最近の公務員試験では面接試験の結果が重視される傾向にあります。筆記試験は合否を左右する重要な試験ですが、内面やコミュニケーション能力などが問われる面接試験の重要性も高まっているので、しっかりと対策を行う必要があります。
そこで今回は、面接試験の概要や形式、対策のポイントなどを分かりやすく解説します。面接試験対策で悩んでいる方や公務員試験の受験を考えている方は、ご参考ください。
1.面接試験とは?
公務員試験では受験する職種や自治体などによって試験の内容が大きく異なりますが、多くの試験では一次試験(筆記試験)と二次試験(面接試験)によって選考が行われます。
一次試験では主にマークシート方式の教養試験や専門試験などが課されますが、試験によっては記述式の専門試験や論作文が課されることもあります。
そして、一次試験に合格した受験者のみが二次試験である面接試験に進み、面接試験の結果で最終的な合否判定が行われます。
以前は一次試験に合格すれば「二次試験ではよほどのことがない限り落とされることはない」と言われるほど、学力重視な選考課程でした。
しかし、最近の公務員試験は、面接試験の結果も大きく影響する人物重視の選考過程となっているため、筆記試験と同様に結果が求められています。以下は、様々な公務員試験の各試験における採点比率や配点をまとめた表です。
職種 | 教養試験 | 適性試験 | 専門試験 | 論文試験 | 面接試験 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
国家公務員※ | 大卒程度 一般職行政 | 2/9 | 4/9 | 1/9 | 2/9 | 9/9 | |
大卒程度 総合職 | 2/15 | 8/15 | 2/15 | 3/15 | 15/15 | ||
高卒程度 事務 | 4/9 | 2/9 | 1/9 | 2/9 | 9/9 | ||
神奈川県 | 大卒程度 I種行政 | 100 | 100 | 50 | 300 | 550 |
※ 国家公務員の各試験の数値は配点比率です。
国家公務員試験について確認してみると、大卒程度一般職の行政区分では配点比率の9分の2(約22.2%)が面接試験により評価されています。また、高卒程度の事務においても同様の比率です。専門試験に重きを置く総合職の試験でも15分の3(20%)が面接試験によって評価される仕組みとなっています。
面接重視の傾向は地方公務員試験で特に顕著になっており、神奈川県の大卒程度Ⅰ種行政では、評価の半分以上を占める550点満点中300点(約54.5%)が面接試験の配点です。
以上は一例に過ぎませんが、公務員試験全体として面接試験の評価を重視する傾向が顕著です。そのため、公務員試験を受験するためには面接試験についても事前の対策が必要不可欠となっています。
2.面接試験の形式
面接試験は受験する職種や自治体などによってその形式が異なります。主に個別面接や集団面接、集団討論といった形式で実施されることとなりますが、どのような面接試験が課されるのかは事前に試験案内などで確認しておくことが重要です。
まずはそれぞれの面接試験形式について、詳細を確認してみましょう。
2-1.個別面接
個別面接は最もオーソドックスな面接形式で多くの職種や自治体で実施される面接試験です。受験者1人に対して面接官が3~4名の態勢で実施され、出願時や一次試験合格後に渡されるES(エントリーシート)の記載内容などに沿って面接が進められます。面接時間は受験者1人あたり15~30分程度で、志望動機や自己PRから採用後に取り組みたい仕事などについて質問されます。
個別面接では、質問事項に対して自分の言葉で面接官に考えを伝えられるかどうかが重要なポイントです。そのため、面接官の質問内容を正確に把握することが大切で、その質問に対して明瞭簡潔に回答する力が求められます。
2-2.集団面接
集団面接は一部の地方自治体などで実施されている面接形式です。受験者3~8人程度に対して面接官3~4名で実施され、質問に対しては面接官の指名や挙手によって回答を行います。集団面接では個別面接と同様の質問をされることが多く、志望動機や自己PRなどのオーソドックスな質問がメインです。
個別面接と同様に自分の言葉で面接官に考えを伝えられるかどうかがポイントになりますが、集団面接では受験者1人あたりにかけられる時間が個別面接よりも短くなるため、より簡潔に回答できる能力も求められます。集団面接を実施する自治体はあまり多くありませんが、個別面接とは要領が異なるため、事前に模擬面接などで対策を行うことも重要です。
