公務員試験では、出願して受験申し込みをした後に、多くの場合、筆記試験を行う一次試験と人物試験を行う二次試験のステップを経て合格発表に進み、内定となります。それぞれ対策するべきポイントがありますがその中でもやはり、人物試験で重要ポイントとなる、志望動機の書き方について悩む志望者は少なくありません。
そこで今回は、公務員試験に合格するために考えておくべき志望動機のポイントを6つご紹介します。面接官に伝わる志望動機の参考にしてみてはいかがでしょうか。
1.面接カード(エントリーシート)とは
公務員試験の二次試験で行われる面接の際に、参考資料として活用されるのが面接カードです。いわゆるエントリーシートと呼ばれることもありますが、民間企業と異なりエントリーシートだけでの合否判断は行われません。あくまで面接する際の資料として活用されます。
とはいえ、面接カードを参照しながら面接が行われるので、自己アピール材料となる面接カードを書く必要があります。もちろん志望動機も、この面接カードに記載を求められることが多く、重要な判断材料となるのできちんと対策して書きましょう。
面接カードを提出するのは一次試験の後と思われていますが、最近では、自治体によって、受験申し込みの際に同時に提出を求めるところも多くなっています。大抵は事前に記載して提出となるケースが多いですが、当日に記入して提出するケースもあるので、いつ記載を求められてもいいように、志望動機は明確にしておきましょう。
2.公務員の志望動機で書くべき内容4選(地方公務員希望の場合)
面接カードに記載した内容に沿って面接で質問されることが多いため、 きちんと志望動機を書いておくことで、自分の意見や考えを伝えやすくなります。逆に、面接カードを記載する段階で、志望動機の準備ができておらず、それなりの志望動機を記載してしまうと、面接時の質問回答と矛盾となり、しどろもどろになってしまうこともあります。公務員試験に合格するために、まずは、志望動機の早期準備が大切です。その準備で考えるべき4つのポイントを解説します。
2-1.どんな仕事にどう携わりたいか
志望動機に、より説得力を持たせるために、どんな仕事にどう携わりたいかを具体的に書くことをお勧めしています。もちろん、具体的に希望した仕事に携われるかどうかは分かりませんが、希望する自治体の仕事を具体的に考えているということが伝わることで、本気度が伝わり、面接官にその自治体で働くイメージをしてもらいやすくなります。
例えば「こんな手段でより多くの市民の声を聞きたい」「こんな活動で市民が暮らしやすい街づくりをしたい」などと具体的な取り組みについて書くことで、地域や市民に対する熱意とビジョンが伝わります。 自分が興味関心を持っている仕事や分野を選択し、そこに特化したビジョンを書きましょう。
2-2. その地域を選択した理由
では、どうしたら「どんな仕事にどう携わりたいか」を書くことができるか?と言うと、まず最初に必要なことは「自治体研究」です。
地方公務員の志望動機では「なぜその地域がいいのか」を明確にしなければなりません。ただ「地域貢献がしたい」というだけでは、どの地域でも言える理由になってしまうのでNGです。
志望している地域が地元の場合は、特に注意が必要です。「自分の生まれ育った地域だから」という理由になりがちですが、それだけでは同じ地域の志望者と同じような理由になってしまって差別化が図れません。興味を持った自治体について「この自治体が抱えている課題は何か?」「この自治体が重要視している施策は何か?」を理解するために、自治体の総合計画、マスタープラン、各種計画などで、自治体研究をしておきましょう。
こうした自治体研究をすることで「この自治体は、自身が取り組みたい分野・課題に対して、このような取り組みをしているので、自身が取り組みたいことができるから」、という自治体の取り組みと自身のやりたいことの擦り合わせが、地元でも地元ではなくてもその自治体を選択した理由になります。
2-3. これまでの経験と仕事への生かし方
2-2の「その地域を選択した理由」でも「~ので、自身が取り組みたいことができるから」とありましたが、次に必要なことは「自己分析」です。
自己分析を通して、自分の過去の経験を踏まえ、自分の興味があること、自分の強みを見つけることです。資格スクール大栄では、モチベーショングラフを利用して過去を振り返り、自分の強みを具体化しています。志望動機としてアピールするには、自身のやりたい(意志)に対して、それができる(能力)を紐づけて説明するのがポイントです。自分の能力を説明することは難しいですから、過去の経験をエピソードとして伝えることで、面接官に魅力的な人材だとイメージしてもらいやすくします。
