人々の身体と健康を支える専門職である保健師は、就職先や働き方が幅広く、様々な場所で活躍できる職業です。保健師は、国や地方自治体が運営する機関や施設で働くことで、公務員保健師としての働き方を選択することもできます
この記事では、公務員保健師の概要やメリット、公務員試験の情報を見ていきましょう。
公務員保健師とは?
公務員保健師とは、国や地方自治体が運営する機関や施設で働く保健師です。公務員保健師となるには、まず保健師資格を取得しなければなりません。保健師は国家資格ですが、同じく国家資格である看護師資格を取得後、所定の単位を履修し保健師国家試験に合格しなければなりません。
ダブルライセンスに加えて、公務員試験の通過も必要です。
公務員保健師の勤務先として、行政や学校・病院などが挙げられます。平成30年の「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」では、保健師の勤務先が以下のような割合であると発表されています。
保健師の就業場所 | 保健師の就業割合(%) |
病院 | 6.2 |
診療所 | 3.8 |
助産所 | 0 |
訪問看護ステーション | 0.5 |
介護保険施設等 | 2.5 |
社会福祉施設 | 0.8 |
保健所 | 15.3 |
都道府県 | 2.6 |
市区町村 | 56 |
事業所 | 6.3 |
看護師等学校養成所又は研究機関 | 2.2 |
その他 | 3.8 |
このなかで公務員保健師に当てはまるのは、保健所・都道府県・市区町村などで働く「行政保健師」と、公立病院や公立教育機関で働く「学校保健師」「病院保健師」です。
行政保健師
保健師の資格を取得した人の多くは行政保健師として、保健所や保健センター・都道府県庁・市役所・町役場に勤務します。先ほど紹介した、平成30年の「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」でも分かるように、保健師全体のうち行政保健師として勤務する人の割合は約70%です。
保健師の多くは公務員として行政で勤務をすることがわかります。行政保健師といっても勤務先によって仕事内容は異なりますが、共通している役割は国民や地域住民の健康維持や健康増進のサポートを行うことです。
医療専門職として専門知識を有しながら、国民や地域住民の健康を多角的にサポートしていかなければなりません。
学校保健師
学校で働く保健師を学校保健師と言いますが、そのうち公立学校で働く保健師は公務員に分類されます。
学校保健師の役割は、学校に通う生徒や教職員の健康管理・健康指導を行うことです。体調不良を訴える方やけがをした方の手当などはもちろんですが、学校内での疾病予防に関する取り組みや健康指導も重要な役割となっています。
病院保健師
病院で働く保健師を病院保健師と言いますが、なかでも公立病院へ勤務する場合は公務員に分類されます。
主な仕事内容としては、病院付属の健診センターなどで健康診断や健康指導を行うことや小児科での予防接種サポート・精神科での患者指導などが挙げられます。また、患者だけでなく病院内で働く専門職やスタッフの健康指導・健康管理も重要な役割です。
公務員試験の受験資格
公務員保健師になるには、第一に看護師養成機関での単位を履修した後、看護師国家試験の合格を目指さなければなりません。看護師資格取得後、保健師養成機関での単位履修を行い(看護師養成機関で保健師科目の取得ができれば不要)、保健師の国家資格を取得する必要があります。
保健師資格を取得できれば、国や地方自治体が開催する公務員採用試験を受験します。公務員採用試験は、受験する機関や施設によって異なりますが、一般的に資格要件と年齢要件を満たさなければなりません。
資格要件
保健師として勤務をする場合は、保健師資格が必須となります。保健師資格を有していないと、資格要件を満たすことができず、公務員採用試験を受験することができません。
資格取得見込みでも可能であるケースがほとんどなので、希望する採用試験の受験資格を確認しておきましょう。
年齢要件
公務員採用試験のほとんどは年齢要件を設けているケースがほとんどです。
参考までに、各保健師採用試験(令和3年度入職)の年齢要件を見ていきましょう。
東京都福祉保健局 | 昭和56年4月2日から平成11年4月1日までに生まれた人 |
大阪府 | 昭和55年4月2日以降に生まれた人 |
愛知県 | 昭和36年4月2日以降に生まれた人 |
年齢要件は各都道府県や市区町村によっても異なるため、事前に確認しておくことがベストです。
公務員保健師として働くメリット
公務員保健師として働くメリットは、以下の3点が挙げられます。
1. 雇用の安定性や福利厚生の充実
2. 社会貢献を密に感じることができる
3. 勤務先が幅広く、転職しやすい
公務員保健師として働く大きなメリットは、公務員であることの安定性や福利厚生の充実です。公務員であることから責任感は大きくなりますが、安定面の不安は不要だと言えるでしょう。
また、公務員保健師として働くことで指導対象の国民と密に接することができます。社会貢献を直に感じることができる点もメリットです。
更に、勤務先が幅広いことから転職しやすい職業です。保健師は看護師資格も有しているので活躍の場は選択が自在だといえるでしょう。
まとめ
医療の専門職として、人々の身体と健康を支える保健師は、国や地方自治体が運営する機関・施設で公務員として従事することができます。
看護師・保健師資格のダブルライセンス取得に加え、公務員採用試験に通過する必要があることから、公務員保健師への道のりは容易ではありません。
特に、公務員採用試験は都道府県や自治体によって受験資格や試験が異なるため、事前に確認をしたうえで余裕を持った学習計画を進めていきましょう。
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