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ノートに覚えるべきことを繰り返し書いているのですが、かけた時間の割にあまり定着しているように思えません。効率の良い社会の学習方法はあるのでしょうか?
前回、効率の良い社会の学習方法(前編)と題しまして、知識のインプットの段階における「書くこと」の重要性を強調させていただきました。
受験や試験というものを経験してきた大人には当たり前とも思える「書いて覚える」ことの重要性に、自分で気付くことの出来る中学受験生は実際のところ非常に少ないものです。「どれだけ手を動かしたか」ということが、まさに入試本番、自信の多寡となって跳ね返ってくることに、数ある模試の段階で気付かせてあげたいものです。
このように書くという作業は非常に大切ですが、もちろん覚える方法はそれだけではありません。
本や漫画が好きなお子さんならば、歴史を漫画形式で追った書籍などは非常に大きな武器になるでしょうし、ニュースが好きなお子さんはやはり公民に強いです。話の面白い社会科講師に出会えて、授業の内容を帰宅したあと報告してくれるお子さんには、お疲れの中でも、ぜひとも耳を傾けてあげてください。人に説明しているまさにその瞬間、もっとも効率のよい「記憶の整理・定着」が行われています。
さて、その「記憶の整理」が後半のメインテーマです。これが上手くいかないと、いわゆる「勉強はしているのだけれど、テストで点が取れない」という状態になります。勉強・受験に対するモチベーションを下げる危険な状況ですね。
ここであえて「情報の整理」という言葉を使うのには理由があります。細かく膨大な知識を「引き出し」にしまっていく、というイメージが中学受験の社会を効率良く学習する上での基本だからです。
というわけで、まずは何よりも「引き出し」をしっかりと作る。これが社会の知識の整理のもっとも重要なことかもしれません。
たとえば地理を例に挙げてみます。日本地理の「引き出し」にあたるのは、『都道府県名』に尽きます。地理の勉強をはじめたての生徒さんは、まず『都道府県名』を県庁所在地名と、そして地図と対応させて覚えることが優先順位の最上位に据えることが望ましいです。得意不得意に関わらず、ここだけは覚えるまで徹底します。
それさえ完了すれば、その後の産業別・地方別地理で毎週登場する山のような社会科用語を覚えることに夢中になっているお子さんに対して、見守る側はたまに「今、どこの(何県の)勉強をしているの?」と問いかけてあげるだけで、かなり効率のよい「知識の整理」が行われます。
6年になって地理に苦手意識をもつお子さんの多くは、この『都道府県』の名前、形、場所のイメージが出来ていません。あるいは忘れてしまっています。「引き出し」がなければ「知識の整理」はできません。頭の中の知識が体系化されずに散らかっている状態では、どんなに多くの社会科用語を覚えていても、様々な角度から適切な知識を「引き出す」ことを要求してくる模試や過去問に対応するのはなかなか難しいものです。
今回は地理分野にしぼってお答えさせていただきましたが、たとえば歴史では、この「引き出し」が『時代』になります。歴史用語の暗記に追われているお子さんには、「今、何時代の勉強をしているの?」という問いかけが非常に有効です。「聖徳太子」と聞いて「飛鳥時代の…前半?」と答えられるような子を「時代感覚がある」といいます。そして多くの私立中学校は、この「時代感覚」の有無を問う問題を作成してきます。
もちろん、効率のよい勉強方法はお子さんひとりひとりによって異なるものですが、上記の視点を持ち、問いかけをはさんであげるだけで、社会の学習はかなりの程度、効率化することが可能です。多少なりともお子さんが「ひたすら言葉を覚えている割にはテストで点が取れない」状態から抜け出す一助となれば幸いです。
(※SS-1(エスエスワン)「社会の家庭学習がうまくいっていません(後編)」より転載)
【関連ページ】社会の家庭学習がうまくいっていません(前編)
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