最近、複業という複数の仕事に並行して取り組む働き方が注目されています。そもそも複業とは働き方改革による副業・兼業が増えたことによりクローズアップされてきた言葉で、本業以外の仕事で収入を得る単なる副業とは意味合いが異なります。このように複数のキャリアを並行して築き上げることをパラレルキャリアとも言います。
そこで今回は、複業の種類やメリット、パラレルキャリアを目指す上でおすすめの資格について詳しくご紹介します。複業、副業を検討している方は参考にしてみてください。
1.複業の4つの種類
複業とは、複数の仕事に同時進行で取り組む働き方です。本業以外のサブとなる仕事で収入を得る副業と同じように捉えられることもありますが、複業は本業やサブの仕事という明確な区切りが無い点で大きく異なります。つまり、複業は2つ以上の仕事を同じような労力や時間をかけて並行して進める働き方で、複数のキャリアを同時に形成するパラレルキャリアとも呼ばれる働き方のことを指します。
まずは、これから複業を始める場合に選択できる次の4つの形態を解説します。
- 個人+個人
- 個人+法人
- 法人+個人
- 法人+法人
1-1.個人+個人
すでに個人事業主やフリーランスとして活躍している人が新たに個人としての仕事を増やす方法です。例えば、プログラマーとしてフリーランスで活躍している方が、プログラミングなどの知識を活かしたライターとして新たな仕事を始める場合などがこのケースに該当します。
このような「個人+個人」の働き方の場合、それぞれの仕事に対して自身の裁量で労力や時間を調整できる点が大きなメリットです。ただし、全ての仕事を自分の力でとってこなければならないため、ある程度の収入を得られるようになるまでは相応の労力や時間を要する点には注意しなければなりません。
「個人+個人」の働き方で発生する所得は、基本的に全て事業所得に該当するケースが多くなるため、青色申告特別控除を利用することによって節税を図ることも可能です。ただし、事業所得として認められるためにはある程度の事業規模や事業を営んでいる実態が必要となるため、この点に注意して所得の判断をしなければなりません。
1-2.個人+法人
個人事業主やフリーランスとして働いている人がその仕事とは別に会社に雇われること、または会社を設立することでパラレルキャリアを形成する方法です。
例えば、不動産などを所有して不動産所得を得ている個人事業主が新たなキャリアを形成するために会社に就職する、または、会社を設立して新たな事業を行うケースなどが該当します。このパラレルキャリアではもともとの仕事は個人事業のため、新たに勤める会社や起業した会社の仕事が軌道に乗るまで自身の判断で重点的に時間や労力を割くことができる点は大きなメリットです。
しかし、個人事業をおろそかにすると収入が減る可能性もあるため、両者のバランスについては十分に配慮しながら仕事を上手に進めなければなりません。例えば、不動産賃貸に関わる所得は不動産所得、会社から受け取る給与や役員報酬は給与所得となるため基本的には確定申告が必要です。不動産業以外の個人事業を行っている方は、事業所得として給与所得とあわせて確定申告することとなります。
1-3.法人+個人
会社に勤めている人や会社を経営している人が新たに個人事業を営んだり、複業に取り組んだりする方法です。例えば、会社に勤めている人が資格や技能などを活かしてフリーランスとして個人事業を始める場合などが該当します。会社勤めをしている多くの人がパラレルキャリアを始める際に選択する方法となります。
日本では最近まで副業禁止の会社も多く、正社員として働きながら他のキャリアを築くのはなかなか難しい環境でした。しかし、働き方改革によって一部の会社では副業や兼業が認められるようになり、パラレルキャリアの形成がしやすくなりつつあります。
このような組み合わせで複業を行う場合、会社勤めの人は会社の業務に一定の時間や労力が拘束されるため、新たに始める個人事業に多くの時間と労力を費やすことは困難です。しかし、個人事業についてはできる範囲でマイペースに時間と労力を配分することも可能なため、大きな負担をかけずに複業を始めることができます。
「法人+個人」で複業を始める場合、会社から受け取る給与や役員報酬は給与所得となりますが、個人事業については事業規模や実態により所得区分が変わる点に注意が必要です。ある程度の収入や実績などを伴う場合は事業所得になりますが、そうでない場合は雑所得になることもあります。なお、雑所得については20万円までが非課税となるため、この場合は原則確定申告も不要です。
1-4.法人+法人
会社勤めをしている人や会社を経営している人が新たに会社に雇用される、もしくは会社を設立することによって複業に取り組む方法です。例えば、会社経営者が別の事業を行う場合、新たな会社勤めや会社の設立によって新しいキャリアを築く場合が該当します。
「法人+法人」の複業は、片方の会社勤めまたは会社経営に相応の時間と労力を要するため、新たに始める仕事は時間や労力の確保が難しいと言えます。しかし、双方とも給与や役員報酬の形で安定的な収入を得られるため、個人事業やフリーランスで複業する場合よりも収入面で安定するというメリットがあります。
この形態で複業する場合、両方とも会社から給与や役員報酬を受け取る形となるため、基本的には全て給与所得です。ただし、2か所以上から給与や報酬を受け取る場合、少ない方の金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。
2.複業のメリットとは?
