「公務員の給料は高い」と言われることはありますが、実際どのくらいの給料・年収を得ているのでしょうか。就職後のミスマッチを防ぐためにも、安定した職業として人気の公務員について、給料や年収などの待遇面を確認しておきましょう。
この記事では、公務員の平均給料・年収や年齢別の比較、公務員の給料・年収を知る上での注意点について詳しく解説します。公務員を志望する方は参考にしてみてください。
1 公務員の平均給料・年収はどのくらい?
人事院の「令和2年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の各種手当などを含んだ平均給与月額は41万6,203円です。これに内閣人事局の発表している期末手当・勤勉手当というボーナス(6月期平均68万100円と12月期平均65万3,600円)を合わせると、平均年収は約633万円となります。
この平均給与月額41万6,203円には、給料の高い事務次官や内閣府審議官などの指定職(平均給与月額1,024,815円)なども含まれていますが、この調査は令和2年1月に在籍している25万人超の常勤職員が対象となっており、指定職は938人と少数なので、一部の職種によって平均値が大きく変動することはありません。
また、公務員は基本的に男女の給料平均は同程度です。これは民間企業などの給与平均と異なる特徴となっています。
2 民間企業の平均年収とは
公務員と比較されることの多い民間企業の平均年収についても確認してみましょう。民間企業の平均年収は国税庁の実施している「民間給与実態統計調査」で公表されており、令和2年9月に発表された令和元年度の調査では民間企業の平均年収は436万円です。
これは、1年を通じて勤務した給与所得者の平均となっており、男女別では男性540万円、女性296万円となっています。ただし、正規・非正規の給与所得者が混在されているため、公務員の年収と単純に比較できません。
公務員と同じような条件になる正規職員に限ると平均年収は503万円、男女別では男性561万円、女性389万円となっています。それでも、国家公務員の平均年収633万円と比べると民間企業の平均年収は低く、特に女性は年収の差が顕著です。
国家公務員の給与は民間の給与を参考に人事院が同じ程度になるように決定していますが、参考となる民間企業が上場企業などの大手に限られるため、全ての民間企業の平均と比較しても高い水準となります。そのため、倒産リスクなどがない点も考慮すると公務員は安定した職業です。
3 国家公務員と地方公務員の給料・年収を比較
公務員は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類に大きく分かれます。上記の平均給料は官公庁や国の出先機関などで働く国家公務員のケースなので、都道府県庁や市町村役場などで働く地方公務員とは異なる給与体系となります。
地方公務員の給料は原則として勤務する自治体によって異なります。総務省のまとめる「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると全国平均の給与月額は36万949円で、国家公務員の41万6,203円と比べるとやや低い水準です。
ボーナスに該当する期末・勤勉手当も自治体によって支給額が異なります。例えば、東京都の場合、令和2年度のケースでは夏季の6月支給平均が96万1,395円、冬季の12月支給平均が92万286円となっており、上記の給与月額と合算した年収ベースに計算すると年収は約621万円となります。
これらの数字を国家公務員と単純比較すると以下の表の通りです。
平均給与月額 | ボーナス平均額 | 平均年収 | |
国家公務員 | 416,203円 | 1,333,700円 | 約633万円 |
地方公務員 | 360,949円 | 1,881,681円 | 約621万円 |
平均給与月額は国家公務員のほうが高くなっていますが、ボーナスにあたる期末・勤勉手当は地方公務員のほうが高くなっています。そのため、平均年収に大きな差は出ていません。
しかし、地方公務員の給与や期末・勤勉手当は自治体によって異なり、東京都や政令市などの給料は、物価や住宅価格などが高い事情もあって他の自治体よりも高めです。そのため、自治体によっては地方公務員の給与やボーナスが少し低い水準となることもあります。
4 年齢別の公務員の給料・年収を比較
年齢別の公務員の給料・年収を比較してみます。国家公務員の年齢別の給料や年収モデルは内閣人事局が発表しています。
モデル | 年齢 | 月額 | 年間給与 |
係員 | 25歳 | 193,900円 | 3,178,000円 |
係長 | 35歳 | 273,600円 | 4,544,000円 |
地方機関課長 | 50歳 | 413,200円 | 6,730,000円 |
本府省課長補佐 | 35歳 | 440,600円 | 7,314,000円 |
本府省課長 | 50歳 | 749,400円 | 12,659,000円 |
一方、人事院の発表している「令和2年国家公務員給与等実態調査」の行政職年齢階層別では、年齢ごとの平均月給を詳細に発表しています。
年齢 | 平均月額給与(地域手当等込み) |
20~24歳 | 203,566円 |
24~28歳 | 244,616円 |
28~32歳 | 288,806円 |
32~36歳 | 338,212円 |
36~40歳 | 382,860円 |
40~44歳 | 416,270円 |
44~48歳 | 447,942円 |
48~52歳 | 480,699円 |
52~56歳 | 497,023円 |
56~60歳 | 505,140円 |
上表は行政職のみに従事する国家公務員のものですが、調査対象となった25万人のうち約14万人が対象で、対象者の平均給与月額は40万8,806円なので、全体平均と大きくかけ離れていません。
次に地方公務員の年代別給料と年収です。こちらについては東京都人事委員会が給与モデルを公表しています。
年齢・役職 | 月額給与(手当込) | 年収 |
25歳係員 | 220,920円 | 3,656,000円 |
35歳課長代理 | 368,760円 | 6,204,000円 |
45歳課長 | 606,600円 | 10,174,000円 |
50歳部長 | 762,960円 | 12,953,000円 |
25歳係員と35歳課長代理については国家公務員と近い数字になっており、45歳課長と50歳部長は年収1千万円を超える水準です。東京都は地方公務員の中でも給与水準が高く、一握りの人のみが昇進できる役職手当なども大きいのが特徴です。
5 公務員の給料・年収を知る上での注意点
公務員の給料や年収を確認する際は注意点もあります。
1つ目は、国家公務員や地方公務員といった公務員の種類や職種によって給料や年収が大きく異なる点です。最も分かりやすいケースが「国家公務員の総合職(キャリア)」と「一般職」との違いで、国家公務員の年収モデルでご紹介した一般職の35歳係長(年収454万4,000円)、総合職の35歳本府省課長補佐(年収731万4,000円)で、277万円の差が出ています。
2つ目は、地方公務員は自治体間でも給料・年収の差がある点です。上記でご紹介しましたように、地方公務員の給料・年収は東京都や政令市など都市部の自治体で高くなる傾向にあります。そのため、地方の小さい町役場などに勤める場合、上記のケースよりも低い年収となる場合もあります。
6 まとめ
公務員の給料・年収は民間企業の平均と比べても高い水準で、年齢や勤続年数に応じて年収が上がっていく仕組みのため非常に魅力のある給料・年収体系です。職種や自治体によって給料や年収が変わるので、公務員を目指す際はこのような違いにも注意して職種を選ぶことが大切です。
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