働く環境は、自身のライフステージや在籍企業における立場などで異なりますが、将来へ向けてキャリアを向上させていくための有望な方法の一つとして、「人気資格の取得」がおすすめです。
そこで今回は、キャリアアップに繋がる取得難易度別のおすすめビジネス資格をご紹介します。資格試験の概要や仕事内容、キャリアアップにどう役立つのか等について詳しく解説するので、興味のある方は参考にしてみてください。
1.キャリアップにおすすめの低難易度資格3選
まずは取得難易度が低くても幅広い活躍が見込める、以下3つの資格から見ていきましょう。
- 医療事務
- MOS
- 簿記3級
1-1.医療事務
一般的によく耳にする「医療事務」という資格は、民間団体の認定資格の総称であり、いくつもの種類があります。中でも日本で最初の医療事務の資格として幅広く知られているのが、「医療事務管理士®技能認定試験」(技能認定振興協会(JSMA)主催)です。資格取得後は、大学病院や個人病院などにおける診療報酬請求、カルテ管理等を行うことができます。
医療事務は、近年は派遣会社からの就業も多くなっており、将来的に年収を増加させる要素は少ないものの、資格さえあれば年齢やキャリアに関係なく働くことができるのが特徴です。育児休業等からの復帰がしやすいということもあり、結婚や出産でキャリアの中断を余儀なくされる女性にも人気が高い資格となっています。
1-2.MOS
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)は、国際的な資格の一つであり、近年は就職面での優位性が期待されることから学生が取得するケースが増えています。企業によっては応募条件としてMOSの取得を求めている会社もあるので、事務処理系の仕事に就きたい場合は、優先的に検討しておきたい資格です。
例えば営業系の仕事の場合、プレゼン用の資料をPowerPointでいかに分かりやすく効率よく作れるかが問われる場面も多いので、このような場面の多い企業にとって、履歴書にMOS資格所有と記載してある人材は即戦力との評価に繋がることもあるでしょう。
1-3.簿記3級
簿記は実務性の高い資格で、経理を中心とした事務系の業務で心強い味方となるため、根強い人気があります。日商簿記3級は、さらに難易度の高い2級や1級、税理士試験へとステップアップするための基礎段階の資格です。3級に合格するためには、会計知識に関する基本的な理解が求められます。
3級試験の合格率は1級や2級に比べると5割前後と高いですが、会計知識のない人が合格するには、簿記の特徴を踏まえた体系的な学習が必要となります。
・日商簿記3級の試験概要
日商簿記3級 | 商業簿記のみの学習で、小規模企業における会計実務を踏まえ、経理関係書類を適切に処理できるレベル | 科目 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|---|
1)商業簿記 5問以内 |
120分 | 70%以上 | ||
《試験日程》 例年、2月、6月、11月の3回実施 |
・日商簿記3級の合格率
試験回 | 日商簿記3級 | ||
---|---|---|---|
受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) | |
152回 | 72,435 | 40,624 | 56.1 |
151回 | 80,360 | 44,302 | 55.1 |
150回 | 88,774 | 38,884 | 43.8 |
149回 | 79,421 | 35,189 | 44.3 |
148回 | 78,243 | 38,246 | 48.9 |
※148回~150回は2018年2月・6月11月、151回~152回は2019年。
2.高難易度でも人気の資格3選
士業資格の中でも高難易度で知られる以下3つの資格は、取得すれば自らのキャリアップにつながる有力な武器となります。
- 税理士
- 社労士
- 中小企業診断士
2-1.税理士
税理士の主な仕事は、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」などです。税務代理とは、納税者に代わって税務申告の手続きや、税務調査があったときに対応する業務です。税務書類の作成は、所得税や法人税、相続税・贈与税と言った申告書などの書類を作成する仕事です。そして税務相談は、税に関するあらゆる相談に乗ること等です。
上記3つの仕事を業として行うことができるのは、税理士資格を持つ者に限られます。税理士にはこのような独占業務があるがゆえに独立開業の期待が膨らむ資格にもなっているので人気があります。
また、独立開業に至らなくても、会計および税務の専門化として社内でのキャリア形成に役立ちます。最近は、社内におけるキャリアップを目的に税理士資格の取得に取り組む人も多く、合格すれば会社の財務、経営企画といった中枢部門での登用や、将来の経営者層への抜擢も期待できます。
・税理士試験の概要
試験科目は「会計学」と「税法」に大別され、その中で必須科目と選択科目があり、全部で5科目に合格しなければなりません。 | |||
試験科目 | 選択区分 | 備考 | |
