宅建士は不動産取引に欠かすことのできない資格です。そのため、不動産業界だけでなく金融業界や一般企業でも高い評価を得られる職業となっています。なお最近は、別の資格も取得して業務を行うダブルライセンスの宅建士も注目されており、より専門的なフィールドで活躍している宅建士も少なくありません。
そこで今回は、宅建士と相性の良いダブルライセンスにおすすめな資格について詳しく解説します。宅建士の有資格者やこれから宅建資格を目指す方は参考にしてみてください。
1.宅建士とは?
宅建士とは建物や土地などの不動産取引に関するスペシャリストです。建物や土地などの取引は取引金額が高額になるだけでなく、その契約等についても専門的な知識と処理が必要になります。
また、不動産取引においては宅建士のみが行える独占業務が存在し、不動産取引を行う事業者は宅建士がいなければ、不動産売買や賃貸などの取引を進めることができません。そのため、不動産業界においては宅建士が必要不可欠な資格となっています。
宅建士になるためには一般財団法人不動産適正取引推進機構が実施する宅建士試験に合格する必要があります。宅建士試験の概要は以下の通りです。
試験日程 | 試験は年1回のみで原則として毎年10月の第3日曜日に実施されます。 |
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受験資格 | 年齢や性別、学歴等に関係なく誰でも受験可能です。 |
試験の方法 | 4肢択一のマークシート方式です。試験時間は120分で全50問が出題されます。 |
試験の出題範囲 | 宅地建物取引業に関する実用的な知識を有しているかどうかが問われる試験です。具体的な試験の出題範囲は、宅建業法施行規則という法律で定められており、宅建業法や民法を中心とした法律の知識が主に出題されています。その他にも不動産に関わる税金や不動産価格の評定なども試験の出題範囲です。 |
合格基準 | 宅建士試験は相対評価方式によって合格点が定められており、毎年受験者の15%前後が合格する試験です。例年50問中35問前後が合格のボーダーラインとなっています。 |
宅建士試験に合格すると、2年以上の実務経験を有している方は宅建士として登録することができます。実務経験のない方でも講習を修了することによって宅建士として登録することが可能です。
2.宅建とのダブルライセンスにおすすめの5資格
宅建士が取り扱う不動産取引は資産運用や相続などとの関係も深く、宅建はこれらの業務を取り扱う他資格と相性の良い資格であるため、宅建と併せて関連資格を取得するダブルライセンスによって様々な相乗効果が期待できます。
また、関連資格の中には宅建士試験と試験範囲が重複する場合もあり、試験対策の面でもメリットがあります。ここからは宅建とのダブルライセンスにおすすめの以下の5資格について詳しく確認してみましょう。
- ファイナンシャル・プランナー(FP)
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- マンション管理士
2-1.ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナー(FP)はお金のエキスパートであることを証明する資格です。金融や税制、不動産、住宅ローン、保険、公的年金制度などに精通しており、お金についてのアドバイスを行うことができる資格のため、宅建とも実務上の相性が良い資格の一つになります。
例えば、宅建士の資格だけしか取得していない場合、不動産業で住宅を販売したいと考えているときは宅建の資格を活かして売買に関わる手続きなどを行うことが可能ですが、顧客が購入資金などについて悩んでいる際には、住宅ローンを相談できる金融機関などを紹介する程度のアドバイスに限られてきます。
しかし、FP資格の知識があると理想的な住宅ローンの組み方から住宅購入後の家計の相談までトータルでサポートできる場合もあるので、顧客の家計の状況に合わせた不動産の購入を全面的にサポートすることができます。特に、住宅などの不動産は高額な買い物となるため、購入後の家計の状況も含めたアドバイスを行うことで顧客の安心と信用を得られるのは大きなメリットになるでしょう。上記はほんの一例ですが、宅建とFPは実務上の相性の良いダブルライセンスにおすすめの組み合わせと言えます。
2-2.司法書士
