2021年度の税理士試験のスケジュールは、新型コロナウィルス対策とオリンピックの動向により見通しのつきにくいと状況となっています。国税庁より2021年度の税理士試験の日程が発表されましたが、状況によっては今後変更される可能性もあるので、最新情報をしっかりと把握しておくことが大切です。
今回は、2021年度税理士試験の試験内容やスケジュールの最新情報を紹介します。予測の難しい年度とはなりますが、最新の情報を取り入れることで入念な準備と試験までのスケジューリング、そして予定変更の事態への対応にお役立てください。
1.2021年度税理士試験の注意点、変更点
2021年はオリンピック開催予定であることから、例年8月上旬とされていた税理士の試験は、2021年8月17日~8月19日に実施される予定です。
また、2021年1月8日付の官報において、試験体制や試験内容の強化と見直しが行われるとして、研究者や実務家の試験委員が大幅に増えたこと、新たに租税法の専門家が任命されたことなどが公告されています。
2.税理士試験の概要
国家資格である税理士を目指すための税理士試験は、受験を希望すれば受けられる訳ではなく、次の要件のうちいずれか一つを満たしておくことが必要です。
2-1.受験資格
- 大学、短大または高等専門学校を卒業した者で、法律学または経済学を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上で、法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学または経済学を1科目以上履修した者
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
- 法人または事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
なお、上記のうち、「法律学または経済学を1科目以上履修」に該当する場合、専門科目とは限らず、一般教養科目でも問題ありません。ただし、受験資格については、申込み前には正確な情報を国税庁のホームページにて確認することが重要です。
また、申込時にはそれぞれの受験資格の証明書類を添付する必要があります。証明書類の中には取得までに時間を要するものもあるので、受験申込時に慌てないように書類取得期間もチェックしておきましょう。
2-2.試験科目
税理士試験では下記の全11科目のうち、5科目に合格する必要があります。5科目の中には必修科目や選択必修科目があります。試験科目の11種類と必修および選択必修科目は次の通りです。
必修科目(2科目) | 簿記論 |
財務諸表論 | |
選択必修科目(右記の中から1科目) | 所得税法 |
法人税法 | |
選択科目(右記の中から2科目) | 相続税法 |
国税徴収法 | |
固定資産税 | |
消費税法(または酒税法) | |
住民税(または事業税) |
合格条件となる5種類のうち、簿記論と財務諸表論の2つは必修科目なのでクリアしなければなりません。また、所得税法と法人税法は選択必修科目となっているので、いずれか1科目を選択する必要があります。
そして残りの2科目は、相続税法、国税徴収法、固定資産税、消費税法または酒税法、住民税または事業税の中から選んで合格する必要があります(※「消費税法または酒税法」を2科目として選択することはできません。「住民税または事業税」も同じです)。
各科目の合格基準点は6割です。なお、税理士試験は科目別に合格することができる仕組みとなっているので、受験者は一度に5科目全てを受験しなくてもよく、1科目ずつ時間をかけて合格を目指すことができます。
試験科目の難易度は年度にもよりますが、例年、所得税法や法人税法、相続税法、消費税法が難しい部類です。一方、難易度が低めなのは、国税徴収法、固定資産税、酒税法、住民税、事業税となっています。
なお、試験の難易度は受験科目を選ぶ際の基準の1つに過ぎません。合格することが最優先ですが、資格取得後の活用用途(活躍分野)も、受験科目を選ぶ際の重要な選択基準となります。そのため、企業から需要の高い法人税法や消費税法、相続税法の競争率は高く、難関科目となっています。
3 税理士試験のスケジュール・流れ
2021年1月25日時点で発表されている2021年度(第71回)税理士試験の最新スケジュールは、下記の通りです。
受験申込受付開始 | 2021年5月6日 |
受験申込受付締切 | 2021年5月18日 |
試験実施 | 2021年8月17日~2021年8月19日 |
合格発表 | 2021年12月17日 |
2021年度の試験時間は2021年1月25日時点で発表されていませんが、参考として2020年度(第70回)の試験時間を下記に記載します。
1日目 | 9:00~11:00 | 簿記論 |
12:30~14:30 | 財務諸表論 | |
15:30~17:30 | 消費税法または酒税法 | |
2日目 | 9:00~11:00 | 法人税法 |
12:00~14:00 | 相続税法 | |
15:00~17:00 | 所得税法 | |
3日目 | 9:00~11:00 | 固定資産税法 |
12:00~10:30 | 国税徴収法 | |
15:00~17:00 | 住民税または事業税 |
2021年度の試験会場についても未発表ですが、2020年度(第70回)では、東京都や大阪府など12都道府県からなる受験地から選択可能でした。
受験願書は郵便で請求することができます。封筒の表面への「税理士請求」という赤書きと、140円分の切手を貼った返信用封筒(A4判で宛先・郵便番号を明記)の同封が必須です。
税理士試験の受験願書の請求先についても2021年1月25日時点で発表されていません。参考として、2020年度では札幌、仙台、関東信越、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本の各国税局人事第二課と、沖縄国税事務所人事課が請求先となっていました。
なお、受験願書の提出方法は郵送のみとなります。提出先は受験地を管轄する国税局または沖縄国税事務所です。提出方法の詳細については、今後の官報公告または受験案内を確認することが大切です。さらに、受験願書を提出する際は、下記事項を留意することも大切です。
- 提出期間は2021年5月6日~2021年5月18日
- 受験票裏面に受験者の郵便番号および宛先を明記し、63円分の切手を貼付
- 封筒の表面に差出人の住所、氏名、「税理士受験」と赤書き
- 一般書留、簡易書留または特定記録郵便で送付
- 1つの封筒には1人分の申込書類のみ(複数人の申込書類の同封は不可)
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は税理士試験の試験内容やスケジュールについて、2021年1月25日時点の情報をご紹介しました。2021年度試験は、2021年8月17日~同年8月19日を予定していますが、コロナ禍やオリンピック開催の状況によっては変更される可能性もあります。そのため、最新情報などは国税庁サイトで確認するようにしましょう。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、税理士資格の勉強を短時間でも効率的に進めるため、長年にわたる合格ノウハウがぎっしりと詰まったオリジナルテキストを用意しており、着実に実力をつけることができます。
資格スクール大栄の税理士資格講座が気になった方は、ぜひ一度資料請求や自宅で受けられる無料体験レッスンをお申し込みください。
【通学・オンラインどちらのレッスンタイプも選べます!】
【詳細ページ】資格スクール大栄の税理士資格講座の詳細を見る