簿記は企業が求める資格ランキングで常に上位にランクインする人気資格です。一般的に簿記は経理部門などで必要とされるイメージの強い資格ですが、最近は営業・購買・生産管理などの様々な企業活動を担う分野でもその活用が期待されています。
そこで今回は、簿記の特徴から企業で必要とされる理由、取得するメリットなどについて詳しく解説します。キャリアアップのために資格取得を考えている方、転職を考えている方などは、参考にしてみてください。
1.企業が求める資格ランキング
簿記は企業が求める資格ランキングで常に上位にランクインする資格です。全国のハローワークで募集されている求人においては、資格が応募条件となっている求人のうち、簿記資格を必要とする求人数で常に1、2位を争っています。また、商工会議所のサイトでも紹介されているリクルートキャリアの調査でも企業が求める資格ランキングの1位は日商簿記2級です。(引用:商工会議所の検定試験:企業が応募者に求める資格ランキングトップ10)
まずは、各種ランキングで企業が求める資格TOP3とそれぞれの資格の概要について確認してみましょう。
1-1.1位:日商簿記2級
経理職だけでなく、多くの事務系職種で募集されている資格です。正社員や期間雇用社員などの幅広い雇用形態でその能力は必要とされており、業種を問わず、汎用性の高い資格となっています。
1-2.2位:1級建築士
東日本大震災以降、人手不足が続いている建設業界で必要不可欠な資格です。設計だけでなく施行管理や耐震診断などにおいても1級建築士の存在無くしては進まない仕事が多く、建設業界から引く手あまたの資格となっています。
1-3.3位:宅地建物取引士(宅地建物取引主任者)
土地や建物の売買・賃貸において欠かすことのできない資格で、不動産業界において安定的なニーズを誇ります。最近は土地や建物などを取り扱う金融関係や大手企業などでも求人が増えており、活躍の場が広がりつつある資格となっています。
2位の1級建築士と3位の宅地建物取引士は、法令でその資格が無ければ専門の業務ができないと定められている独占業務を有する資格です。一方、簿記は資格が無くても業務自体はできますが、一般教養としてもその知識を必要とされています。
このように企業が求める資格は、「業務を行う上で必須となる資格」と「知識・教養として求められる資格」に大別されます。中でも簿記2級が最も多くの企業から支持されているのは、経理などの専門職において基礎知識を有している証明となる資格であること、様々な業種や職種でその知識を活かすことのできる資格であることが主な理由です。
2.簿記資格が企業で求められる3つの理由とは?
ここからは簿記資格が企業で求められる理由についてさらに詳しく見ていきます。企業が簿記資格を必要とする大きな理由は以下の3つです。
2-1.経理業務に関する理解度を測れる
簿記は経理業務に関する基礎的な理解力を測ることができる資格のため、多くの企業では経理職の募集を行う際に簿記資格を応募条件として設定しています。企業会計において簿記の知識は必要不可欠であり、専門分野である経理業務に就く従業員にとって、ある程度の簿記知識が必要となることは当然とも言えます。
そのため、簿記知識の証明となる簿記資格が応募条件になることが多く、応募条件となっていない場合でも簿記資格保有者優遇という条件が明記されるケースも少なくありません。そもそも、簿記は経理職の経験が無くても身につけることのできる知識のため、働く前からその知識を身につけることも可能です。
つまり、簿記知識を身につけている従業員を雇用することで、企業は時間やお金をかけて基本的な会計・経理に関する社員教育をする必要がなくなります。これが経理職の多くで簿記が必要とされる理由の一つです。
また、簿記は難易度によって1級・2級・3級に分かれています。3級は小規模の株式会社に関する会計知識、2級では中規模の株式会社に関する会計知識を学習します。簿記の理解度が2級や3級という資格である程度明確になるため、企業の求めるレベルに合わせた求人を出せることも、簿記資格を応募条件とする理由です。
2-2.経理業務以外でも仕事に活かせる
簿記は経理などの専門業務以外でも仕事に活かせる資格のため、多くの企業が求人の応募者に求める資格となっています。もともと、簿記は会社の活動を数字で記録するための手法ですが、その活動の記録は決算などの経理業務だけで使用されるものではありません。営業・購買・生産管理・企画開発・製造などの様々な部門で、予算実績管理や売掛金、買掛金管理、原価計算、管理会計などの目的で使用されます。例えば、営業部門と聞くとあまり簿記とは関係のないイメージもありますが、売上と原価の考え方を理解していなければ企業の利益につながる営業活動をするのは難しいでしょう。
また、売上を計上するためには従業員の給与や旅費交通費、接待交際費、事務所家賃、水道光熱費など様々な費用もかかります。多くの企業では利益確保を達成するため、売上とこれらの経費について事前に予算を立てて、実績管理をしていく予算実績管理を導入しています。
正しく売上や経費の認識および集計ができなければ、適正な予算実績管理も難しいため、営業部門で活躍するビジネスパーソンにも簿記の知識が求められています。もちろん、簿記の知識が必要とされるのは営業部門だけに限られたことでなく、企業経営に携わる管理部門などをはじめとする多くの分野が対象となります。
2-3.景気に関係なく安定した需要がある
簿記は、経理職だけでなく営業部門や管理部門などの様々な分野でその知識を活かせる資格です。そのため、景気にあまり左右されることなく、簿記の知識を必要とする企業が存在します。もちろん、不景気のときには余剰人員が削減されることもありますが、管理部門の人員がいなければ企業活動は停止してしまうため、一定数の人員は必要です。
営業部門の人員についても、簿記の知識がある人材はコスト感覚や予算実績の考えを身に付けているため、不景気のときほど必要とされる人材になれる可能性があります。これが簿記の有資格者に景気に関係なく安定した需要がある理由です。
今後、AIなどの技術発展によって管理部門などの数字を扱う業務はAIに置き換わるという指摘も出始めています。しかし、現時点で高度な経営判断にもつながる管理業務を全てAIに置き換えるのは困難で、将来的に様々な業務の省力化やオートメーション化が進んだとしても、他の企業との差をつける経営判断にはヒトの介在が必要です。
このような理由から、人工知能やビッグデータの活用が広がる今後においても、簿記の有資格者にとっては安定した需要が続くと予想されています。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。簿記の知識は経理職などの専門的な分野に限らず様々な分野で活用できるため、多くの企業で重宝されている資格の一つです。また、景気に左右されにくい安定した需要のある資格であり、今後のキャリアアップを考える方や転職を考えている方にとっておすすめできる資格の一つとなっているので、検討してみてください。
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