公務員の仕事は、国・地域の活性化や住民サービスの提供ができるほか、雇用が保障されているため安定した職業として人気があります。公務員になるには基本的に公務員試験を受験する必要があり、民間企業で働いている方向けとしては社会人採用試験(民間経験者採用試験)がよく利用されています。
そこでこの記事では、社会人採用試験で公務員を目指している方のために、社会人採用試験の内容や社会人が受験する際のポイント、社会人採用試験に向いているタイプについて詳しく解説するので、参考にしてください。
1 社会人採用(民間経験者採用)試験とは?
社会人採用試験とは、民間企業などで職務経験がある人を採用するための公務員試験です。試験の名称は実施する官公庁によって異なり、民間経験者採用試験とも呼ばれることがあります。
なお、社会人採用試験は、国、都道府県、政令指定都市、その他の市町村などで広く実施されていますが、すべての官公庁で行われているわけではありません。国や都道府県、政令指定都市では毎年実施されているものの、その他の市町村では試験を行わない年もあるため、注意が必要です。
近年、日本を取り巻く環境や国内における各地方の行政課題は複雑かつ多様化しています。そのような問題に迅速かつ適確に対処していくためには、民間企業等における幅広い職務経験や多角的な視点を持った人材を採用し、即戦力として行政の各分野で力を発揮してもらうのが、社会人採用試験を実施する主な目的となっています。
2 社会人が公務員になる方法
社会人が公務員になるには、おもに以下の方法があります。
- 社会人採用試験を受験する
- 大卒程度試験を受験する
2-1 社会人採用試験
社会人採用試験は、筆記試験よりも職務経験をPRできる論文や面接試験の結果が重視される試験です。
対象者
社会人採用試験の対象者は、民間企業等(注)で正社員・アルバイト・パートタイマーとして働いた経験がある人、自営業をしていた人、他の官公庁で公務員の経験がある人などです。
(注)民間企業等には、民間企業の他、官公庁、財団・社団・NPO法人なども含まれます。
受験資格
社会人採用試験の受験資格は、年齢要件および民間企業等経験年数です。
地方公務員の場合、30歳以上という年齢要件を設けている自治体が多くみられます。30歳以上であれば、60歳の定年に達する直前の年齢まで受験ができる自治体もあります。
また、民間企業等経験年数は自治体によって異なりますが、通常、「週〇時間以上の勤務を△年以上続け、その通算期間が5年以上であること」などと定められています。例えば、「大学卒業後5年以上の職務経験」「短大・専修学校卒業後7年以上の職務経験」「その他9年以上の職務経験を持つ人に限る」等といった条件があります。
一方、国家公務員の経験者採用試験は、係長以上のポストについて採用を行うため、難易度の高い試験となります。受験資格は、試験の種類により異なりますが、2020年度の「経験者採用試験(係長級(事務))、では、大学卒業または大学院修了後2年を経過した者となっています。
試験内容
社会人採用試験は、おもに1次試験と2次試験に分かれています。
地方公務員では、おおむね1次試験が一般教養試験(択一試験)と専門試験(論文)、2次試験が面接になっています。
国家公務員は、1次試験が、基礎能力試験(択一試験)と経験論文試験、2次試験は政策課題討議、面接となっています。
2-2 大卒程度試験
大卒程度試験の職種は、国家公務員の場合、総合職・一般職・国税専門官などの専門職に分かれます。地方公務員の場合、地方上級の行政職・技術職・専門職が該当します。
対象者
大卒程度試験の対象者は、大学の新卒・既卒・社会人などです。大卒程度試験の対象は新卒者のみというイメージも強いですが、年齢要件を満たせば既卒者や社会人でも受験可能です。
受験資格
国家公務員、地方公務員ともに年齢要件さえ満たせば受験資格が与えられます(一部、例外として学歴要件あり)。国家公務員を受験する場合、受験年の4月1日時点で21~29歳であれば受験資格があります。
地方公務員の場合、受験年の4月1日時点で21~29歳としている自治体が多いものの、30~50歳代でも受験できるケースもあります。
なお、大卒程度試験は、試験のレベルが大学卒業程度という意味になるだけなので、ほとんどの自治体で実際に大学を卒業していることは要件とされていません。
試験内容
大卒程度試験は、国家公務員、地方公務員ともに、1次試験と2次試験に分かれています。
1次試験は一般教養試験(択一試験)および専門試験(択一試験)、2次試験は記述式試験(論文)および面接が一般的です。
3 社会人採用試験はこんな人におすすめ
社会人採用試験に向いているは以下のタイプの方です。
3-1 国・地域の活性化や住民サービスに関わる仕事がしたい人
民間企業などで一定の業務経験を積みスキルを公務の仕事で発揮したい方は、社会人採用試験の受験をおすすめします。街づくりや地域振興によって国や地域の活性化を図りたい、住民の福祉を向上するための仕事がしたいなどの思いは、公務員になりたい場合の志望動機と共通します。そのため、公務の仕事を通じて、国・地域の活性化や住民サービスにかかる仕事がしたい人は公務員として適任です。
3-2 生活の安定を求めたい人
民間企業で働いていると、不況による倒産やリストラなどで職を失う可能性があります。また、失業しなくても、経営不振による賃金・ボーナスカットで年収が大きく減ってしまうこともあります。その点、公務員は倒産の心配もなく、法を犯さない限り身分が保障されており、リストラされることもないため、経済的な安定を求めたい方にも社会人採用試験の受験をおすすめします。
4 まとめ
いかがでしたでしょうか。社会人採用試験は、民間企業等における幅広い職務経験や多角的な視点を持った人材を採用し、即戦力として行政の各分野で活躍してもらうことを目的としています。
社会人採用試験で公務員になると、民間企業で培った様々な経験や磨いてきたスキルを国・地域の活性化や住民サービスの提供という形で還元することができます。受験資格は各自治体によって異なりますが、幅広い年齢層で受験できるのが社会人採用試験の特徴なので、検討してみてください。
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