職業選びは、長い社会人生活のスタート地点に立つことです。「自分に合った職業」を見つけることが大切なのはもちろんですが、働き方改革が叫ばれる昨今では「仕事とどう向き合うか」も課題となります。「やりがい」「給与・待遇」が職業選びの基準となる一方で、仕事と私生活のバランスを両立させることが今後の職業選びのポイントになります。さらに今後の長い人生と就業期間を考えた場合、現在の職業が自分には合わないと感じた時は、異業界への転職や独立・開業も選択肢となるでしょう。この記事では自分に合った職業選びのポイントをまとめましたので、就職・転職で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
1.職業選択は長い人生の始まり
職業選びの基準は人によって異なります。これまでの生き方や育った環境にも左右されますが、「今後の人生をどう生きるか」というライフプランの基準になるものです。ただし、求人票をはじめとした各種の就職情報の中から天職を探すのは簡単ではありません。描いたライフプランが、就職・結婚・出産・定年退職などステージごとに具体性を持っていれば、独立・起業という選択肢も含めて「自分に合った職業」が見つかる可能性はあります。しかし、職業を単なる生活費を得る手段として捉え、職業選択をしようとした場合は、求人情報の中から妥協できる職業を選ぶだけとなります。
職業の選択は、人生100年時代と言われる長い人生における社会人生活の始まりです。仕事を通して自分が社会とどうコミットするかも重要な課題となります。加えて、自分に合った職業を選ぶ際は複数のポイントがあるため、多角的に検討することが大切です。
2.職業選びの6要素
自分に合った職業選びのポイントには次の項目が挙げられます。
職業選びの要素 | ポイント |
---|---|
業種・職種 | 就職した後で「別の職業にしておけばよかった」と後悔することがあります。業界・職種選びでは、自らの好みや目標・目的のほか、自己分析から職業適性を見極める必要があります。さらに業界分析・業界研究も欠かせません。憧れから思い描いた職業と現実の仕事内容を見比べて、ギャップがないかを確認します。 |
就業形態 | 2017年度の就労に関する内閣府の調査結果では、正規雇用希望が96%と圧倒的に多く、その理由は「長期安定雇用が望める」が59%、「収入が多い」が26.9%となっています。理由があって非正規雇用を望むケース、働ける時間・体調面から選択せざるをえないケースもありますが、求職者の安定志向は依然として続いています。 |
報酬・待遇 | 報酬は人生設計において大きなウエイトを占め、福利厚生や働きやすさとともに重要なポイントになっています。終身雇用の文化が薄れてきた現代でも、一つの会社に長くいれば昇給・出世できる業種もあれば、転職した方が待遇改善を望めることもあります。また、「長時間労働のわりに薄給」「法定労働時間を大幅に超えている」など、給与・待遇面でブラック企業の体質が疑われるような職場には要注意です。潔く退職・転職する決断力もときには求められます。 |
能力適性 | 前出の内閣府の就労に関する調査で、働くことへの不安に対し、「きちんと仕事ができるか不安」が73.5%という結果が出ています。適性の有無を含め、仕事についていけるかどうかは重要な要素です。 |
働く意味・価値 | 上記調査で、仕事をする目的についての回答は、「収入を得るため」が84.6%、「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」が15.8%、「自分の能力を発揮するため」が15.7%、「人の役に立つため」が13.6%という結果でした。特に若い世代を中心に「仕事のやりがい」よりも「経済的理由」を重視する傾向が高まっています。 |
憧れ | 日本FP協会の「小学生の将来なりたい職業」調査によれば、2021年度は、男子1位がサッカー選手・監督、2位が野球選手・監督、3位が医師と続きます。女子は、1位医師、2位が看護師、3位保育士と続き、薬剤師、獣医、など医療福祉系がトップ10入りしています。憧れは、夢を持ち続けるという意味で重要ですが、就職時に憧れの職業を選べる人は、他の人よりも早い時期から夢の実現のために準備をしていることが多いです。 |
