動物の命を救う獣医師の活躍できる場は動物病院だけではありません。活躍の場は幅広く、獣医師は動物の命を助ける以外の役割も担っています。
獣医師は、国や地方自治体が運営する施設や機関で働くことで、公務員獣医師として活動をすることも可能です。この記事では、公務員獣医師の概要や公務員採用試験の情報を見ていきましょう。
公務員獣医師とは?
獣医師は動物病院に勤務し、動物のケガや疾病の治療を行います。しかし、国や地方自治体が運営する機関や施設で公務員獣医師として勤務する場合は、動物の命を守るだけでなく、公衆衛生に関わる様々な業務を行います。
公務員獣医師の勤務先
公務員には国家公務員と地方公務員の2種類があります。国家公務員の獣医師では、農林水産省と厚生労働省での採用枠が設けられています。国家公務員となるには、国が定める国家公務員採用試験に通過しなければなりません。
地方公務員の場合は、市区町村などの保健所・保健センターや、食肉衛生検査所・家畜保健衛生所・動物愛護施設など幅広い勤務先での活躍が期待できます。地方公務員の場合は、各地方自治体が定める地方公務員採用試験に合格しなければなりません。
公務員獣医師の仕事内容
公務員獣医師の主な仕事内容は、公衆衛生にまつわる仕事です。
国民の食事の安全性を守るため、食肉の衛生検査を行うことは公務員獣医師の大きな役割です。食中毒検査やスーパー・飲食店での食品取扱方法の監視やチェックなども行っています。
また、狂犬病をはじめとする人獣共通感染症への対策や対応も重要な役割です。各地域での疫病発生状況確認や、人々の感染症対策などを行いながら国民の安全を守っています。
さらに、動物福祉の確保も公務員獣医師の大きな役割です。動物の生活や安全を守りながら、人と動物とが共生するための社会づくりを行います。動物愛護の精神を念頭に、様々な活動を展開しています。
獣医師は動物のケガや病気の治療だけでなく、国民に大きく関わる公衆衛生の安全を保つ役割も担っているのです。
公務員試験の受験資格
公務員獣医師になるには、国や地方自治体が定める公務員採用試験に通過しなければなりません。公務員試験の受験資格には、資格要件・年齢要件・欠格事由が定められている場合がほとんどです。
運営元によって違いはありますが、事前に確認しておきましょう。
資格要件
資格要件として、獣医師資格は必須です。獣医師資格を取得するには、獣医師系の大学で6年間の単位を履修した後、獣医師国家資格に合格する流れが一般的です。
公務員試験の資格要件には獣医師資格取得が必須ですが、場合によっては取得見込みの者でも公務員試験を受験できるケースがあります。受験をする自治体の受験資格を確認しておきましょう。
年齢要件
国家公務員・地方公務員共に、年齢要件が定められているケースがほとんどです。年齢制限の幅に関しては各自治体によっても異なります。
ここでは各自治体で定められている、獣医師採用試験の年齢要件を見ていきましょう。以下は令和2年度採用試験の年齢要件です。
厚生労働省 | 平成2年4月2日以降生まれ |
農林水産省 | 平成2年4月2日以降生まれ |
東京都特別区 | 平成11年4月2日以降生まれ |
大阪市 | 昭和60年4月2日以降生まれ |
国家公務員では年齢要件の条件は同じです。地方公務員に関しては自治体によって大きく異なるため、事前に確認しておきましょう。
欠格事由
地方公務員法第16条で定められた欠格事由に当てはまる場合は、公務員試験を受験することはできないため注意が必要です。
1. 成年被後見人又は被保佐人に該当する
2. 禁錮以上の刑に処せられ,その執行が修了していない
3. 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、処分の日から2年が経過していない
4. 人事委員会や公平委員会の委員職にあり、規定されている罪を犯し刑に処せられた
5. 暴力団体の結成・加入などの関りがある
また、国家公務員第38条でも同じように欠格事由が定められています。
1. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
2. 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
3. 人事院の人事官又は事務総長の職にあって、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
4. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
これらの欠格事由に該当するものではないか注意が必要です。
公務員獣医師はこんな人におすすめ
公務員獣医師は、以下に該当するような人におすすめです。
・動物が好きで動物愛護の精神を持っている
・公衆衛生活動に従事したい
・安定した職場環境で福利厚生が充実した仕事に就きたい
・時に危険な状況があっても公務員として責任ある仕事をしたい
公務員獣医師は動物愛護の精神を持っていることはもちろんですが、時に人獣共通感染症の対応を行うなど危険を伴うケースもあります。公務員として国民を支えるために、責任感が強い人に向いている職業です。
また、獣医師資格を取得することは簡単ではありませんが、取得すれば公務員以外にも独立開業などの可能性も広がります。
特に公務員の場合は、長期的な安定や福利厚生を期待することも可能です。
まとめ
公務員獣医師は、動物の安全や健康を守るだけでなく、動物と人間が共存するための公衆衛生活動の役割も担っています。
公務員獣医師になるには、獣医師資格の取得に加え公務員採用試験に通過しなければなりません。
簡単な道ではないため、余裕を持った学習計画を講じましょう。
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