所で働くという意味の「テレワーク」の普及にも努めています。
両者は厳密には異なる部分もありますが、この記事ではオフィス以外の場所で働くという意味において「リモートワーク」に統一して解説を進めていきます。
1-1.働き方改革の推進
働き方改革の課題の一つとなっているのが、企業の「生産性向上」と「労働人口の確保」です。生産性を高めるためには、業務効率の改善や労働時間の削減が必要であり、労働力人口の確保では、人材を確保するための「離職防止」と「採用強化」が重要な課題となります。これらの課題に対処するために、ICTを利用し、時間や場所を選ばずに柔軟な働き方ができるリモートワークの普及が求められています。
総務省の「平成29年通信利用動向調査(2018年5月25日公表)」によれば、コロナ禍以前のリモートワーク導入企業の割合は、従業員数100人以上の企業で18.2%(導入予定を含む)でした。また、導入企業におけるリモートワークの形態は、在宅勤務29.9%、サテライトオフィス12.1%、モバイルワーク56.4%となっています。
さらに、導入企業のうち、リモートワークを利用している従業員の割合が従業員全体の5%未満という企業が51.4%を占めるなど、導入企業における利用率の拡大も大きな課題となっています。
1-2.新型コロナウイルスの対策
内閣府に置かれた新型コロナウイルス感染症対策本部は2020年2月、「新型コロナ感染症対策基本方針」を決定し、その重要事項の一つとして、「テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかける」という項目を掲げています。
その上で同対策本部は、感染拡大防止のために多くの人が集まる場所での感染リスクを減ずることが重要となること、また、その方法として通勤ラッシュをはじめとした「人混みを回避」し、「在宅での勤務が可能」となるリモートワークは、その有効な対策の一つであるとしており、患者・感染者との接触機会を減らす観点から、可能な限りリモートワークの積極的な活用を促す方針を明確にしています。
2.リモートワークが注目される本当の理由
現在は、新型コロナウイルス感染症対策としての側面が強いリモートワークですが、当初の目的や新型コロナ終息後の社会を考えると以下のような異なる理由が見えてきます。
2-1.地方の活性化につながる
国がリモートワーク普及による効果の一つとして念頭に置くのが、東京一極集中の是正による地方創生です。都市から地方への移住・定住の促進を図るものであり、これを阻んでいる大きな理由の一つが、「地方には仕事がない」という現実です。従来は、地域活性化策の柱を「企業誘致」と「地元産業の創生」に据えていましたが、十分な効果が得られなかったこともあり、今後の恒久的な施策として、「人の誘致」に軸足を移し、リモートワークをその有力なツールとして位置付けているわけです。
リモートワークはその特性上、工場の製造ライン業務や一部の現業職には適用できないものの、それ以外の職種・分野で幅広く活用することが可能です。情報セキュリティやマジメントなどの解決すべき課題もありますが、リモートワークの普及率を今後さらに高めることができれば、地方創生のカンフル剤にもなり得ます。
2-2.当面はかつての生活に戻れないので順応が必要
非常事態宣言が解除されたとしても、コロナ禍以前の社会の姿に戻ることは容易ではありません。当面はソーシャルディスタンスを維持し、人の移動範囲を制限する必要もあります。しかしこれらが社会と経済活動に与える影響は、企業財務と個人の経済状況を悪化させることにつながります。
個人にとっては現在の状況に順応するための生活の知恵が必要となり、企業にとっては小さくても有効なイノベーションが必要です。リモートワークを拡大するなかで新たな気づきが生まれてくる可能性もあるので、立往生することなく、少しでも前へ進む努力が大切です。
2-3.社会が変わる機会となる
コロナ問題への対処という意味では、接触機会を減らすための手段として「現金支払いの縮小」「電子決済拡大」なども効果的と言われています。また、3密防止の観点では、学校教育の在り方なども問われており、企業においてはリモートワークの拡大とともに時差出勤のような制度が恒久化する機会となる可能性があります。
総務省大臣官房総括審議官が昨年5月に公表した「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」によれば、テレワーク導入と一社当たり労働生産性は、テレワークを導入していない企業の労働生産性599万円に対し、テレワーク導入企業は957万円と1.6倍の生産性を実現(2016年通信利用動向調査より)したとしています。
また、テレワークを積極化している企業の6割以上で労働時間が減少し、テレワーク単体及びテレワークと組み合わせた策を講じた企業で、労働生産性の伸び率は13~18パーセント程度向上しているとのデータも見逃せません。
地方創生策との組み合わせも含めてリモートワークを進めれば、通勤の混雑や、過密状態による災害時の帰宅困難者対策、今般のような感染症対策など、都市問題解決に向けた有効な手段ともなり、日本の社会全体が大きく変貌していく契機となる可能性もあります。
3.まとめ
リモートワークという働き方は、企業の経営課題と日本の社会が抱える課題を改善するための大きな可能性を秘めていることが見えてきました。リモートワークの導入を検討し、または普及するにあたっては、個々の企業や個人にとってどのようなメリットがあるかを明確にし、積極的に取り組むべき課題であるという認識を労使ともに共有することがさらに重要になってくるでしょう。
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