イラストレーターはクライアントのイメージを視覚化するデザイン職です。商品やサービスの魅力をイラストにする「ビジュアル表現のプロフェッショナル」としてものづくりに携わるため、人気の高い仕事でもあります。
そこで今回は、これからイラストレーターになって仕事をするためにはどうしたらいいかを紹介します。イラストレーターの仕事内容、適性、就職に有利な資格、おすすめの勉強方法まで具体的に解説していますので、ぜひ参考になさってください。
1.イラストレーターとは?
まずは、イラストレーターの仕事の関する基礎知識として、仕事内容や仕事の流れ、種類、年収などを解説します。
1-1. イラストレーターの仕事内容
クライアントの要望に応じてイラストを制作し、完成されたデザイン作品を提供することがイラストレーターの仕事内容です。
イラストの利用媒体はさまざまで、雑誌などの紙媒体もあれば、Webサイトなどのネット媒体、ゲーム、広告、商品パッケージなどあらゆる場所でイラストが用いられ、そのどれもがイラストレーターへの制作依頼となります。そのためイラストレーターと言っても制作するイラストは多種多様で、イラストレーターによって得意とするイラストは大きく異なります。
イラストレーターには会社員もいればフリーランスもいて、働き方の自由度が高いのも特徴ですが、最近は専門知識がなくても簡単にデザインできるソフトなどが増えており、提案書やバナー広告など簡単なデザインはイラストレーターに外注せず、社内で作ることも増えています。
そのため、会社の中でのイラストレーターニーズも高まっており、会社員として働くイラストレーターも多いです。その一方で、コロナ禍になりテレワークニーズも高まり「実力をつけてフリーランスとして独立し、場所にとらわれず仕事をしたい」と考える人も増え、イラストレーターの人気上昇に繋がっています。
1-2. イラストレーターの仕事の流れ
まずはクライアントとのオリエンテーションでクライアントの要望をヒアリングします。具体的には作成物の利用目的、訴求したいターゲット、完成イメージ、スケジュールと納期などを話し合い、クライアントとコミュニケーションしながら今後の筋道を描きます。
そしてラフと呼ばれる下書きを作成し、クライアントにイメージの違いなどがないか確認してもらいOKをもらってから、清書・彩色に入ります。イラストが完成したらメールなどで送付して納品し、最終確認を経て完了となります。納品後に修正が入るケースもあります。
1-3. イラストレーターの種類
イラストレーターには絵を描く一般的にイメージされるイラストレーターだけでなく、キャラクターを作る「キャラクターデザイナー」、ゲームなどで立体的なCGを作る「2D・3DCGデザイナー」、アニメーションのキャラクターや背景を描いて動きもつけていく「アニメーター」、広告や商品パッケージなどの印刷物をデザインする「グラフィックデザイナー」など、さまざまな職種があります。
さらに専門的なイラストレーターとして、工業製品の取扱説明書などに説明として使用される忠実な立体図を描く「テクニカルイラストレーター」や、医学書などに用いられる医療関係のリアルなイラストを描く「メディカルイラストレーター」と呼ばれる職種もあります。それぞれで求められるスキルや、求められる作品イメージが異なるので、自分の興味や得意分野に合わせてイラストレーターの種類を選ぶのがおすすめです。
1-4. イラストレーターの年収
イラストレーターの仕事でどれくらい稼げるのかと言うと、会社員であれば年収300~500万円ほどが相場だと言われています。マイナビAGENTのデータ(2021年11月時点)によれば、イラストレーターの平均年収は20代だと314万円、30代だと395万円です。
ただ、イラストレーターは人気によって収入が大きく異なり、独立して軌道に乗れば年収1,000万円プレイヤーになる人も珍しくありません。イラストレーターは実力が問われる厳しい世界ではありますが、評価されれば着実に収入を増やしていける夢のある仕事でもあります。
2.イラストレーターの仕事に求められる適性
活躍しているイラストレーターには共通点があります。イラストレーターの仕事に必要な5つの適性をご紹介します。
2-1.PhotoshopやIllustratorのスキル
イラストレーターの仕事にはグラフィック関係のデジタルツールであるPhotoshopやIllustratorのスキルが必須です。PhotoshopやIllustratorでイラストを制作するのが一般的なので、自由自在に操作できるスキルを身につけましょう。
2-2. ほかの人と差別化できる個性
イラストレーターは人気の職業で、会社員やフリーランスだけでなく副業で仕事している人も多く、より多くの仕事を安定して受けるためには自分の個性となる強みを作り、ほかの人と差別化しなければなりません。日ごろの業務や学習でも意識して取り組み、何らかの特化したスキルを習得しましょう。
2-3. 納期を守る自己管理能力
