これまで据え置かれていた社労士試験の受験料が2021年度から改定されます。2020年度は新型コロナウイルスによって様々な資格試験が大きな影響を受けましたが、2021年度も依然先行きは不透明となっているため、今後の状況が気になる受験予定者の方も多いでしょう。
そこで、この記事では2021年度の社労士試験の内容とスケジュールについて詳しくご紹介します。社労士試験の受験を検討されている方は、参考にしてください。
1. 2021年度社労士試験の注意点
2021年度に実施される第53回社労士試験の詳細は4月中旬に公示される予定ですが、現在(2月12日時点)で判明している注意点は以下の通りです。
1-1 受験料が9,000円から15,000円に
2021年度から、これまで9,000円だった社労士試験の受験料が15,000円に引き上げられることとなりました。社労士試験の受験料は「社会保険労務士法施行令」という政令で定められていますが、令和3年1月29日に改正され、公布と同時に施行されたことが公告されています。
全国社会保険労務士会連合会が社労士試験の実施団体となった2000年以降は9,000円で据え置かれていましたが、今回15,000円に引き上げられたことによって約20年ぶりの値上げとなります。
昨年末から受験料の引き上げについては議論されていましたが、試験の実施における新型コロナウイルス感染症の感染予防対策の必要性や、積立金の状況、受験者数の実績等を踏まえ値上げに至りました。
社労士試験は社会人の方の合格率が高い試験で、人によっては何年も試験にチャレンジして合格を目指す場合もあるため、受験料の負担が増えることになります。なお、今後も必要に応じて受験料の見直しが行われる予定です。
1-2 新型コロナウイルスの影響
2020年度は様々な資格試験が新型コロナウイルスの影響を受けました。3密を回避するために予定されていた試験会場を変更した試験もあれば、日程変更や中止になった資格試験などもあり、スケジュールに気を使う1年となりました。
社労士試験も試験センターへの願書持ち込みが中止(郵送のみ)となり、願書の請求も郵送を推奨されるなど少なからず影響を受けました。
2021年度も依然として不透明な情勢は続くと予想されており、試験に関する情報収集が非常に重要です。全国社会保険労務士会連合会では随時最新の試験情報が更新されているため、試験の実施状況や受験申込みの日程等は常に最新のものを確認することが大切です。
2. 社労士試験の概要
ここからは社労士試験の概要や試験内容について確認してみましょう。
2-1 社労士試験とは?
社労士試験とは、合格率が例年5~6%前後の難関な国家試験です。以下は過去10年の受験申込者数と受験者数、合格者数の推移をまとめたものです。
・社労士試験 受験申込者数・受験者数・合格者数の推移
参照:全国社会保険労務士会連合会試験センター
ここ10年で受験者数は減少傾向にありますが、昨年は新型コロナウイルスの影響もあり、さらに受験者数が減少しています。この受験者数と合格者数から合格率を計算したものが以下の表です。
・社労士試験 過去5年合格率
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | |
受験者数 | 39,972 | 38,685 | 38,427 | 38,428 | 34,845 |
合格者数 | 1,770 | 2,613 | 2,413 | 2,525 | 2,237 |
合格率 | 4.40% | 6.80% | 6.30% | 6.60% | 6.40% |
年度によって差はあるものの、合格率は概ね5~6%前後となっています。このように、社労士試験は難関試験にも関わらず合格者の中に占める社会人の割合が大きい試験となっています。なお、令和2年の職業別合格者をまとめたものが以下の円グラフです。
・合格者の職業別割合
参照:全国社会保険労務士会連合会試験センター
会社員や公務員、自営業、団体職員、役員をすべて合わせると78.3%となっており、多くの社会人の方がキャリアアップなどを目指して受験する試験となっています。
2-2 試験の基準・内容
社労士試験は1日で選択式と択一式の2つの試験が課され、選択式が80分、択一式が210分のマークシート方式で実施されます。社労士試験の試験科目と問題数、および配点は以下の通りです。
・試験科目
試験科目 | 択一式(配点) | 選択式(配点) |
労働基準法および労働安全衛生法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
労働者災害補償保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
雇用保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 10問(10点) | 1問(5点) |
社会保険に関する一般常識 | 1問(5点) | |
健康保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
厚生年金保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
国民年金法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
計 | 70問(70点) | 8問(40点) |
択一式は計7科目各10問の70点満点、選択式は計8科目各1問の40点満点で出題されます。問題数は択一式が合計70問、択一式が合計8問となっており、試験時間から計算すると、択一式は1問あたり3分、択一式は1問あたり10分の解答時間となるため、正確さだけでなくスピードも求められる試験です。
また、試験の合格基準は試験ごとの総得点と科目ごとの最低必要得点で判定される仕組みとなっており、それぞれの試験の総得点で合格点を上回るだけでなく、科目ごとに定められた足切り点もクリアしなければならないため、苦手科目があると合格はなかなか難しい試験となっています。
令和2年度は選択式が総得点25点以上かつ各科目3点以上(労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法の3科目は2点以上)、択一式は総得点44点以上かつ各科目4点以上が合格ラインとなっています。
例年、選択式は25点前後(各科目3点以上)、択一式は45点前後(各科目4点以上)がボーダーラインとなりますが、試験の難易度によって科目ごとの最低必要得点が引き下げられる措置もあり、令和2年度は選択式試験の3科目でこの措置が実施されています。
3. 社労士試験のスケジュール・流れ
こちらでは社労士試験の受験申込みから合格発表までのスケジュールと流れを確認してみましょう。
3-1 受験案内の請求
郵送による請求は例年3月上旬から、窓口での受け取りは例年4月中旬から始まります。
3-2 受験申込み
・郵送…例年4月中旬から開始となり、5月末日消印のものまで有効
・窓口…例年4月中旬から5月の最終営業日の窓口終了時間まで受付
3-3 試験日
例年8月の第4日曜日に実施されており、例年通りであれば2021年度は8月22日に実施される予定です。
3-3 合格発表
例年11月上旬から中旬にかけて合格者が発表されます。
2021年度の社労士試験は4月中旬ごろに試験の詳細が公示される予定です。詳細なスケジュール等は必ずホームページで確認するようにしてください。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では2021年度社労士試験の注意点や試験概要などをご紹介しました。受験料の値上げや新型コロナウイルスの影響が主な注意点となるので、最新の情報を確認しながら試験の準備を行うようにしましょう。
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