地方公務員は、福祉や文化、教育などの地域環境の整備や行政サービスの提供を通じて地域住民に貢献する職業です。現在、日本では270万人を超える地方公務員の方が活躍しており、安定した職業としての地位を確立しています。
今回は、地方公務員になるために必要な応募の方法や受験資格、採用職種、試験の概要などについて分かりやすく解説しますので、公務員を目指している方は参考にしてみてください。
1.地方公務員とは
地方公務員とは、都道府県や市町村などの地方自治体に直接雇用され、行政サービスなどを提供する職業です。地方公務員と聞くと都道府県庁や市町村役場に勤めている人をイメージするかもしれませんが、これらの役場に勤めている人だけが地方公務員ではありません。
都道府県や市町村の出先機関である上下水道局や河川管理事務所、土木事務所、それ以外にも公立病院や公立学校などに勤めている人もほとんどが地方公務員です。また、地域の安全を守る警察官、火災や救急時に出動する消防士なども大部分の方が地方公務員となっています。
地方公務員は、省庁などの国の機関に雇用される国家公務員とは区別され、地方公務員法という法律によってその身分が保障されます。地方公務員法は安定した行政サービスを継続して提供できるよう、民間労働者に認められている団体交渉やストライキなどの労働基本権を制約する条項が定められています。そのため、地方公務員は団体交渉などによって賃金交渉などを行うことはできませんが、人事院勧告という制度によって民間企業の正規雇用者と遜色ない給与の支給が保障されています。
2.地方公務員になるには?
地方公務員になるには2つの方法があります。1つ目は、各自治体で行われる採用試験に合格して地方公務員となる方法です。もう1つの方法は、特別職と呼ばれる知事や地方議会議員のように住民の選挙によって公務員になる方法です。
この記事では一般的な採用試験を経て地方公務員になる方法について見ていきます。
2-1.応募の方法
地方公務員の採用は各自治体に裁量が与えられているため、採用試験も自治体ごとに行われるのが一般的です。東京都の特別区のように23区併せて一斉に採用試験が行われることもありますが、基本的には各自治体が定めた募集要項に従ってそれぞれの自治体で試験が実施されます。
そのため、応募に必要な試験案内や受験申込書は各自治体から直接入手しなければなりませんが、最近は試験案内などをインターネットなどでダウンロードすることも可能です。
しかし、試験によっては郵送での申込みや配布場所に行って入手しなければならない場合もあるため、配布状況などについても各自治体のホームページなどで確認しておく必要があります。
応募はインターネットや郵送、持参などの方法があり、自治体が定める方法で採用試験の申し込みを行います。複数の申し込み方法が指定されている場合は、受験者の都合のいい方法で応募することもできますが、応募方法によっては募集締め切り期日などが異なる場合もあるので注意が必要です。
また、インターネットで試験の申し込みを行う場合は、入力した申込内容を控えておくために、印刷やスクリーンショットなどで入力内容を保存しておく必要があります。郵送の場合は、締め切りの期日が「消印の日付」と「必着の日付」の2パターンあるため間違えないように注意し、受け取りの記録などが残るように簡易書留などで郵送しなければなりません。
2-2.受験資格
地方公務員の受験資格はそれぞれの自治体や職種ごとに決められていますが、主に下記の4点で受験資格が設けられます。
- 地方公務員の欠格条項に該当しないこと
- 年齢要件
- 学歴要件
- 資格要件
地方公務員の欠格条項に該当しないこと
地方公務員法には公務員試験を受けることのできない欠格条項が明記されており、成年後見人や被保佐人に該当する場合、執行猶予期間中の者、地方自治体で懲戒免職の処分を受けて2年が経過しない者などは受験することができません。
年齢要件
地方公務員の採用においては多くの職種で年齢要件が設けられています。地方初級試験(高卒程度)では18歳〜21歳前後、地方上級試験(大卒程度)では上限の年齢が29歳〜35歳に制限されている場合がほとんどです。中には、経験者採用として年齢制限のない募集を行っている自治体もありますが、多くの自治体は受験資格に年齢要件を定めています。
