公務員試験では主に「筆記試験」と「人物試験」の試験対策が必要です。しかし、筆記試験と人物試験には様々な種類の試験があり、それぞれの試験内容に応じて対策を講じる必要があります。また、受験する職種によって実施される試験が異なるため、対策をする前には試験内容もしっかりと把握することが重要です。
そこで今回は、公務員試験対策をする前に確認しておくべき公務員試験の種類や内容などをおさらいし、試験対策の具体的なポイントについても詳しく解説します。公務員試験の受験を予定している方はご参考ください。
1.公務員試験の種類と内容
公務員試験では大きく分けて筆記試験と人物試験という2つの試験が実施されています。これらの試験はいずれも公務員としての適性を見極めるために実施される試験ですが、最近は人物重視の採用方針が打ち出されているため、筆記試験と並んで人物試験も合否を左右する重要な試験の一つです。
まずは、筆記試験と人物試験でどのような試験が実施されているのか、その種類と内容についておさらいしてみましょう。
1-1.筆記試験
筆記試験で実施されているのは主に以下の4つの試験です。受験する職種によっては2つ以上の筆記試験が課されることもあります。
教養択一試験
教養択一試験は多くの公務員試験で実施されているマークシート方式の試験です。公務員として職務を行うために必要な基礎的能力が問われる試験で、国家公務員試験では基礎能力試験という名称で実施されています。
教養択一試験では大きく分けて「知識分野」「知能分野」という2分野から出題されており、それぞれの出題数や難易度などは受験する職種によって異なります。知識分野の主な出題科目は、政治・経済・法律・日本史・世界史・地理・数学・物理・化学・生物等で、知能分野からは数的処理や文章理解などの問題が出題されます。
専門択一試験
専門択一試験は教養択一試験と同様にマークシート方式で実施されている試験で、大学の専門課程レベルの知識が問われます。行政職系の専門択一試験では憲法・民法・行政法などの法律系科目、ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学などの経済系科目、政治学・行政学・社会学などの政治系科目といった幅広い科目から出題されます。
難易度は大学の専門課程レベルと高く、さらに幅広い科目から出題されるため、対策に多くの時間を費やさなければならない試験です。しかし、受験する職種によって出題される科目や問題数にも傾向があるため、試験のことを事前に調べることで効率的に対策を行うこともできます。
教養論文試験
教養論文試験とは、与えられた社会や経済などの問題について記述式で解答する試験です。60分~80分程の試験時間で1,000文字前後の文章を作成する試験が多く、問題に対して正確に解答できているか、受験者の考えが正確に述べられているかが採点のポイントとなります。
地方自治体などの教養論文試験では、それぞれの自治体が抱える問題に対して受験者の考えを述べさせる問題なども出題されるため、受験する自治体の情報収集や時事問題の対策なども必要です。また、教養択一試験や専門択一試験のように明確な出題パターンが定まらない試験のため、普段からニュースや新聞などで時事問題などの情報を収集し、解答の作成練習を繰り返すなどの対応が必要です。
専門記述試験
専門記述試験は国家公務員の国家総合職や外務専門職、国税専門官、地方公務員の東京都Ⅰ類B(一般方式)などの試験で実施される記述式の専門試験です。大卒程度の理系の職種などでも幅広く実施されています。職種によっては専門択一試験と同じ科目を選択解答できるものもあり、専門択一試験の延長として試験対策を行うことも可能です。
しかし、専門記述試験では大学の専門課程レベルの高度な知識を記述式で解答しなければならないため、専門択一試験よりも正確な理解力が問われます。また、知識を丸暗記しているだけでは正解となる文章を作成することも難しく、理解力と文章作成力が同時に問われる難易度の高い試験です。
1-2.人物試験
人物試験は、筆記試験などの一次試験合格者を対象として主に二次試験で課されます。公務員試験で実施されている主な人物試験は以下の3つです。
個別面接
個別面接は受験者1人に対して3~4人の面接官が質問などをする形式で実施されます。多くの公務員試験で実施されている最もオーソドックスな形態の人物試験です。1人当たり約15~30分程度の面接時間が設けられており、志望動機や自己PRなどの受験者に応じた質問が行われます。
「なぜ公務員になろうと思うのか?」「公務員になったらどのような仕事をしたいか?」などの質問に自身の言葉で分かりやすく簡潔に答えられるかどうかがポイントです。
模擬面接などを受けることによって面接慣れすることもできるので、解答の引き出しを増やすための試験対策が求められます。
集団面接
集団面接は、4~8人ほどの受験者を一斉に面接する試験です。質問内容は個別面接と同じようなことが問われますが、受験者が複数人いるため短い時間で簡潔に答えられる能力が必要になります。集団面接は一部の自治体などで人物試験として実施されていますが、最近はあまり多くありません。
集団討論
集団討論は5~10名ほどの受験者が一つのグループにまとめられ、与えられた課題などをクリアする形態の人物試験です。グループ内でのディスカッションの過程も重視される試験で、リーダーシップやコミュニケーション能力、個人のキャラクターなど様々なポイントが評価の対象になります。
また、課題に取り組む姿勢なども大きく評価されるため、積極的にディスカッションに参加できるよう正しい時事問題の知識を身につける対策なども必要になる試験です。
2.受験職種によって対策は異なるので注意!
受験する職種によって実施される試験は大きく異なるため、対策前には試験情報をしっかりと確認しておくことも重要です。
例えば、行政事務を取り扱う国家公務員一般職(大卒程度)では、教養択一試験と専門択一試験、教養論文試験、個別面接が実施されます。この場合、実施される4つの試験については個別に対策を行う必要があるものの、実施されない専門記述試験などの対策は不要になります。
しかし、公務員試験を受験する場合は、学習範囲が同じような職種の試験も併願するケースが多いため、併願する職種についてもどのような試験が実施されるかを調べてから対策しなければなりません。
上記の国家公務員一般職に東京都Ⅰ類B(一般方式)を併願する場合、東京都Ⅰ類Bで実施される試験は教養択一試験と教養論文試験、専門記述試験、個別面接です。国家一般職では実施されない専門記述試験の対策が必要になりますが、試験範囲が専門択一試験と重複している部分も多いため、2つの試験を同時に対策することも可能です。
このように、受験する職種によって実施される試験や内容が異なるため、併願も含めて事前に試験の情報を収集してから対策を行う必要があります。
3.まとめ
公務員試験では日程が重ならない限り複数の職種を併願することもできますが、それぞれの職種で実施される試験の種類や内容を事前に把握してから対策を始めることが何よりも重要です。特に、大学レベルの専門試験などは対策に多くの時間が必要となるため、必要に応じて資格スクールを活用するなどして、効率的な試験対策を実施したいものですね。
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