複業は、上記の通り、主に4つの形態に分かれますが、全てに共通するのは複数の仕事に同時進行で取り組むためには相応の時間や労力が必要になるという点です。しかし、複業には費やした時間や労力以上のメリットを得られることもあるため、新しいキャリアの形成を考える上では外すことのできない選択肢となっています。
こちらでは、以下に挙げる3点のメリットについて確認してみましょう。
- 複数のキャリアを同時に実現できる
- マネジメント力が上がる
- 新しい知見を仕事に活かすことができる
2-1.複数のキャリアを同時に実現できる
複業の大きなメリットは複数のキャリアを同時に実現できる点です。一つの仕事だけでは満足できず、複数の仕事に取り組みたいという向上心のある人にとって複業はやりがいのあるライフワークとなります。
また、一つの仕事を専業で行う場合、その仕事に関する知識を掘り下げて追求することもできますが、自身の限界や伸び悩みや感じる瞬間も少なくありません。別のキャリアを形成することによってこのような問題を解決できることがあります。
2-2.マネジメント力が上がる
複数の仕事に並行して取り組む複業ではマネジメント力が上がることもメリットの一つです。複数の仕事を同時に進行していると時間や労力の配分についてより深く考えなければそれぞれの仕事をこなすことができません。これにより、効率的に仕事をこなせるマネジメント力が向上する点は複業のメリットの一つです。
2-3.新しい知見を仕事に活かすことができる
複数の仕事を同時に体験することによって仕事で得られた新しい知見を別の仕事に活かすことができる点も複業の大きなメリットです。一つの仕事だけに専業していては出てこないようなアイデアが浮かぶことや、仕事で築き上げた人脈を別の仕事に有効活用できる場合もあります。
このように、それぞれの仕事が互いに相乗効果を及ぼすことができる点は複業の大きなメリットです。
3.パラレルキャリアを目指すなら資格取得がおすすめ
パラレルキャリアを目指す人には資格取得がおすすめです。専門的な知識などを有しているとパラレルキャリアの形成がしやすくなるため、向上心や学習意欲がある方には資格取得が効果的です。
例えば、税理士や行政書士、宅建士などの士業は会社勤めをすることもできますが個人で事業を行うことも可能です。資格を持っているだけで必ず安定的に収入を得られるというわけではありませんが、複数の事業に取り組む意欲のある人にとっては様々なビジネスチャンスが訪れる時代となっています。
そのため、士業としての専門知識を持ち合わせた上で様々な仕事に取り組むことは安定的な収入につながるだけではなく、大きなチャンスを得られる機会も増えることになります。
また、パラレルキャリアを形成する上で役立つのが簿記などの経理系・会計系の資格です。複業では確定申告などが必要になる場合も少なくありませんが、簿記の資格を取得していることによって税理士に依頼する費用を安く抑えることや会社の経営に役立つ知識が身につくことは大きなメリットとなります。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は複業の種類やそのメリットについてご紹介してきました。これからの日本は従来の終身雇用型の働き方が大きく変化し、テレワークや副業・複業、パラレルワークなど様々な働くスタイルが求められるようになるでしょう。将来の充実したキャリアを送るためにも、複業を重要な選択肢の一つとして検討してみてください。
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