学歴要件
公務員試験では地方上級(大卒程度)や地方初級(高卒程度)のように採用試験の出題レベルを分けて募集を行うのが一般的です。しかし、実際に学歴要件が定められている訳ではなく、地方上級(大卒程度)の試験を高卒の学歴で受験することもできます。ただし、一部の専門職などでは大学卒業や大学院卒業を受験資格としている試験もあるため、応募前には必ず自治体の職種ごとに募集要項を確認するようにしましょう。
資格要件
地方公務員では、一部の専門職で社会福祉士や保健士、獣医などの資格を保有していなければ受験できない試験があります。基本的に、行政などの一般事務職は資格がなくても受験可能です。
受験資格の中では、ほとんどの職種で設けられている年齢要件に特に気をつける必要があります。
3.まずは採用職種を調べることが重要
地方公務員には様々な職種があるため、まずは採用職種を調べることがおすすめです。すでに志望する職種が決まっている方は、受験する自治体の試験実施科目などを調べることで効率的に試験対策ができます。
一方、具体的な志望職種が決まっていない方も、「どのような職種があるのか」「それぞれの試験はどのような科目が出題されるか」などを把握するために採用職種を調べることが重要です。
この場合、全ての職種に共通する一般教養試験などの対策をしながら、採用試験が実施される数か月前までには志望職種を決めなければなりません。まずは採用職種と募集要項などをよく調べることから地方公務員合格への道のりは始まります。
4.試験の概要とその後の流れ
地方公務員試験は一次試験と二次試験を経て合格者が決まります。
一次試験
一次試験では、教養択一式試験や専門択一式試験(職種によっては記述式)、論文試験などが実施されます。択一式試験はマークシート方式による5肢択一の出題形式です。教養択一式試験はほとんどの職種で実施されますが、その他の試験は受験する自治体や職種によって実施状況が異なるため、事前にそれぞれの職種の募集要項などをよく確認しておく必要があります。
二次試験
一次試験の合格者を対象に二次試験が実施されます。二次試験は面接試験となっており、個別面接や集団面接、集団討論などの方法で実施されますが、自治体や職種によって実施状況が異なるため事前の確認が必要です。昔の公務員試験は「面接試験は形式的なもの」と言われていましたが、最近の公務員試験では人物を重視する傾向が強くなっているため面接試験の結果も合否に大きく影響します。
一次試験と二次試験に合格すると内定が出ますが、二次試験に合格できなかった場合でも補欠合格となることがあります。地方公務員試験も競争試験のため基本的には募集定員の人数が合格となりますが、内定の辞退者が出る場合は補欠合格の人が繰り上がりで採用されるシステムです。
地方公務員試験では、複数の自治体や職種を受験する方が多くいるため、他の試験に合格した受験者が内定を辞退することも珍しくはありません。そのため、採用する自治体も過去の内定辞退の実績人数などから補欠合格者を決定しているため、補欠合格による繰り上がり採用も少なくありません。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は地方公務員になるための概要や試験の流れなどを説明しました。地方公務員は職種が多いため、まずは採用職種について詳しく調べる作業が必要です。また、採用試験を実施している地方自治体や職種によって受験資格や試験科目なども異なるため、事前に募集要項などをよく確認してから試験対策を行うようにしましょう。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、後手にまわってしまいやすい二次試験の対策もしっかりとできるカリキュラムとなっており、一次試験も二次試験もどちらもトータルバックアップできる体制が整っています。
公務員を目指している方は、ぜひ一度資料請求や無料体験をお申し込みください。
【詳細ページ】資格スクール大栄の公務員受験対策講座の詳細を見る
【関連ページ】資格スクール大栄の公務員受験対策コースまとめ