安定した職業として人気の高い公務員には、「地方公務員」や「国家公務員」といった種類があり、その職務内容も事務系から技術系まで様々です。数ある職種から自分に最も合った仕事を選ぶことができ、さらに福利厚生が整っているなど様々なメリットがあります。今回は、公務員を目指す方法がわからないという方のために、公務員の概要や特徴、公務員になるための方法を紹介するので、参考にしてみてください。
1.公務員とは
公務員とは、国や地方公共団体などの職員として働く職業を指します。営利を目的とする民間企業とは目的が大きく異なり、行政サービスなどの社会の維持安定に貢献する仕事を担う職業となります。
公務員として働くメリットは次の通りです。
- 職が安定している
- 収入が安定している
- 福利厚生や職場環境が整っている
- 職種の選択肢が幅広い
1-1.職が安定している
公務員は景気に左右されることのない安定した職業となります。多くの公務員は国家公務員法や地方公務員法という法律によってその身分を保障されているので、長期間にわたって社会問題などを解決するために公務員としての職務を全うすることができます。
民間企業では会社の業績悪化や倒産などによって職を失う可能性も少なからずありますが、公務員は景気の悪化や業績不振によって職を失うということはほとんどありません。
1-2.収入が安定している
公務員は安定した収入が保証されていることもメリットの一つです。公務員は安定した公共サービスを提供しなければならないため、民間の労働者に認められているストライキなどの労働基本権に制約が設けられています。その代わり、人事院が民間給与の調査を行い、大きく乖離しない範囲で給与を支給することを内閣に勧告する制度があるため、公務員は団体交渉やストライキなどをしなくても安定した収入が得られる仕組みとなっています。
また、人事院が調査する民間給与は正社員のみが対象となっているため、国税庁が公表している非正規雇用なども含めた民間給与水準より高い水準となっています。さらに決められた給与が毎月支給されるだけでなく、夏と冬に年2回のボーナスも支給されるため収入は安定しています。
公務員は民間企業の役員や経営者がもらっているような高年収を目指すことはできませんが、安定的に勤められる職業で安定した収入が得られる点は大きなメリットです。
1-3.福利厚生や職場環境が整っている
公務員は福利厚生や退職金などの制度も整っています。基本的に週休二日制で産休や育児休暇なども整備されており、定時に上がることができる環境が整えられているので性別を問わず働きやすい職場となっています。
また、育児の短時間勤務や介護休暇などの制度も整っており、プライベートと仕事が両立できる職場環境を整えている点もメリットです。さらに、一部の民間企業では導入されていない退職金制度も完備されており、金額も民間企業の統計を超える水準となっているため、将来の安心感にもつながっています。
1-4.職種の選択肢が幅広い
公務員には多彩な職種があり、就職の際の選択肢が豊富な点も大きなメリットです。国家公務員と地方公務員を併せると相当の職種が存在し、職務の内容や勤務地なども様々な条件から選ぶことができます。
2.公務員の種類・特徴
人事院によれば、平成29年度時点で国家公務員と地方公務員を合わせて330万人以上の方が公務員として働いています。まずは国家公務員と地方公務員のそれぞれの職種と内容を確認してみましょう。
2-1.国家公務員
国家公務員は国が管轄する機関で働く職員です。主に以下の職種で採用活動が行われます。
国家一般職
1府12省庁で働く職員です。各省庁などに直接採用され、政策の立案や企画などを担います。
国家総合職
国家一般職と同様に1府12省庁で働く職員であり、官庁の幹部候補生として将来の行政事務の中心的存在となる職種です。
裁判所一般職
裁判所の運営に必要な事務や、裁判手続きの補助などの業務を担います。
国税専門官
国税局や税務署で働く税務の専門職です。調査などを行う国税調査官は良く知られていますが、徴税業務を担う国税徴収官や強制捜査などを行う国税査察官などの仕事にも従事します。
労働基準監督官
都道府県の労働局や労働基準監督署で働く労働法規の専門職です。労働状況等の調査や指導などを行う臨検監督、労災の調査や再発防止の指導を行う災害調査、労働関係法令の違反行為などに対して捜査や送検を行う司法処分などの職務を担います。
このように、国家公務員は一般事務職である国家一般職以外にも多くの専門職が存在します。
2-2.地方公務員
地方公務員は地方自治体で働く職員です。採用活動は都道府県や市区町村といった単位で行われます。
都道府県
地方公務員は、都道府県庁だけでなく水道局や道路・河川管理事務所、学校、病院、児童福祉施設など様々な勤務先で活躍しています。
職種は行政事務を行う「事務系」と専門知識を要する「技術系」に大きく分けられ、それぞれの採用は定員を設けて別々に行われます。技術系では、土木や建築、機械、電気だけでなく、農学や獣医などの職種も募集されることがあります。
市町村
市町村の公務員も様々な活躍の場所があり、市町村役場以外にも上下水道局、保健福祉センター、病院などがその勤務地です。
採用は都道府県と同様に、行政事務などを扱う事務系と専門職である技術系などの職種に分けて行われますが、公立学校の職員や消防士など独自に行われる職種もあります。
都道府県や市町村の職員はそれぞれの自治体で採用活動が行われており、東京の特別区は23区で合同の採用活動が行われます。また、上記の他にも地方公務員は多数活躍しており、市民の安全を守る警察官などは、そのほとんどが都道府県の地方公務員です。
3.一般職と特別職の違い
国家公務員や地方公務員を全て公務員と一括りにして説明してきましたが、公務員には「一般職」と「特別職」という2つの形態に分かれます。
一般職
国家公務員法や地方公務員法によってその身分が保障される公務員です。ストライキなどの労働基本権に制約を受けるほか、成績主義の原則によって能力試験に基づいた採用が行われ、採用後の評価なども同原則に従って行われます。
特別職
一般職とは異なり、国家公務員法や地方公務員法を適用することが相応しくないとされる職業が特別職です。内閣総理大臣や国務大臣、地方公共団体の長、国会議員、地方議会の議員などの国民や住民の支持によって就任する職業のほか、三権分立の観点から裁判官や裁判所の職員、国会職員、防衛省の職員などの他の法律の適用を受ける公務員が該当します。
裁判所の職員や国会職員、防衛省の職員などを除いて採用試験を受ける公務員はほとんどが一般職になります。
4.公務員になるには
公務員になるためには主に二つの方法があります。一つ目は、前述した特別職の議員などで選挙などに当選することで公務員としての身分を獲得するものです。この方法は、政治などに携わるごく一部の方にしか当てはまらない方法となります。
もう一つは、採用試験に合格して公務員となる一般的な方法です。ただし、国家公務員の採用試験は職種によって実施要項が異なり、筆記試験の科目なども大きく異なるので注意が必要です。地方公務員も各自治体によって募集要項が定められており、自治体によって試験の科目や面接試験の内容(個別面接や集団討論)なども変わります。大卒程度の公務員試験では一般教養試験と専門試験、面接試験が課されるのが一般的です。
公務員になるためには希望の職種を探すことから始めるのが大切です。その後、その職種が国や地方自治体でどのように募集されているかを確認し、それぞれの募集要項などをしっかりと確認した上で、試験対策を行うことが重要です。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は公務員の種類やその職務などを説明しました。公務員は安定した人気の職業のため、民間よりも競争倍率が大幅に高い職種もあります。しかし、そのぶん仕事のやりがいや満足感を得られる職業となるので、公務員を目指す場合は、まず自分に合った職種の検討から始めることをおすすめします。
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