新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてリモートワークの導入が進んでいます。通勤に要する時間が不要になり、職場の人間関係も気にすることなく、自由に使える時間が増えるというのがリモートワークのメリットです。しかし一方で、成果を出しづらかったり、自己管理が難しかったりなどのデメリットもあるため注意も必要です。
そこで今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止によるリモートワークを上手に進めるためのポイントをご紹介します。自宅での仕事の効率が上がらない方、自己管理をするのが苦手な方は参考にしてみてください。
1.「リモートワークは楽」が危険な考えの理由とは?
リモートワークの導入は、通勤時間が不要となるなど、時間的な余裕が生まれて仕事も楽になると言われることもありますが、取り組み方を誤ると悪循環に陥る可能性があります。まずは表面的には見えないリモートワークの注意点を見ていきましょう。
1-1.リモートワークには成果が求められる
現在、国内企業の多くは、目標管理制度に基づく成果主義を導入しています。しかし、成果主義が無理なく適用できるのは、提案件数や売上高といった定量目標が明確な営業部門など一部の職種に限られます。
管理系の部門は、目標の定量化が困難であり、純粋な成果主義は適用できません。このため、日本型の成果主義においては、業績、能力、情意という3つの伝統的な評価要素を駆使し、職種によって業績と能力のウエイトを変えるなど、部分的成果主義となっているのが一般的です。
労働政策研究・研修機構が2015年に実施した「情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査」結果では、「労働時間管理が難しい」や「進捗管理が難しい」という回答が企業側の上位を占め、従業員の回答でも、「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」「仕事の評価が難しい」といった意見が上位を占めています。
この調査結果は、従業員の働く姿が見えない中で管理・評価することの難しさを示しています。また、コロナ禍を機に、リモートワークを初めて導入する企業では、職種の違いや企業が与える仕事の量および内容によっては、評価基準の関係で従業員に不公平感が生まれてしまう可能性があることを意識しなければなりません。
本来、リモートワークは、生産性の向上と多様な働き方を実現するためのツールと位置付けられていますが、人事評価のあり方のみならず、目標設定と仕事の割り振りも含め、適切なマネジメント体制を整備しないまま導入すると、逆効果となる危険をはらんでいるわけです。
1-2.自己管理ができないと「一人」での仕事は難しい
リモートワークにおいては、不要となる通勤時間の使い方を含め、仕事に充てる時間や進捗管理をセルフコントロールして成果を出すことが求められます。しかし、家事や育児の時間のほか、会社や上司との頻繁な連絡を課されるなど、会社勤務では考えられない事象に影響され、仕事に集中できる時間を確保できないといった負の部分があることも指摘されています。
また、アメリカのある団体の調査では、在宅勤務者の飲酒率の高さが指摘されており、セルフコントロールの難しさを示すデータとして日本でも話題になっています。リモートワークでは、生活のリズムを通勤時と同様に保つとともに、仕事の時間を分断されないような工夫が必要となります。
そのためには、通勤時の基本的なルーティーンを前提として1日のタイムスケジュールを作成するとともに、業務の進捗状況を客観的に検証できるようにすることが重要なポイントとなります。業務の進捗管理に関しては、近年注目を集めている「ポモドーロ・テクニック」という時間管理術を採用するなど、実効性の高いものとしなければなりません。
1-3.成果のためにはモチベーション・目的が必要
成果を得るためには、達成へ向けた強い意志とモチベーションを維持することが重要です。これには、米国のダニエル・ピンク氏が提唱する「モチベーション3.0」が参考になります。同氏のいう「モチベーション3.0」とは、報酬と罰によって人を律しようとする現行マネジメントに対し、人が生来持ち合わせている「創造力」を引き出すマネジメントです。
報酬で従業員のモチベーションを釣るのではなく、従業員の自律性を尊重し、会社と従業員が目的を共有してともに成長するという考え方が基本です。そのマネジメントの要素として、「自主性」「成長」「目的」の3つが挙げられており、内発的動機付け要因と言われています。
自主性は自律性とも表現され、セルフコントロールの根幹となります。成長とは、自律性をもって目標を達成しようとする過程で得られるスキルの向上や達成感であり、自身の充実感・満足感につながるものです。
そして、自律性をもって目標を達成することができる人は、自らの利益よりももっと大きな目的のために仕事に取り組むことが知られています。もっと大きな目的とは、「社会と人に貢献したい」といった志であり、自律性と成長の背景となるものです。
心理学者のミハイ・チクセントミハイは、「目的は人生を活性化する」と語っています。自律に基づく活動成果は成長につながり、成長は社会と人に貢献したいという目的意識の醸成とモチベーションにつながるという循環過程に入るものとなります。
2.世界の名だたる企業もリモートワークには懐疑的
日本では働き方改革と企業の生産性の向上のため、新型コロナウイルスの問題以前から政府主導でリモートワークへの取り組みを推進していました。
しかし、最近は海外企業を中心にリモートワークに懐疑的な見方をする傾向があります。そして、このような傾向は、これまでリモートワークの比率が高かった企業に多く見られます。
例えば、リモートワーク利用率が40%を超えていたIBMは在宅勤務を廃止し、ヤフーも2013年にリモートワークを廃止しました。どちらも業績の低迷と生産性の低下を理由に挙げており、言い換えれば従業員のスキルや創造性の向上にブレーキがかかったということもできます。
つまり、リモートワークは必ずしもあらゆる会社や組織形態に向いた働き方というわけではなく、また個人個人でも向き・不向きが出てくる制度であるという認識を持つことも必要です。
3.まとめ
企業にとってリモートワークは、生産性向上のためのマネジメントツールの一つになりえます。また、個人にとっては、自らを成長させることができる機会になる場合もあります。リモートワークに取り組む際は、社内での昇格・昇進のみならず転職等も念頭におき、時間の使い方、仕事の進め方を工夫する中で、内的な動機付け要因を意識して、着実に自身のスキルアップにつなげることが重要です。
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