2-3.集団討論
集団討論は5~10人ほどの受験者が一つのグループとなって、与えられた社会問題などの課題に取り組む面接試験です。面接官の質問に回答する個別面接や集団面接とは大きく異なり、グループ内での話し合いや結論を導き出す過程における各受験者のコミュニケーション能力やリーダーシップ、社会性などが判定のポイントになります。個別面接などでは求められない他者との調整能力やリーダーシップなども必要となるため、対策が必要になります。
また、集団討論では与えられる課題についての知識がなければ積極的に討論に参加することもできないため、社会問題や政策などに関する知識を身に付けておかなければなりません。
3.面接試験での注意点
面接試験の最も難しいポイントは筆記試験のような模範回答が無い点です。例えば、2人の受験者が面接官の質問について同じ回答をしたとしても、そこまでの会話の流れによっては面接官に異なる印象を与えることもあります。
そのため、決められた試験範囲を学習する筆記試験とは異なり、面接試験では何を求められているかを常に把握しながら回答できるよう対策を行うことが重要です。ここでは、個別面接や集団面接の対策を行う際に気をつけなければならない主な3つのポイントを確認してみましょう。
- 面接シートやエントリーシートの内容
- 志望動機
- 身だしなみやマナー
3-1.面接シートやエントリーシートの内容
面接試験では、出願時や一次試験合格後に提出する面接シートやエントリーシートの内容を確認しながら面接官が質問を行います。そのため、面接シートやエントリーシートに沿った回答ができるようにシート作成と準備を行うことが重要です。
3-2.志望動機
志望動機は民間企業でも面接時に必ず聞かれますが、公務員の場合は「なぜ公務員でなければならないのか?」という趣旨の質問をよく受けます。
また、地方公務員の面接試験では「なぜこの自治体を受験したのか」「この自治体でなければならない理由は」という趣旨の質問をされるため、これらの質問に対しては事前に受験する自治体の政策などを調べて、説得力のある回答を準備しておくことが必要です。
3-3.身だしなみやマナー
身だしなみやマナーについては面接試験の前に最低限の振る舞いを身につけておかなければなりません。身だしなみやマナーが良いからといって面接の点数が跳ね上がるわけではありませんが、基本的なマナーは大切です。
特に公務員は市民や国民から信頼されなければならない立場となるため、不潔な見た目やだらしのない受け答えは禁物です。面接試験ではどれだけ優秀な回答をしても、相手に不快な思いをさせてしまうと評価が下がってしまう可能性もあります。そのため、第一印象となる身だしなみや、入室や着席の際の最低限のマナーには十分注意して試験に臨まなければなりません。
面接試験対策としては、実戦形式の模擬面接を行うことで身だしなみや最低限のマナー、面接時の雰囲気などをチェックすることができます。また、集団討論においても実際にやってみて初めて自分のアピールポイントなどを把握することができます。
しかし、模擬面接等は個人で行うことが難しいため、知人・友人に協力してもらったり、必要に応じて資格スクールなどを活用したりすることも検討してみてください。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は面接試験の特徴や対策のポイントについて解説しました。近年の公務員試験は面接試験の重要度が増しているため、筆記試験と同様に事前の対策をしっかり行うことが重要です。そのため、受験する職種や自治体が決まったら試験要項などで実施される試験の内容を確認し、面接試験までを想定した試験対策のスケジュールを立てることをおすすめします。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、独学では乗り越えづらい2次試験に対応するため、1次試験から2次試験までをトータルにサポートする戦略的な試験対策指導に力を入れています。また、2次試験の前には論作文の添削や集団面接練習、集団討論練習など受験者の必要に応じた対策講座を設けています。
エントリーシートの作成から面接対策まで行うカリキュラム構成により、早くから2次試験に向けた準備を行うことができます。職種別のコース選択が可能なことや、受験者一人ひとりに合わせた徹底的なサポートは、最後の難関と言われる2次試験対策では頼りになるでしょう。
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