---|---|---|---|
会計学 | 簿記論 財務諸表論 |
2科目必須 | 会計科目は2科目とも必須です。 |
税法 | 所得税法 法人税法 |
どちらか1科目必須 | 所得税法と法人税法は必ずどちらかは受験しなければなりません。 |
相続税法 消費税法または酒税法 国税徴収法 住民税または事業税 固定資産税 |
所得税法と法人税法も含めた税法7科目の中から3科目 | 税法7科目の中から3科目を受験しなければなりません。 | |
2019年度税理士試験合格率:18.1% 受験者数:36,701人 2018年度税理士試験合格率:15.3% 受験者数:38,525人 |
税理士試験は科目合格制となるので、一度に5科目受験する必要はなく、1科目ずつ受験することも可能です。合格した科目は生涯有効なので計画的な学習と受験が可能になることから、働きながら資格取得を目指すことができます。
2-2.社労士
2019年度の社労士試験の合格率は6.6%で、過去3年間は6%台で推移しています。士業の資格試験の中でも屈指の難易度の高さで知られます。それでも毎年5万人前後の受験者を維持しており、受験者数36,000人前後で合格率18%台(ただし、科目合格制度の影響あり)の税理士試験と比べても受験者数の多い人気資格となっています。
社会保険労務士は「社会保険」や「労働法制」の専門化であり、その業務はおもに、「労働・社会保険関係法に基づく書類作成及び手続き代行等(1号業務)」「労働・社会保険関係法令に基づく帳簿の作成等(2号業務)」「労働・社会保険関係法に関する相談・指導業務」の3つに大別されます。
このうち、いわゆる独占業務とされるのは、1号と2号業務であり、コンサルタント業務ともいえる3号業務は社会保険労務士以外でも行うことができます。また、社会保険労務士が専門とする主な法律には、「労働基準法」「労災保険法」「雇用保険法」「健康保険法」「労働契約法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」などがあります。
上記法令は頻繁に改正されるため内容が多岐にわたり、しかも複雑であるため、専門的な知識をもった社労士が必要とされる場面も多いですが、企業によっては、知識と経験が豊富な人事・総務部門の担当者が一般的な事務手続きを社内で完結するケースも多く見られます。
独立開業ももちろん可能ですが、企業との間で顧問契約を締結するためには、生粋の専門家として差別化できる要素がなければ、困難を伴うこともあるでしょう。
このような実情を鑑みると、企業内社労士として労働・社会保険の専門化としての地位を確立することも現実的な選択肢です。実際、社労士試験の受験者の中には、企業の総務・人事部門の社員も多く、業務に密接に絡んだ資格ということも人気が高い理由となっています。
2-3.中小企業診断
中小企業診断士は、経営コンサルタント資格としては唯一の国家資格です。1次試験合格者が2次試験に進み、2次試験は筆記試験と口述試験が行われます。1次試験は科目合格制が採られており、科目合格は2年間有効ですので、有効科目を活かし、3年かけて全科目合格を目指すことも可能です。2次試験の筆記試験は、マネジメント、マーケティング、経営戦略、財務・会計および管理といった広範なテーマで問われる難易度の高い試験です。
経営コンサルタント資格の試験ですので、企業の経営全体を見通し、経営状態を把握して改善点や問題の解決策を導き出すための知識や視野の広さが求められます。このような特性から、企業の在籍者が自身のキャリアアップや自己啓発を目的に受験するケースが多く見られます。ある程度実務に通じていた方が学習もしやすく、モチベーションを維持しやすいというメリットもあります。
中小企業診断の資格を取得できれば、経営コンサルタントやセミナーの講師などとして独立開業することも可能です。このほか、中小企業診断の資格を持っていると、経営全般に対する視野の広さや学習能力の高さを評価してもらえるので、転職にも役立ちます。
このように、中小企業診断は独立開業や社内地位の向上、転職によるキャリアアップという選択肢が多いことから、在籍ビジネスパーソンにとってキャリア形成のための有力なツールとして人気があります。
3.まとめ
資格の取得は、自らのキャリアアップを図るための有力な手段の一つです。自分のライフステージや社内での立場に応じて挑戦する資格を見つけることが重要ですが、どの資格に挑戦するにしても闇雲にテキストを読み、問題集に取り組むという方法はおすすめできません。たとえ難易度が低いとされる資格であっても、自分にとって未知の領域である場合は体系的・効率的な学習を行うことが重要になります。
資格取得を目指す場合は、効率的な学習ができる資格スクールや通信講座などの利用も検討してみてください。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄・パソコンスクールAVIVA(アビバ)では、今回ご紹介した6つの資格取得のための対策講座が用意されています。また、今回ご紹介した資格以外の資格についての講座も多数ご用意しています。
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