消防士は、地域住民を火災や災害などから守る責任ある職業です。毎年、消防士試験は数多くの受験者が合格を目指しますが、消防士採用試験に合格することは簡単ではありません。
今回は消防士になるために必要な公務員試験の情報や受験資格などを詳しく解説していきます。消防士に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
消防士になるには?
消防士になるには、特に資格や免許は必要ありません。
消防士になるためには、各自治体が実施する消防士採用の試験に合格する必要があります。ここでは、消防士試験や、消防士の倍率などについて解説していきます。
消防士は地方公務員
消防士は消防本部に勤務する地方公務員です。
消防本部とは、自治体が当該地区で消防事務などを行うために設置する消防常備機関です。原則として、消防本部は市町村が設置することとなっていますが、一部の地域では広域連合や事務組合などが設置している場合もあります。
消防士になるためには、各自治体が実施する消防士採用の試験に合格する必要があり、試験内容や受験資格・項目などは自治体によって異なる場合があるため注意が必要です。
倍率はかなり高い傾向に!
消防士の採用試験は合格倍率の高い難関試験です。
2019年度の東京消防庁職員(消防官)採用選考結果を見てみましょう。東京消防庁では、消防官採用試験に4つの区分を設けていますが、それぞれの試験結果は以下のとおりです。
試験区分によっては合格倍率が25倍以上にもなる難関試験だといえます。
区分 | 1次試験受験者数 | 最終合格者数 | 試験倍率 |
---|---|---|---|
専門系 | 68人 | 8人 | 8.5倍 |
I類(1回目) | 3,861人 | 441人 | 8.8倍 |
I類(2回目) | 1,287人 | 76人 | 16.9倍 |
II類 | 1,538人 | 150人 | 10.3倍 |
III類 | 5,723人 | 209人 | 27.4倍 |
合計 | 12,477人 | 884人 | 14.1倍 |
(※東京消防庁ホームページより消防官の試験結果を抜粋・引用)
公務員試験の試験概要
消防士(消防官)の採用試験の概要を詳しく解説していきます。
消防士の採用試験には様々な規定条件が用意されているため、しっかりと確認しておきましょう。
受験資格(学歴・年齢)
ほとんどの消防本部では、試験の区分が用意されており、主に年齢や学歴によって分類されます。
例として令和2年度東京消防庁(消防官)の各試験区分の主な受験資格を見てみましょう。
区分 | 主な受験資格 |
---|---|
専門系 | 1991年4月2日以降に生まれた人で、学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業している人(2021年3月卒業見込みを含む。)又は同等の資格を有する人 |
I類(1回目・2回目)共通 | ・1991年4月2日から1999年4月1日までに生まれた人 ・1999年4月2日以降に生まれた人で、学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業している人(2021年3月卒業見込みを含む。)又は同等の資格を有する人 |
II類 | 1991年4月2日から2001年4月1日までに生まれた人 |
III類 | 1999年4月2日から2003年4月1日までに生まれた人 |
※専門系には、法律、建築、電気、電子・通信、化学、物理、土木、機械の専門区分があります。
消防局採用試験では年齢を18~30歳に制限している場合が多くなっています。
II類・III類では、学歴を設定していない場合も多く、年齢を満たしていれば高卒でも受験が可能となる場合が多いため、受験にチャレンジできる人は幅広いといえるでしょう。
身体能力による制限
消防士の採用試験では、身体能力による制限が設定されている場合も多いです。
身長・体重・胸囲・肺活量、視力・色覚などの身体要件が設定されている場合がほとんどですので注意が必要です。
また、身長や体重などはおおむねの目安であり、採用試験結果と身体検査の結果を総合的に判断されます。身体検査は基本的に二次試験で実施されるため、まずは一次試験の合格を目指しましょう。
試験内容
試験内容も各自治体によって異なります。
受験を目指す自治体の過去の試験内容をしっかりと確認しておきましょう。
ここでは例として東京消防庁の過去の試験内容をご紹介します。
東京消防庁では、専門系、I類、II類、III類とも教養試験が行われます。教養試験とは、消防士を目指すにあたって必要な一般教養を問う試験です。
基本的には、以下の2科目が教養試験で問われます。
知能分野:文章理解、英文理解、判断推理、空間概念、数的処理、資料解釈
知識分野:人文学部(国語・歴史・地理)、社会科学(法学・政治・経済・社会事情)、自然科学(数学・物理・科学・生物)
専門系・Ⅰ類は大卒程度、Ⅱ類は短大卒程度、Ⅲ類は高卒程度の教養試験が出題されます。
また、Ⅰ類・Ⅱ類は論文試験、Ⅲ類は作文試験も実施されます。
(専門系に関しては各専門分野の試験が実施されます。)
二次試験は各区分とも、身体検査と面接試験が実施されることとなっています。
消防士に向いているのはこんな人!
実際に消防士を目指すにあたって、自分は向いているのだろうか?と疑問に思う方も多いでしょう。消防士に向いている資質として、以下の項目が挙げられます。
正義感を持ち合わせている人
消防士は、地域住民を火事などの災害から守る職業で、災害に立ち向かわねばなりません。
地域住民の安全を第一に考えることができる人は消防士に向いているといえるでしょう。
協調性の高い人
消防士の仕事は危険な環境での活動になることも多く、常に仲間との連携のもと救助活動や災害支援の活動を行うことになります。
そのため、仲間との協調性を持ち、隊の一員として方針や指示に従った行動が不可欠です。自分の意思だけで行動することで、自分や仲間、地域住民への被害が生じてしまうリスクがあるため、協調性の高い人でなければ、消防士として働き続けていくことは難しいでしょう。
心身ともに強い人
消防士として働くためには、身体的な強さはもちろんですが、精神的な強さもとても大切です。
人命に関わる仕事は、やりがいが大きい一方、ストレスも大きくなる傾向にあります。また、時には苦痛や恐怖に打ち勝たねばなりません。
そのため、心身ともに健康かつ強い人は消防士に向いているといえるでしょう。
冷静な判断ができる人
消防士の働く現場では、冷静な判断と行動が求められます。予想外の出来事や危険にさらされることもあるため、危険の最前線で働く消防士にとって冷静な判断は、命を守ることに直結するため、冷静な判断・行動ができる人は消防士に向いているといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。消防士は地域住民を火事や災害などから守る責任ある仕事です。消防士になるためには、各自治体で実施される消防本部の採用試験に合格しなければなりません。
消防士の採用試験では年齢や学歴による受験資格や身体・体力検査といった要件があり、自治体によって異なるため注意が必要です。自分が受験する自治体の消防本部の採用情報ををよく確認して受験対策を練るようにしてみて下さい。
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