簿記の資格取得に興味のある方はご存知の方も多い『簿記試験での電卓持ち込み』、どんな電卓を持ち込んだらよいのか考えたことはありますか?
試験突破に向けて、使いこなせると便利な機能を2つご紹介していきます。(電卓はメーカーによって若干操作が違います。今回は資格スクール大栄で簿記を教えていた経験のある講師が好んで使っていた“シャープ”の電卓で説明しています。)
乗除計算と加減計算が混在している計算を一度に行える「メモリー機能」
【メモリー機能(M+−)】
乗除計算と加減計算が混在している計算とは、例えば(5×4)+(3×2)のように×÷と+-混在している計算を一気に行える機能です。
- ※(5×4)+(3×2)※
操作① 5 【×】 4 【M+】(メモリーで5×4の答えを覚えさせる)
操作② 3 【×】 2 【M+】(メモリーで3×2の答えを覚えさせる)
操作③ 【RM】(覚えさせた答えを呼び出す) - ※(5×4)-(3×2)※
操作① 5 【×】 4 【M+】(メモリーで5×4の答えを覚えさせる)
操作② 3 【×】 2 【M-】(メモリーで3×2の答えを覚えさせる)
操作③ 【RM】(覚えさせた答えを呼び出す)
このメモリー機能を使いこなせないと、まずは①の結果を紙に書いて、次に②の結果を出して、①と②の答えを足して(または引いて)・・・といった煩雑な作業が必要になります。限られた時間に正答をしなければならない簿記試験では、少しでも時間を有効に使いたいものです。普段から、メモリー機能に慣れておきましょう!
複数の計算結果をエクセルのSUM関数のように足せる「グランドトータル機能」
【グランドトータル機能(GT)】
グランドトータル(GT)機能も、メモリ機能と同じように複数の計算結果を電卓の中に記憶させることが出来る機能です。メモリ機能では【M+】や【M-】を使って加減しましたが、グランドトータル機能では【=】キーを押すたびに自動的に加算結果を記憶していきます。
3級でも、よく出題される〔減価償却費〕の計算、〔有価証券の期末評価〕の計算にも使えます。以下、簿記2級で試験範囲となっている〔工業簿記〕で出題される〔製造間接費の配賦計算〕を例題として使い方を見てみましょう。
例題
工場全体で今月請求された電気代は150,000円であった。今月の直接作業時間合計が10,000時間(切削部門4,000時間、組立部門3,000時間、修繕部門2,000時間、事務部門1,000時間)であったとき各部門の製造間接費(電気代)発生額はそれぞれいくらになるか?直接作業時間法を使って計算しなさい。
解答
製造間接費配賦率 = 製造間接費発生額 ÷ 基準操業度
150,000円÷10,000時間= 15円/時間
切削部門:15円/時間×4,000時間=60,000円
組立部門:15円/時間×3,000時間=45,000円
修繕部門:15円/時間×2,000時間=30,000円
事務部門:15円/時間×1,000時間=15,000円 合計150,000円
これをGTを使って、検算も合わせてすると、
製造間接費配賦率=150,000【÷】10,000【=】(表示:15)
切削部門:15 【×】 4,000 【=】 (表示:60,000 GT)
組立部門:15 【×】 3,000 【=】 (表示:45,000 GT)
修繕部門:15 【×】 2,000 【=】 (表示:30,000 GT)
事務部門:15 【×】 1,000 【=】 (表示:15,000 GT)
最後に【GT】を押すと合計請求額の150,000が表示されます。
このグランドトータル機能を使いこなすことで、『メモして』『電卓を打ち直して』『計算し直して』と言う作業を繰り返すことにより、電卓の操作ミスにより間違い易くなります。すべてを、グランドトータル機能を使って回答することは出来ませんが、この機能を使うことで過程を省ける個所は多いかと思います。普段から「GT」が使えそうなところを見つけたら練習しておきましょう!
いかがでしたでしたか?たかが電卓されど電卓、せっかくついている機能はフル活用して少しでも試験時間を有効に使いたいですよね。メモを取りながら、電卓を使っていた内容も、機能を知れば、電卓一つで事足りてしまいます。使える武器は有効に使うことで、試験での合格可能性をあげていきましょう!