学生から社会人、主婦層に至るまで、あらゆる年代に人気の資格といえば日商簿記です。ビジネスマンの間では、会計の知識を幅広く身に付けることができる資格として取得が推奨されており、中でも日商簿記1級は税理士や公認会計士などの難関資格の登竜門になっています。
そこで、今回は2020年度の日商簿記1級試験の概要や対策するポイントについて詳しくお伝えします。2020年度の日商簿記試験を受けたい方や、税理士・公認会計士を目指す方は参考にしてみてください。
1.日商簿記1級とは
まずは、日商簿記1級の概要や試験科目・試験時間、メリットについて見ていきましょう。
1-1.日商簿記1級の概要
日商簿記1級は、会計や簿記の知識を問う日商簿記の中でも最難関の資格試験です。日商簿記1級の勉強過程では、大企業の複雑な会計業務でも通用するレベルの高度な会計知識を習得できます。
日商簿記1級の試験は年3回行われ、7,850円(税込)で受験可能です。合格率は、例年10%前後と簿記系試験の中でも極めて低いのが特徴です。
1-2.日商簿記1級試験の科目と試験時間
日商簿記1級では、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目が出題範囲となります。合格基準は70%以上となりますが、各科目40%以上の得点が必要になるので苦手科目を作ることができません。
試験時間は各科目90分となります。日商簿記1級では、豊富な知識や正確で速い計算能力が求められるだけでなく、高い集中力も必要になります。
1-3.日商簿記1級を取得するメリット
日商簿記1級を取得すると、税理士試験の受験資格を得られます。平均年収700万円以上、開業すればそれ以上を目指せる税理士への道が開けるメリットは大きく、日商簿記1級と税理士試験は重なる科目も多いのでアドバンテージになります。
また、日商簿記1級を持っていると、会計や経理知識を必要とする大学入学や就職・転職で有利になることもあります。高度な会計知識を持っている証明になるので、即戦力として雇用される機会が増えます。
さらに普段の会計業務にも役立ちます。日々の経理はもちろんのこと、経営判断で役立つ意思決定会計や経営分析なども使いこなすことが可能になります。
2.独学受験が不利な理由とは?
日商簿記1級は独学でも受験できますが、独学は不利だと言われています。その理由を見ていきましょう。
- 出題範囲が幅広い
- 難易度が高い
- 法改正や出題範囲変更などへの対応が難しい
2-1.出題範囲が幅広い
日商簿記1級は簿記試験の中でも最難関試験に位置づけられるため、企業の会計に関するほぼ全ての分野が出題範囲となります。管理会計や原価計算、意思決定会計などの会計分野をまんべんなく勉強する必要があるため、完全な独学では対処しきれない分野も出てきます。資格予備校の日商簿記1級のコースを見てみても、1年以上の受講期間を必要としていることからも、その出題範囲の広さが伺えます。
なお、合格するには頻出分野を重点的に勉強し、効率的な学習スケジュールを立てる必要があります。独学では難しいですが、資格予備校や通信講座なら過去の傾向からプロの専門講師が頻出分野に絞った学習カリキュラムを組んでくれるので、効率良く合格を目指すことが可能になります。
2-2.難易度が高い
出題範囲が広いだけでなく、難易度が高い点も独学受験が不利となる理由の一つです。例えば日商簿記1級では、退職給付会計や減損会計、繰延ヘッジ会計などの一見イメージしにくい会計知識も問われます。日常的に会計業務を行なっているわけでない限り、このような論点を独学で理解するには時間がかかります。
一方、資格予備校や通信講座を利用していれば、わからない問題があってもプロの講師に直接質問することができます。簿記1級を取得するには1年以上かかるため、独学では挫折しやすい時期でも相談に乗ってくれる予備校の専門スタッフがいれば心強いでしょう。
2-3.法改正や出題範囲変更などへの対応が難しい
簿記に限った話ではありませんが、出題範囲に法律の内容を含む試験では、法改正が行われた際に、新しい法律に関する問題が出題される傾向にあります。また、日商簿記では定期的に出題範囲の見直しがされることもあり、新たな論点への対応も必要となります。
こうした対応を完全に独学で効率よく行うのは非常に難しいため、効率的に法改正や出題範囲変更に対応するためには、資格スクールなどプロの助けを借りるのが一般的です。
3.2020年度の簿記試験のポイント・対策
最後に、2020年度の日商簿記1級のポイントや対策方法をお伝えします。
- 3級~2級レベルの基礎固めをする
- 出題範囲に変更がないかをチェックする
- 普段から時間配分を意識して勉強する
3-1.3級~2級レベルの基礎固めをする
日商簿記1級では、3級や2級で問われる基礎的な論点を理解している前提で問題が出題されます。そのため、3級や2級レベルの問題をスムーズに解ける実力がないと、学習自体が非効率になります。
また、日商簿記1級の過去問対策を行うだけでは、新しい論点が出題されたときに対処するのが難しいでしょう。そのような新傾向問題に対応するためにも基礎的な知識を確実に習得してから、日商簿記1級の学習を始めるのがおすすめです。
3-2.出題範囲に変更がないかをチェックする
日商簿記1級に限った話ではないですが、日商簿記検定では定期的に出題範囲が変更されます。
例えば2019年度には、日商簿記1級の出題範囲に「総記法による売買目的有価証券の記帳」や「債権譲渡に伴う買戻・遡及義務の計上・取り崩し」などが加わりました。そのため、過去の論点のみを勉強しているだけでは、新論点に対応するのが難しくなります。
1級試験に関して2020年1月時点で追加論点はアナウンスされていませんが、今後、新たに発表される可能性もあるので、商工会議所の出題区分に関する情報は随時チェックしておきましょう。
3-3.普段から時間配分を意識して勉強する
日商簿記1級では解くのに時間がかかる問題も出題されます。そのため、1つの問題に多くの時間を割くようでは試験時間内に解き終わりません。前述した通り、日商簿記1級では思考力を問う難しい論点が多数出題されるので、普段から時間を計りながら練習問題を解くことで時間配分の感覚をつかむことが重要です。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。2020年度の日商簿記1級試験を受ける際に知っておきたい出題範囲や対策のポイントなどをご紹介しました。簿記1級は税理士試験の登竜門といわれ、非常に難易度の高い試験となります。しかし、合格すれば就転職の際に有利になったり、国家資格にチャレンジできたりするので、キャリアの選択肢が広がります。
日商簿記1級に興味が湧いた方は、独学もいいですが、効率良く合格を目指したい場合は、資格スクールや通信講座なども含め、自分に最も合った学習方法を検討してみてください。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄の簿記講座は、初学者でも無理なく3級・2級からステップアップして行くことで、目標とする1級の合格力を身につけられるカリキュラムになっており、学習計画はキャリアナビゲーターがサポートしてくれるので、安心して学習に集中することができます。
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