上司に「簿記の勉強しろ!」と言われたものの「『簿記知識』がなくても社会人としてやっていけてるし!」「経理事務では『簿記』よりもパソコンが出来れば十分では?」「専用の会計ソフト使ってるんだし、『簿記知識』いらないでしょ?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
資格試験において不動の人気を誇ると言われる「簿記」ですが、どのくらい人気かというと、2021年の簿記受験者数は3級158,155人、2級81,235人、1級13,945人(日本商工会議所発表)。ちょっと驚く人数ですよね。
なぜ簿記知識を身に付けたいと考える方が多いのでしょうか。今回は、より多くの人が簿記知識を身に付けた方がいい理由を、簿記試験の内容を見ながらその理由を考えていきます。
◆簿記って何? 簿記の目的は何?
『簿記』とは『帳簿記入』の略語です。帳簿に記入する内容は、日々の「取引」です。「取引」、つまり、「企業の財産増減を伴う営業活動の結果」を記入していきます。
では「なぜ取引を帳簿に記入しなければならない」のでしょうか。それは、企業にとって営業活動の結果を『共通ルールに基いて、誰にでも分かり易い形で示すこと』が必要だからです。示す相手は、上司や、社長かも知れませんし、出資者かも知れません。そのために、最終的に「決算書」を作成します。決算書で分かることは以下2点です。
- ある時点での会社の財産
- ある一定期間(1年間)での営業活動の結果(儲かったのか、損したのか)
この「決算書」を判断材料として、企業は今後の方向性を決めたり、投資家は投資判断をします。会社の状態を正確に知るためにも、共通のルールに基づいた正確な情報が必要になるのです。
◆受験級による内容の違いは何?
では、必要な共通ルールなのに、なぜ簿記には【級】が存在するのでしょうか。
それは、企業は「個人商店」から「中小企業」「大企業」などと、企業規模・形態に差があり、扱う営業取引にも幅があるからです。この差が【級】の内容差に繋がっています。
簡単にお伝えすると、簿記3級では『個人商店で扱う取引の記入方法』、つまり、簿記の基礎を学習します。次に、簿記2級では『株式会社(中小)の会計体系』を学習します。株式会社で働く方が簿記の知識を身に付けるのであれば、2級まで目指されると良い理由は、この学習範囲にあります。そして、簿記1級では、『大企業の会計処理』を学びます。1級では、「簿記の●●は、なぜこのルールなのか?」という疑問に対して、説明が出来るような理屈も学習します。そのため、財務関係に携わる方にとってはこのレベルの知識が必須となります。
簡単ではありましたが、働く人にとって簿記の知識があると良い理由をお伝えしました。簿記の知識を身に付けて、「決算書」から会社の健康状態を把握出来るようになるといいですね。自分の勤務先の状況も良く分かって、会社の方向性が予測出来るようになるかもしれませんよ!