公務員試験では、公務員としての適性を図る目的で、教養科目(数的処理や文章理解、時事問題など)や専門科目(法律や経済、社会学など)から問題が出題されます。
一般的には教養科目と専門科目の対策を行いますが、近年は作文や論文式の試験を課す自治体も増加しています。作文試験が課される公務員試験を受験する場合は、教養科目や専門科目に加えて、作文試験の対策も行う必要があります。
今回は、公務員試験の対策をこれから始める初心者の方に向けて、公務員試験で課される作文試験の概要や目的、対策するポイントを詳しくご紹介しますので、参考にしてみてください。
1.作文試験とは
作文試験とは、与えられた題目について個人的な意見や考え方を文章として記述する形の試験です。作文試験と類似するものに「論文試験」がありますが、実は作文と論文では意味合いが全く異なります。
作文は個人的な意見や考えを記述するものですが、論文は根拠や客観的な事実・データをもとに、与えられた課題の答えを記述するものです。そのため論文試験の場合は、主観ではなくロジカル思考や客観的な事実を論理的に伝える能力が求められます。
一方、作文試験は、自分の意見を伝える試験です。各自が主観的な意見を書くため、論文と比べると明確な採点基準はありません。作文試験で重要となるのは、自身の意見を正確な日本語や作法に基づいて、わかりやすく伝えることです。
細かな日本語の違いを明確に使い分けつつ、「段落変えの時は1マス空ける」などの作文の作法を守り、そして初めて読む人でもすぐに理解できるようなわかりやすい文章を作る必要があります。
作文では、序論(問題の再確認や簡単な結論など)、本論(問題に対する答えや背景にある経験や根拠など)、結論(まとめ)という流れを意識すると、わかりやすい文章を記述することができます。
2.作文試験の目的と対策するポイント
作文試験を受験生に課す意義は、業務で必須となる文章力を測ることにあります。
公務員は業種に関係なく、あらゆる仕事で文章を書く場面が多くあります。会議で用いる文書や報告書、住民に公表するパンフレット、生活に関する情報を伝えるホームページなど、あらゆるものを作成する際に文章力は必要となります。
一般教養や経済や政治に関する専門的な知識をどれほど持っていても、それをわかりやすく正しい文章で表すことができなければ、公務員としての職務を全うすることは難しくなります。
公務員にとって正確かつ分かりやすい文章を書く能力は、いわば必須のスキルです。業務で必須の文章力を測ることができる点で、作文試験は理にかなっていると言えます。
では、作文試験を対策するポイントを下記の3つに分けて、それぞれ見ていきましょう。
- 事実を端的に書く
- 過不足のない適切な文章量を心がける
- 作文の時間配分をあらかじめ考えておく
2-1.ポイント① 事実を端的に書く
公務員の作文試験で一番重要なことは、先ほどもお伝えした通り「わかりやすさ」です。一目で見て理解できる文章を書くためには、事実を端的な日本語で書くのが効果的です。具体的には、複雑な文章になりやすい3つの要素を取り除くことで、端的で分かりやすい文章になります。
- 二重否定
- 不必要な修飾語
- 回りくどい表現
二重否定
一つ目の要素は「二重否定」です。二重否定とは、否定表現を再び否定の表現で打ち消す表現です。
たとえば「海に行きたい」という文章を二重否定で表すと、「海に行きたくないわけではない」となります。二重表現を使っていないほうが、シンプルでわかりやすい文章になり、読者の理解も早くなります。
不必要な修飾語
二つ目の要素は「不必要な修飾語」です。修飾語とは、ある言葉の意味を補足する表現です。
たとえば「海を見て感動した」ことを伝える際、「とてもきれいで青くて輝いている海を見てとても感動した」と言うと、何を伝えたいのか分かりにくい文章となってしまいます。この場合、「輝いている」や「青くて」は言わなくてもわかるので取り除いたほうがいいでしょう。
また、名詞を具体的に説明する修飾表現を過度に用いると文の意味が分かりにくくなります。
たとえば「弟が会社を設立した」ことを伝える際、「昨年大学を首席で卒業した弟が来年卒業する予定の後輩と今年会社を設立した」とすると、内容は具体的ですが、読みにくい文章になります。一つの文章の中に「今年」や「来年」などの時間に関する単語や動詞が多いため、読者を混乱させてしまいます。
回りくどい表現
三つ目の要素は「回りくどい表現」です。たとえば過度に比喩や婉曲表現を使うと、伝えたいことが分かりにくくなることもあります。小説やビジネスシーンでは遠回しな言い方が好まれることもありますが、公務員試験ではこうした表現は不必要になることもあるので、注意しましょう。
2-2.ポイント② 過不足のない適切な文章量を心がける
公務員試験に限った話ではありませんが、作文試験では過不足のない適切な文章量を目指す必要があります。
ほとんどの作文試験では、「◯◯字程度」や「◯◯◯字以上~◯◯◯字以内」という形で文字数が指定されます。作文試験で合格点を取るには、この文字数指定に忠実に沿った作文を提出する必要があります。
指定よりも過度に文字数が少ないと、指示に従っていない上に内容の浅い作文となってしまいマイナス評価に繋がります。一方、指定よりも文字数が過度に多いと、指示に従っていない上に、内容が冗長で分かりにくい作文となり、こちらもマイナス評価になることがあります。
なお、「◯◯字以内」という指定が与えられた場合は、指定された文字数の8~9割は書いたほうがいいでしょう。出題者の指示に従うことも、作文試験では重要なポイントとなります。
2-3.ポイント③ 作文の時間配分を考えておく
作文試験を受ける際には、あらかじめ時間配分を考えておくことも重要です。時間配分を考えておかないと、終了間際で文字数が足りなくなってしまい、大幅に減点されたり、足切りをされたりする可能性があるからです。
そのため、作文試験対策として普段から「序論」「本論」「結論」にそれぞれどの程度の時間をかけるかを意識しておきましょう。時間配分を考えながら、端的でわかりやすい文章を作るトレーニングを重ねることが効果的です。
普段から時間配分を意識したトレーニングを積んでおけば、本番の作文試験でも焦らず、心に余裕を持って執筆できるようになります。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。公務員の作文試験は、教養試験や専門科目の試験と比べると、どうしても対策がおろそかになりやすい分野です。しかし、対策を怠った状態で本番に臨むと、時間配分に失敗したり、読みにくい文章を書いてしまったりするなど、合格点を取れない可能性もあります。
公務員試験の確実な合格を目指すには、作文試験の対策にも注力する必要があります。作文対策としては、普段から時間配分を意識して読みやすい文章作成を心がけることが重要です。
教養試験や専門試験で問われた内容と同様に、作文試験のトレーニングで培った文章力は実務でも役立ちます。公務員になった後の将来も考えて、作文試験の対策に臨みましょう。
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