イラストレーターは成果物を納品するのが仕事ですから、スケジュール通りに進めて納期を守る自己管理能力が求められます。クリエイティブな仕事だからと言って「魅せ方」を重視するあまり、納期を越えてしまうケースを耳にすることもありますが、クライアントにも社内にも迷惑をかけてしまい信頼を失うためきちんとしたスケジュール管理や注意が必要です。
2-4. デザイン・絵に関する知識
イラストが上手であることはもちろん、デザインや絵・色に関する知識も必要です。知識に基づいてどんな色をどういったバランスで使うか、どんな構図で描くかなどを緻密に計算した成果物を分かりやすく説明ができ、提供できれば、クライアントに評価されやすくなります。
2-5. 精神的な強さ
イラストレーターは自分の制作物がそのまま評価され、タイトなスケジュールでも確実に納品する能力も求められるため、強いプレッシャーにも負けず継続できる精神的な強さが求められます。
3.イラストレーターの仕事に生かせる資格
イラストレーターの仕事に必要なPhotoshop・Illustratorの操作スキルを身につけるうえで、目指すことができる資格を3つピックアップしてご紹介します。イラストレーターの仕事をするうえで、資格は必須ではありませんが、資格があると就職の際にスキルの証明になるので有利に働くことがあります。
3-1.Photoshopクリエイター能力認定試験
サーティファイソフトウェア活用能力認定委員会が主催する、Photoshopの使用スキルを測る能力検定です。コンテンツを制作する実践的な試験内容で、操作スキルや問題解決力を測ります。
受験資格は特になく、試験形式は指示通りの作業を行えるか検定する「スタンダード」、デザインコンセプトや目的に沿った機能を選んで表現する実技と知識を問う「エキスパート」の2種類があります。
3-2. Illustratorクリエイター能力認定試験
こちらも同じくサーティファイソフトウェア活用能力認定委員会が主催する、Illustratorの使用スキルを測る能力検定です。たとえば広告やポスターなどのグラフィックコンテンツを、指示通りに時間内で制作する能力を問われます。
デザインコンセプトや目的に沿った制作スキルとDPT/Webデザインに関する基本的な知識を実技のみで測る「スタンダード」と、作業指示書に基づいた制作スキルと基本的な操作を実技と知識試験で測る「エキスパート」の2種類があります。
3-3. Adobe Certified Professional(アドビ認定プロフェッショナル)
アドビが公認する国際認定資格で、IllustratorやPhotoshopなどAdobe Creative Cloudの基本的な利用スキルを証明できます。2020年から実際のアプリケーションを使用した試験形式が導入されました。
基本的なデザインスキルの証明となるため、まだ実務経験がない就活生の新卒採用などで有利になる資格としても人気を集めています。
4. イラストレーターの仕事を得るための勉強方法
これからイラストレーターを目指す方に向けて、どうステップアップをしていけばよいのか? イラストを仕事にするためにおすすめの方法を紹介します。
4-1.美術系の大学や専門学校に通う
美術系の大学や専門学校などに通学すれば、必要な専門知識を体系的にしっかりと学び、デザインについての教養も得ることができます。時間とお金に余裕があれば、学校に通って基礎から実践スキルまでじっくり学ぶといいでしょう。
4-2. 本や動画を活用して独学で学ぶ
学校に通う時間的・経済的な余裕がない場合は、イラストレーターに関する本や動画を見て独学で学ぶ方法もあります。自分で情報を取捨選択してモチベーションを保たねばならない点がハードルとなりますが、一番コストが低い勉強方法です。
4-3. イラストレーター向け講座があるスクール通う
気軽に通学スタイルの学習を取り入れたい場合は、イラストレーター向けの講座に通うのがおすすめです。学業や仕事との両立がしやすく、専門知識を持つ講師からの指導が受けられるので効率的に学習を進められます。
5. まとめ
イラストレーターの仕事にはさまざまな種類があり、自分の興味関心に合った仕事や働き方を選びやすいのが魅力です。ただ、人気が高いクリエイティブ職でもあるため、仕事にするには知識やスキルの習得は欠かせません。
自分の生活スタイルに適した学習方法を選んで、イラストレーターに求められる知識やスキルを習得するのが第一歩です。IllustratorやPhotoshopなど、イラストレーターに必要なアプリケーション操作を身につけるところから始める方は、まずは気軽にアプリケーションを触ってみることから自分に向いているのかどうかを試してみるのもひとつの方法です。アビバでは、IllustratorやPhotoshopのアプリケーションの操作方法だけでなく、見栄えのいいデザインまで学ぶことができるドキュメント作成講座を展開しています。イラストレーターに興味がある方は、試してみてはいかがでしょうか。