グローバル化の進展と労働力不足に加え、人生100年時代に突入したことで雇用事情が大きく変化し、従来型雇用システムからの転換が進んでいます。さらに国の積極的なキャリア形成支援策もあり、キャリア形成に対する注目度が高まっています。
そこで、この記事では今後の長い就業人生において、キャリアを築いていくために必要と言われる3つの基本的なリテラシーについて整理します。社会人としての素養・教養を身につけたい方は、キャリア形成のご参考としてみてください。
1.社会人に必要な3つのリテラシー
まずはリテラシーの概念について整理しておきます。リテラシーとは、もともと文字の読み書き能力を指す言葉でしたが、現在では「情報リテラシー」「金融リテラシー」など、特定の業種や領域に関する専門知識やスキルを表す言葉として用いられるようになりました。以下では「基盤リテラシー」「社会人リテラシー」「ビジネスリテラシー」という社会人に必要とされる3つのリテラシーを個別に解説します。
- 基盤リテラシー
- 社会人リテラシー
- ビジネスリテラシー
1-1.基盤リテラシー
リテラシーの本来的な部分である「読み・書き・算盤」ができるかが問われます。ただし、現代のビジネスパーソンにとっては、単純に「字の読み書き」「四則計算」ができるという意味ではなく、社会人として求められる能力に置き換える必要があります。
例えば社内で交わされる会話やビジネス文書の内容について、「正しく理解する」能力です。行間・裏を読み、隠れたメッセージを受信して物事の本質を理解する「読む」力や、意見を言う、プレゼンテーションを実行するなどメッセージを発信する「書く」力が該当します。実務的に役立つレベルでのリテラシーが求められています。
ビジネスにパソコンやインターネットが普及し始めた頃は、情報を入手するための技術(PC操作)や情報処理(アプリケーション利用)に強く、大量の情報を収集できることが高く評価されてきました。しかし現在は、単純な操作スキルは社会人になるまでに身につけるものであり、得られた情報を正確に読み解き、活用する力がなければ「仕事ができるビジネスパーソン」とは認められません。
このように基盤となるリテラシーは、時間の経過とイノベーションによってレベルの向上が求められるものであり、高度化する傾向があります。経済産業省が提唱している社会人基礎力を構成する要素にも通じるところであり、絶えず学び直し、ブラッシュアップするなどして自身のライフステージの各段階で求められるリテラシーを備える必要があります。
1-2.社会人リテラシー
社会人リテラシーとしては、「コンピュータースキル」「情報リテラシー」「金融(マネー)リテラシー」などが挙げられます。
- コンピュータースキル
- 情報リテラシー
- 金融(マネー)リテラシー
コンピュータースキルは、従前の「情報収集と利用」や「分析」といった分野に、インターネットの普及によって、「発信」という要素が加わり、さらにSNSに代表される「コミュニケーション」が加わってIT(ICT)リテラシーとも呼ばれています。
情報リテラシーは、「様々なカテゴリーの情報源の中から必要な情報にアクセスし、その情報を正しく評価し、活用する能力」と定義されています(日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編2007)。「情報へのアクセス」「情報の評価」「情報の活用」の3つの要素を備えることが情報リテラシーを身につけることになります。アメリカのIT企業が中心となって設立した国際団体「ATC21S※」は、ICTリテラシーとともに「働くためのツール」と位置付けており、現代では社会人として必要不可欠なリテラシーとなっています。
※ATC21S(assessment & teaching of 21st century skills)は、「21世紀型スキルのための教育と評価プロジェクト」で、インテル、マイクロソフトなどのアメリカのIT関連企業がバックアップして設立された。
金融リテラシーは、「生活スキルとして最低限身につけるべきリテラシー」とされています(金融経済教育研究会 報告書 2013年4月)。内容は、おもに「家計管理」「生活設計」「金融知識および金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」「外部の知見の適切な活用」の4分野に分かれ、小学生から大学生、社会人(若年・一般)、高齢者の7階層に区分し、各層において備えるべき知識と能力を体系化しています。
政府が金融リテラシー分野に本格的に踏み込んだ理油は、金融システムの整った国家間の比較で日本人の金融リテラシーは低い状況にあるとの海外調査結果(金融リテラシーのある成人割合:日本43%、デンマーク71%、英国67%、ドイツ66%)があり、国際的に金融リテラシーと一人当たりGDPの関係が深いということが指摘されている中、幼少時期から体系的な取り組みを進め、社会人の段階での備えるべき内容を明確にしています。
1-3.ビジネスリテラシー
ビジネスシーンを想定したリテラシーでは、経済産業省が提唱する社会人基礎力が参考になりますが、一歩抜け出るという意味では、「ストラテジー(経営戦略・事業戦略を描く力)」「ネゴシエーションスキル(成功のための交渉術)」「英語力(グローバル化への対応)」などを挙げることができます。これらは実際の業務で経験を積むことが重要ですが、体系的な学習による専門的な知識の習得も重要ポイントとなります。
2.コンピュータースキルを効率的に習得するには
IT(ICT)関係は現代のビジネスパーソンにとっては「働くためのツール」と言われ、まさにクルマを走らせるための燃料のような位置づけとなっています。近年は、スマートフォンの普及によって若い世代のパソコンに触れる機会が減少していると言われていますが、ビジネスパーソンとしては、年代に関係なく確実に備えておきたいスキルと言えます。
今後ますます重要になるIT関係のスキルは、比較的短い期間で身につけることができる分野でもあります。例えば短期型のプログラミングスクールでは、単なる知識ではなく実践的なスキルを身につけることができます。プログラミングは、WEB系やシステム系などプログラミング言語が多く難解な印象を受けますが、まずはスクールに相談して自身の実情にあった学習プランを選ぶことから始めても良いでしょう。期間は4週間程度からありますが、費用と本来の目的を考慮して選ぶことが大切です。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。社会人が備えるべきリテラシーについて整理しました。いまや受身の姿勢では自らのキャリア形成は進まず、就業環境の選択肢の幅も狭まる時代です。AI、ビッグデータ、IoTを始めとした情報技術の革新も目まぐるしく、今後はIT・ICTリテラシーや情報リテラシーの重要性がさらに高まるでしょう。社会人としてのリテラシーについて見直したい方は、この記事をきっかけに新たな学びの機会を確保するとともに、迅速かつ着実に一歩前へ踏み出してみてください。
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