勤務先以外での働き方に対する呼び方は、「リモートワーク」「テレワーク」「在宅ワーク」などとそれぞれ異なります。どれも一見すると同じ働き方を指した用語に思えますが、意味はそれぞれ大きく違うのをご存知でしょうか。
そこで今回は、リモートワーク、テレワーク、在宅ワークの違いについて分かりやすく解説します。会社の人事や経営陣の方はもちろん、現在リモートワークやテレワークをしているサラリーマンの方も参考にしてみてください。
1.リモートワークとは?
リモートワークとは、英単語の“remote(遠隔)”と“work(仕事)”が組み合わさった造語で、遠隔で行う仕事を意味します。
これまで仕事と言えば、会社のオフィスに従業員が出社して行うのが一般的でしたが、最近は自宅や外出先などで仕事を行うケースも増えており、会社以外の場所で行う仕事を「リモートワーク」と呼んでいます。
リモートワークという用語は、主にIT系の企業やベンチャー企業を中心に用いられています。IT系企業やベンチャー企業では、以前から「リモート操作」や「リモートデスクトップ」などのように、「リモート」という単語が広く用いられていました。
なお、リモートワークは、遠隔地で働く度合いによって、以下の3つのタイプに分類できます。
- テンポラリーリモートワーク
- ハイブリッドリモートワーク
- フルタイムリモートワーク
1つ目は「テンポラリーリモートワーク」です。英単語の“temporary(一時的)”とリモートワークが組み合わさった造語で、例えば出張先で仕事を行ったり、本当に簡単な仕事のみを自宅で行ったりするケースなどで用いられます。
2つ目は「ハイブリッドリモートワーク」です。“ハイブリッド”という用語には、複数の方法を組み合わせるという意味があります。ハイブリッドリモートワークは、会社内での勤務と遠隔地での勤務を組み合わせて行う場合に用いられます。例えば、週3日は社内での勤務、残りの2日は遠隔地での勤務を行うケースなどがあります。
3つ目は「フルタイムリモートワーク」です。完全に遠隔地で仕事を行うケースを意味し、正社員として雇用契約は結んでいるものの、基本的には出社しない働き方などが該当します。
2.テレワークとは?
テレワークの定義に関して日本テレワーク協会によると、「情報通信技術(ICT)を活用して、時間や場所にとらわれずに柔軟に働くこと」とされています。
単語自体は、英語の接頭辞である“tele(遠い場所を意味する)”と“work(仕事)”を組み合わせた造語となっているため、単純に会社内ではない遠隔地で働くことをテレワークと呼ぶこともあります。
ただし、リモートワークとは違い、どちらかというと「ICTの活用」に主眼を置いた働き方と言えます。単純に遠隔地で働く方法というよりも、Web会議サービスのzoomやチャットツールなどのICTツールを駆使して、遠隔でも問題なく働くことを強調する場合に、テレワークという用語が用いられる傾向にあります。
また、「リモートワーク」をIT企業やベンチャー企業が好んで用いる一方で、「テレワーク」は政府系機関や大手企業が用いる傾向もあります。実際に政府の公式サイトを確認すると、IT系企業がリモートワークと呼んでいるような働き方についても、テレワークという名称を用いて紹介しています。大きな違いはないものの、相手によってリモートワークとテレワークを使い分けて説明するのが良いでしょう。
なお、テレワークは、大きく3つの働き方に分類されています。
- 在宅勤務
- モバイルワーク
- 施設利用型勤務
まず1つ目は「在宅勤務」です。従業員が自宅で仕事を行う働き方を意味しており、一般的にテレワークという場合、在宅勤務を意味することが多くなります。
2つ目は「モバイルワーク」です。モバイルワークは、移動中の新幹線や出張先のカフェなど、社外のあらゆる場所でモバイル機器を使って仕事を行う働き方です。公共の施設を利用することが多いため、情報の漏えい等には十分な注意を払うことが大切です。
そして3つ目は、「施設利用型勤務」です。企業側が用意したサテライトオフィスなどで仕事を行う働き方で、主に通勤にかかる労力の軽減などを目的に活用されています。
3.在宅ワークとは?
在宅ワークとは、自宅にいながら仕事を行うことを意味します。テレワークの分類の1つである「在宅勤務」と似ていますが、実際には異なる働き方として使われます。
在宅勤務は、あくまで会社の正社員として雇用契約を結びつつ、会社から与えられた仕事を行う働き方を意味します。つまり、従業員の雇用形態のひとつです。
一方の在宅ワークは、主に特定の企業と雇用契約を結んでいないフリーランス(個人事業主)が、自宅で仕事を行う働き方を意味して用いられます。
このように、在宅勤務と在宅ワークを異なる意味として認識している人は多いので、基本的には使い分けるようにしましょう。
両者は雇用形態に違いこそあるものの、在宅ワークの働き方は在宅勤務の正社員と大きな違いはありません。仕事のやりとりは、主に自宅にあるパソコンや携帯電話を使って行います。ただし正社員ではないため、労働者自身が仕事の案件を獲得する必要があります。また、確定申告や納税、国民保険への加入なども自身で行う必要がある点は異なります。
なお、フリーランス(個人事業主)だからと言って、全員が在宅で仕事をしているわけではありません。例えばプログラマーやエンジニア、Webデザイナー、ライターなどは遠隔でも仕事を遂行できますが、建設業などの現場に出向いて働くような職種では、個人事業主でも在宅ワークをすることは基本的にできません。
厚生労働省は、在宅ワークについて「自営型テレワーク」と呼んでおり、テレワークの一形態として定義しています。政府と一般的な企業とでは、テレワークの範囲が若干異なる点も留意しておきましょう。
・リモート、テレワーク、在宅ワークの違い
働き方の種類 | 意味 |
---|---|
リモートワーク | 遠隔地で働くこと |
テレワーク | 情報通信技術(ICT)を利用して、時間や場所にとらわれずに柔軟に働くこと |
在宅ワーク | 個人事業主が自宅で仕事を行うこと |
4.まとめ
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業で従来とは大きく異なる働き方を取り入れるようになりました。「会社へ出社して働く」という従来の勤務スタイルが困難となったことで、「リモートワーク」「テレワーク」「在宅ワーク」を導入する企業が増加しています。
企業によっては新型コロナウイルスが落ち着いた後もリモートワーク等を継続する予定ですが、雇用者側から見ても、「通勤する必要がない」「家族と過ごす時間が増える」「時間を柔軟に使える」といったメリットの多い働き方のため、今後の会社選びの条件とするケースも増えるのではないかと予測されています。
リモートワークとテレワーク、在宅ワークの意味は一見同じような意味に見えても、実は大きく異なるので、正しく使い分けるようにしましょう。
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