もし、これまでに民間企業勤務の経験などがあれば、その経験を実際の市役所の業務でどう生かせるかを考えて記載しましょう。働いた経験でなくても、サークルやボランティア団体など何らかの組織での活動と、市役所での業務を紐づけて説明しても問題ありません。例えば「ボランティアの経験を活かして、福祉課でケア施設のサポートをしていきたい」「地域でこんな経験をして、地域社会の貢献に興味を持った」といった内容を掘り下げて書くと強い熱意が伝わります。
2-4. 公務員を選んだ理由・必要性
最後に、民間企業でも取り組める内容を志望動機にすると、面接官に「だったら公務員ではなく民間企業に勤めればいいのでは?」という疑問を抱かせてしまいます。
志望動機を書いたら「公務員である必要性が感じられるか」をチェックしましょう。
公務員は市民のために働く存在でもあります。そのため地域に対する思いだけでなく、その地域に暮らす市民に対する思いも伝える必要があります。以上を踏まえ「なぜその地域がいいのか」「その地域で何をしたいのか」「市民にどんな働きかけをしたいか」といったポイントを押さえて志望動機を構成すれば、公務員であるべき理由をアピールできます。
3. 公務員のよくある志望動機を添削しました
最後に、公務員試験の面接担当者に意欲を伝えて好印象を与えられる志望動機の例文を3つご紹介します。一見すると悪くない志望動機です。しかし、自分をアピールしたい志望動機としてはまだ改善するべき箇所があります。志望動機は誰にでも当てはまるものであっては、合格は難しいと思いましょう。「志望する自治体の研究」と「自己分析」、この2つをうまく組み合わさることができれば自分だけの志望動機となり、面接担当者を納得させることができます。大栄講師の添削ポイントを読んで、志望動機を書く際の参考にしてください。
例文1
Uターンで地元に戻ることになり、地域活性化に携わりたいと考えて志望しました。前職では民間企業で観光事業を担当し、都会の人々が地域に何を求めているかといったニーズを知りましたが、多くの地域がその魅力を発信できず伝えられていない現状も目の当たりにしました。SNSを活用し、この地域本来の魅力をより伝わる形で発信してきたいです。
添削ポイント
なぜ魅力発信をしたいと考えるようになったのか、と言う志望理由が述べられていません。志望先の自治体がどのように地域活性化に取り組んでいるのか、自治体研究が十分になされていないため、自身のやりたいことが『その自治体で』できるのかが曖昧になってしまっています。
例文2
私は市役所で教育や福祉に関わり、市民がより暮らしやすい街にしたいと考えて志望しました。大学時代にボランティアで小学校や老人ホームで人々のサポートを行い、まだ十分なサポートができていない人々がたくさんいることを知りました。そこで学んだ知識や課題感や培ってきたコミュニケーション能力を活かして、市民の皆様の力になりたいです。
添削ポイント
やりたいことが教育なのか福祉なのかが曖昧なため、結果的に「人々が暮らしやすい街にしたい」という一般論になってしまっています。ボランティアの『どのような経験』から『どのような志望理由を持ったのか』が述べられていないため、その点が伝わりにくいです。また、自治体研究の部分の記述がないため、この自治体という意欲が感じられません。
例文3
○○市で地域コミュニティの活性化をしたいと思い、志望しました。○○市は地元の●●市よりも福祉が充実しており、多種多様な人々が住みやすい地域だと思ったのですが、まだ人と人のつながりが生まれる機会が少ないと感じています。より住みやすい地域にするために、コミュニティが育まれる仕組みづくりを行って、一人暮らしの方なども気軽に地域のサポートが受けられる環境を整えるよう努力いたします。
添削ポイント
なぜ、地域コミュニティの活性化をしたいのか、志望理由がわかりません。現在、○○市は地域コミュニティの仕組みづくりをどのように行っているのか、自治体研究の部分がないため、その自治体で働きたいという意欲が薄くなってしまっています。
4. まとめ
複雑化する社会の問題を解決し、様々な人に寄り添うことのできる人を求めている公務員の試験では、二次試験での面接で人物重視の採用を行う傾向が強くなっています。そのため、志望動機をどう表現するのかは非常に需要です。質問の参考にされる面接シートへの記載内容、実際の面接での発言内容など、自分では上手く伝わると思った志望動機でも、実際に他人が読むと理解できなかったり、思いが伝わらなかったりすることはよくあります。
自分で考えただけ、自分で書いただけでは客観的に良し悪しを判断できないので、他者のアドバイスを受けてブラッシュアップしましょう。学校の先生、親、仲の良い友達など、自分を良く知ってくれている方が良いアドバイスをくれる相手になります。もちろん、公務員合格対策講座を運営しているスクールの専門講師にアドバイスをもらうことで、過去の合格者たちの志望動機を参考にすることもできます。上手に利用して合格を目指しましょう。
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