簿記はビジネスで役に立つだけでなく就転職や大学入試でも有利に働くことが多いため、学生や社会人などに幅広く人気がある資格です。今回は簿記資格の登竜門ともいえる日商簿記3級について、2020年度試験のポイントや対策について分かりやすくまとめています。
初めて簿記試験を受験しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
日商簿記3級とは
日商簿記は、日本商工会議所が認定する簿記資格です。その中で、3級は基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベルと規定されています。
また、経理業務に携わるか否かに関係なく、業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格でもあります。
独学受験が不利な理由とは
簿記3級というと、以前までは独学でも合格可能な資格とも言われていましたが、最近では独学受験はあまりおすすめできません。それは、日商簿記3級の試験内容が2019年6月実施の試験から改定されたからです。
日本商工会議所のホームページに掲載されている3級改定のポイントは7項目にわたります。改定後試験のための公式テキストや公認問題集なども出版されていますが、改定後に実施された試験は2019年11月20日時点で、2019年6月9日と2019年11月17日の2回しかなく、実際の過去問を使った演習が有効な勉強法の独学では、演習量不足の感は否めません。
2020年度の簿記3級試験のポイント・対策
2020年度の簿記3級試験のポイント・対策について、見ていきましょう。
2020年度の簿記3級試験対策で最も大切なのは、試験改定された論点をチェックすることです。日本商工会議所の公式ホームページに記載されている簿記3級の試験改定のポイントは以下の7つです。
- 株式会社会計への移行
- 各種預金
- 債権債務・有価証券
- 商品売買
- 固定資産
- 諸費用・決算
- 証ひょうからの仕訳
この7つのポイントを踏まえ、変更される論点について整理をしておくといいでしょう。
改定ポイントで最も重要なのは、今までの簿記3級で前提としていた「個人商店」から、前提を「小規模の株式会社」へと変更したことです。それに伴い、個人商店の会計処理に関する論点が削除され、株式会社の会計処理に関する論点が追加されることになりました。
また、実際のビジネスシーンと照らして、実務に即した内容とするための論点追加・削除がされています。
以下で追加される論点と削除される論点を見てみましょう。
改定で追加される論点
- 銀行預金口座の複数開設
- 決算時の当座借越の振替
- 固定資産台帳
- 受取商品券
- 差入保証金
- 電子記録債権・電子記録債務
- クレジット売掛金
- 株式発行、剰余金の配当、準備金の積立等
- 純損益の繰越利益剰余金勘定への振替
- 法人税・住民税・事業税
- 消費税
- 法定福利費
- 消耗品購入時の費用処理
- 貯蔵品棚卸
- 月次決算による場合の処理
- 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払い
- 決算整理後残高試算表
改定で削除される論点
- 商品売買の値引
- 当座預金勘定と当座借越勘定の2勘定制
- 有価証券の購入・売却
- 固定資産税の減価償却(直接法)
- 自社発行の商品券(発行商品券)
- 手形の裏書譲渡・割引
- 個人商店を前提とした資本金・引出金の処理
- 純損益の資本金勘定への振替
- 所得税
- 消耗品の資産処理・費用処理
- 収益・費用の繰延べと見越し(問題文中の表現)
- 6桁精算表
- 繰越試算表
各論点のさらに詳細はここでは解説することはできませんが、改定された論点については、出題される可能性が高いので、確実にチェックしておくようにしましょう。
また、出題範囲の変更ではありませんが、仕訳問題の出題方法が従来の文章から仕訳を起こす問題だけでなく、証ひょうを元に仕訳を起こす問題も出題されるようになるため、その対策も行う必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。2019年度試験から改定された日商簿記3級の改定内容を確認し、2020年度の日商簿記3級試験のポイントと対策について解説しました。個々の改定ポイントについて詳細に掘り下げて紹介することはできませんでしたが、狙われやすいポイントは一通り分かったのではないでしょうか。
また、これだけ多くの改定が行われた簿記3級で、独学で変更された論点すべてを網羅しつつ試験対策を行うのは、容易ではありません。仕事をしながら受験・合格を目指すビジネスパーソンであれば、さらに独学で対処する難易度は上がります。変更論点の分析や重要度の見極めなどはプロに任せ、学習に集中することが最も効率の良い勉強法なので、効率的に簿記3級合格を目指すのであれば、資格スクールなどを活用するのもひとつの選択肢でしょう。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、日商簿記3級から1級までの各等級合格を目指す講座を用意しています。初学者でも無理なく合格までの知識と力を身につけられるようなカリキュラムになっています。
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