公務員試験は全般的に倍率も高く簡単に合格できるような試験ではありません。そのため、公務員試験を受験する場合は出願から採用までの流れを把握し、綿密な学習計画を立てて試験に臨むことが重要です。なお、公務員試験は日程が重複しなければ複数の試験を併願受験できるため、併願まで考慮した年間スケジュールを確定させてから学習計画を立てることも大切です。
今回は、採用までの主な流れや併願受験の検討方法などを解説します。公務員試験の受験を検討されている方や、学習スケジュールを効率的に立てたい方は、参考にしてみてください。
1.公務員の採用までの流れ
公務員試験は出願から採用内定まで4か月から半年ほどの期間を要します。そのため、具体的な学習スケジュールを立てる前に採用までの流れをしっかりと把握しておくことが重要です。公務員試験の出願から採用・内定までの大まかな流れを表すと次のようになります。
- 出願
- 一次試験
- 一次試験 合格発表
- 二次試験
- 最終合格発表
- 採用面接
- 採用・内定
公務員試験は受験する職種や自治体によって実施される試験などは異なりますが、出願から採用までの大きな流れは、ほとんどの試験が上記の通り進みます。出願後に一次試験と二次試験の二つの試験をクリアする必要があり、その後に採用面接を経て採用・内定となります。
それぞれの過程を詳しく見ていきましょう。
1-1.出願
出願期間は受験する職種や自治体によって異なりますが、例年3月から4月頃に地方上級公務員試験の出願受付が開始されます。一方、地方初級公務員試験の出願受付は7月から8月頃に開始されます。出願受付開始の2か月ほど前から試験案内がインターネット上などで確認できるようになるため、締切日などを確認した上で期限内に出願を終えることが最初のステップです。
1-2.一次試験
地方上級公務員試験の多くは5月から6月頃に、地方初級公務員試験は9月頃に一次試験である筆記試験が行われ、教養択一試験や専門択一試験、専門記述試験、論文試験などが実施されます。実施される試験は職種や自治体などによって大きく異なるため、どのような試験が実施されるか事前に試験案内などで確認しておくことが重要です。
1-3.一次試験 合格発表
一次試験が終わると概ね2週間から1か月ほどで合格発表が行われます。基本的に、一次試験に合格しなければ二次試験に進むことはできません。一次試験の合格者に対しては二次試験の案内が送付され、面接試験などの日程が決まります。
1-4.二次試験
一次試験の合格者を対象に人物試験とも呼ばれる二次試験が実施されます。3月から4月頃に出願する地方上級試験の場合は7月から8月頃が二次試験の実施時期となり、7月から8月頃に出願する地方初級試験では10月頃となることが多いです。
二次試験では個別面接や集団面接、集団討論などの面接試験が行われ、志望動機などを質問される個別面接はほとんどの試験で実施されています。地方上級や市役所などの2次試験では集団面接や集団討論などが実施される傾向にありますが、これらの実施状況も事前に試験案内などで確認することが可能です。
1-5.最終合格発表
二次試験が終わると通常2、3週間ほどで最終合格発表が行われます。二次試験に合格した受験者は採用候補者となりますが、この時点ではまだ内定が出ているわけではないので注意が必要です。
1-6.採用面接
採用面接では最終合格者である採用候補者と個別に面談し、候補者の意向など最終的な意思確認が行われます。他の公務員試験と併願している場合は、その状況の確認や複数合格した場合の意向などについても質問されることがあります。
1-7.採用・内定
採用面接の状況などを踏まえて地方上級は8月から9月頃に、地方初級は11月頃にようやく内定が出ます。新卒採用の場合は翌年4月からの採用が原則となりますが、既卒者や社会人の場合は日程によっては10月から採用されることもあるため注意が必要です。
以上が公務員試験の出願から採用までの大まかな流れです。国家公務員の場合は自分が希望する省庁などに出向いて採用面接を受ける「官庁訪問」という制度があり、国家一般職は一次試験合格後に、国家総合職は最終合格発表後に「官庁訪問」を行います。
2.スケジュールを理解したら併願もしっかり検討しよう!
公務員試験の採用までの流れについて理解した後は、学習計画を立てる前に併願受験についても検討しなければなりません。ここからは、併願受験を検討する際の注意点についても詳しく確認してみましょう。
公務員試験は試験日程が重複しない限り複数の試験を受験することが可能です。そのため、公務員を目指す多くの受験者は複数の試験を併願しています。なお、公務員には様々な職種があるため、自分のやりたい仕事を最優先に考えて目的の試験を受験することが大切です。
しかし、「就職浪人は避けたい」、「公務員試験の勉強と民間企業の就職活動を並行して行うのは不安だ」と考える方も少なくはなく、公務員試験では複数の試験を併願して受験することが一般的になっています。公務員試験の併願を検討する際の大きなポイントは以下の2点です。
- 出題科目と試験傾向
- 出願の段階では職種についてあまり深く考えない
2-1.出題科目と試験傾向
併願を検討する際は一次試験における筆記試験の出題科目と試験傾向が大きなポイントとなります。公務員試験は受験する職種や自治体などによって専門試験の出題科目や試験傾向が大きく異なるため、本命の試験と出題科目や試験傾向が似ている試験を併願することで試験対策の負荷を極力増やさずに併願することが可能です。
例えば、大卒程度の国家公務員一般職では憲法や民法、刑法などの法律系科目を中心に専門科目が出題されますが、同じ国家公務員でも国税専門官は民法や商法、会計学などの経済系科目の出題が中心になります。
このように試験科目の大きく異なる職種を併願した場合は専門試験対策で多くの時間と労力が必要です。また、一次試験では論作文などが課される職種もありますが、本命の試験で論作文が実施されない場合は、論作文の対策に余計な時間をかけることとなります。
筆記試験での出題科目や試験傾向の異なる職種などを併願すると試験対策の負荷が大きくなるため、併願を検討する場合は本命の試験と同じような出題科目と試験傾向の試験から検討することが重要です。
2-2.出願の段階では職種についてあまり深く考えない
人によってはやりたい仕事を重視することが一番大事という考え方もありますが、併願を検討する段階ではあまり深刻に考え過ぎると、試験自体が決まらなくなるので注意が必要です。あくまでも本命となる試験を重視し、出題科目や試験傾向などを考慮して併願先を決めておけば、本命試験の対策に重点を置いて学習することが可能です。
また、複数の併願をしている場合でも選考が進むにつれて2次試験の日程が重複するケースなども出てきます。このような場面で自ずと本命となる試験を選ばなければならないタイミングも出てくるため、出願の段階ではあまり職種について深く考えすぎないことも大切なポイントです。
例えば行政職を希望する場合、国家公務員一般職(大卒程度)と地方上級全国型の併願受験は試験科目の大部分が重複した負担の大きくならない併願例です。また、職種にとらわれずに併願を検討する場合、国立大学法人と市役所教養型の併願は共に専門試験が課されない組み合わせのため、教養試験などの対策に重点を置いた試験対策が可能になります。
このように、上記の注意点や試験の日程を確認した上で併願受験する試験を決定し、年間スケジュールを確定させてから学習計画を立てることが合格への近道となります。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は公務員試験の流れや併願受験について説明しました。公務員試験を受験する場合、まずは出願から採用までの流れをしっかり把握することが重要です。その上で併願受験についても検討し、年間スケジュールを確定させてから学習計画を立てるように心がけましょう。
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