3.自分にあった職業を選ぶポイント
職業選びでは、人によって優先する要素は異なりますが、自分の能力を過小評価して職業選択の幅を狭めないことが大切です。職業を選ぶ要素に優先順位をつけるとしたら、次のようになります。
- 働く意味・価値
- 就業形態
- 業種・職種
- 報酬・待遇
- 能力適正
- 憧れ
3-1.自分の能力を決めつけない
たとえば、「読書が好きだから出版社に入って編集の仕事がしたい」という人でも、実際の編集業務では過去の読書経験がそのまま活かせるとは限りません。また、編集の仕事がしたくても、興味のなかった営業に回されるケースもありますし、隠れた才能が開花して営業成績1位を取る可能性もあります。
このように自分にどれだけの能力があるのかは、実際に仕事をしてみないと分からないことが多くあります。「好み・嗜好」や「得意・不得意という思い込み」から、本来できることまで制限してしまうと自分の能力を最大限発揮することができません。
「社会に出て企業で働く」ということは、学生時代と違ったステークホルダー(利害関係者)を生み出すことになります。つまり、自分の得意不得意や好き嫌いで高い給料と身分が保証されるものではなく、「社会にコミット」する(=責任を持って積極的に関わる)立場になります。得意不得意や好き嫌いで仕事を選ぶなら独立・起業という方法もありますが、それでも社会にコミットできなければ、ビジネスではなく、ただの「趣味」になります。
自分に合った職業選びでは「やりたいこと・好み・憧れ」「得意・不得意」も大切ですが、自分の能力を決めつけず、周囲の意見も参考にし、さらに不得意分野・未知の業界にも目を向けてみることが重要です。
3-2.収入・会社の知名度だけで選ばない
仕事は、高収入・高報酬であることに越したことはありません。報酬は、長い就業期間の中で考えれば、スキルが上がりキャリア形成が進めば自ずと上がっていきます。
しかし、就職した企業が定年まで存続する保証はないことも認識する必要があります。東京商工リサーチが発表した「2018年に倒産した企業の平均寿命」によれば、会社の平均寿命は23.9年です。最も長いのは製造業(33.9年)で、最も短いのは金融・保険業(11.7年)でした。また、倒産企業に占める業歴30年以上の老舗企業の比率は、32.7%と過去最高を記録しています。新卒採用された社員が定年まで在籍できる企業は意外と多くないことがわかります。
「社会にコミットする」という考え方は、企業のゴーイングコンサーン(=企業が将来にわたって継続するための前提)に直結します。つまり、企業が社会にどのような価値を提供しているのか、社会の中で存在意義があるのかということが、今後の企業の評価ポイントとなります。個人に当てはめると、自分の仕事が社会や世の中の人々に役立っているかということです。社会や世の中に役立っていると評価されることで、「やりがい」を実感することができます。その「やりがい」や「実感」は仕事に積極的に取り組む姿勢につながるため、仕事が変わり、環境が変わり、給料の額が変わっても変化しない貴重な要素となります。
内閣府調査では「仕事のやりがい」を重視する人は少なかったですが、自分に合った職業選びを考えた場合、「働く意味・価値」を明確にすることは、人生100年時代を生きるためには欠かせない要素です。
働く意味と価値を見出すことができる場所を選ぶには、働いている人の「表情」や「姿勢」が参考になります。働いている人の言動や表情に満足感があるか、一緒に働きたいと思えるような人はいるか、といった視点で観察すれば、自分に合った職場を見つけることも可能です。
4.まとめ
「職業選択の自由」は憲法でも保障されていますが、目標設定、行動、結果の全てが自己責任となります。もちろん最初の職業選択で今後の人生の全てが決まるわけではありません。「得意だと思っていた分野が不得意だとわかった」「新たな目標が見つかった」「一緒に働きたい人がいる」など、職業を変えるタイミングは突然訪れることがあります。その際は、この記事を参考に自分に合った職業を検討してみてください。
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