司法書士は人々の財産や権利を守る法律の専門家です。主な業務内容は、不動産登記によって不動産所有者の権利を守ったり、相続が発生した際の各種手続き、簡易裁判所での少額訴訟における訴訟代理人を務めたりすることです。
司法書士は不動産登記や相続などの業務で不動産取引とも関連があるため、宅建とのダブルライセンスによって業務の幅をさらに広げることが可能です。特に、不動産登記においては登記の発生原因である不動産取引に精通していなければ正しい登記申請ができないため、司法書士として業務を行う場合は宅建の知識も必要になります。
双方の資格にはこのような関係性があるため、宅建と司法書士はダブルライセンスに適した組み合わせと言えます。なお、司法書士は合格率が3%前後の難関試験ですが、民法の試験範囲は宅建とも重複しています。そのため、法律科目の初学者などと比べると効率的に試験対策ができる点も宅建とのダブルライセンスがおすすめできる理由です。
2-3.行政書士
行政書士は街の法律家とも呼ばれる行政手続きなどの専門家です。行政書士は主に官公庁などに提出する書類の作成や手続の代行などの業務を行っており、煩雑な行政手続き等をサポートする大切な役割を担っています。一見、宅建とはあまり関係のなさそうな資格ですが、双方の資格を併せ持つことで不動産取引に関わる行政手続きなどをまとめて対応できるようになる点は大きなメリットです。
特に、不動産業に関する許認可申請の手続きでは宅建資格を最大限に活かすことができ、行政手続きなどと併せて一括で対応することも可能になります。また、行政書士試験で出題される民法は宅建士試験の民法とも出題分野が似ており、宅建士試験で培った民法の知識を十分に活かすことができます。
2-4.税理士
税理士は税金に関するプロフェッショナルで、所得税や法人税、相続税などに精通した専門家です。最近、相続税法で大きな改正が行われた結果、これまで相続と関係の無かった会社員の方なども相続税の申告が必要になるなど、税理士の相続税に関する業務は増えつつあります。
相続税では不動産の相続税評価額や相続税額を算出することが税理士の主な業務となりますが、宅建の資格を保有していることで一歩踏み込んだ顧客ニーズにも応えることが可能です。
例えば、相続税を納税するために不動産を売却するケースなどもありますが、宅建資格を保有していることによって申告から納税のための資金繰りまで全面的にサポートすることも可能です。多くの方にとって相続税は一生で何度も経験するような出来事ではありません。そのため、手厚いサポートによって顧客の信頼を勝ち取ることができる点は税理士としても大きなメリットになります。
このほか、宅建は顧客の資金繰りや資産運用などの相談を受ける際にも活用できる資格です。このような理由から税理士とのダブルライセンスにおすすめできる資格となっています。
2-5.マンション管理士
あまり聞き慣れない方もいると思いますが、マンション管理士も宅建との相性の良い資格のひとつです。名前の通りマンションの管理に精通した専門家で、多くの新築マンションが供給される都市部では需要の高い存在となっています。そのため、不動産業を営む企業ではマンション管理士の資格取得を推奨することも多く、不動産業界においては宅建とのダブルライセンスが効果的と言われています。
宅建士とマンション管理士の2つが不動産業務において相乗効果をもたらすのはもちろんのことですが、民法や区分所有法、建築基準法、都市計画法などの試験範囲が重複しているので、試験対策を効率的に行うこともできます。そのため、宅建合格者は初学者と比べて短時間でマンション管理士の合格を目指せる点もダブルライセンスがおすすめできる理由です。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は宅建士とのダブルライセンスにおすすめの資格を5つご紹介しました。宅建士は不動産取引のエキスパートであるため、不動産関連業務を行う他資格との相性も良く、ダブルライセンスによって活躍するフィールドの幅が大きく広がる資格です。
また、一部の資格試験では宅建士試験と出題範囲が重複することから、初学者と比べると効率的に合格を目指すことも可能になります。
今後、不動産業界などでさらなるキャリアアップを目指したい方は、宅建士と相性の良いダブルライセンスの取得を検討してみてください。
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