キャリアアップを目的に新しいスキルを身に付けたり、新年度を迎えるタイミングで資格取得を目指したりする方は少なくありません。資格の種類は国家資格から民間資格まで様々ですが、中には取得に労力や費用がかかる割に得られるメリットが少ない資格もあります。
そこで、今ビジネスマンの間で注目されているのが「コスパの良い資格」です。コスパの良い資格は、仕事で毎日忙しい方でも取得を目指せる上、取得後はキャリアアップや転職・独立につながりやすくなります。
今回はコスパの良い資格と言われる「簿記」について詳しくご紹介します。簿記の意味や資格の概要、簿記資格のコスパが良いと言われる理由を解説するので、簿記の資格に関心がある方はもちろん、とりあえず資格を取得したいという方も参考にしてみてください。
1.簿記とは
簿記とは、日々の経営活動を計算・記録することで、財政状態や経営成績を明らかにすることです。例えば、原材料の購入や商品の販売などの日々の取引について、帳簿に記帳したり、記帳内容をもとに貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成したりする業務です。簿記は、会社の経営やビジネスにとって欠かせない業務であり、主に経理や会計部門が担当しています。
簿記知識を正しく身につけると正規のルールにしたがって記帳できるようになり、さらには財務諸表の作成や分析もできるようになるため、経営者としても重宝されているスキルの一つです。
1-1.「単式簿記」と「複式簿記」の違い
簿記は記帳方法によって「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があります。
単式簿記とは、業務上の取引を金銭の観点から記録する方法です。お金の増減を単純に記録する方法であり、家計簿や銀行の通帳に近いイメージです。後述する複式簿記と比べて簡単に記帳できるため、専門的な知識を必要としないのが特徴です。
一方、複式簿記とは、業務上の取引を2つの観点から記録する手法です。取引があったときに、現金の変動と変動が生じた原因を帳簿の左側(借方)と右側(貸方)に記載するのが特徴です。
取引を網羅的に記録することで、一定期間の利益を算出しやすくなります。加えて、財務状況を確認しやすくなるため、経営状態の分析も行えます。ただし、複式簿記を行うには専門的な知識が求められるため、ある程度の学習が必要となります。
なお、国は一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人について、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告制度を設けています。そのため、確定申告で単式簿記の白色申告を選択した場合、青色申告の65万円所得控除は適用されず、節税効果を期待できないのがデメリットです。
このように、記帳の手間や知識を要する以外は、複式簿記のメリットのほうが大きいと言えます。後述する簿記系資格では基本的に複式簿記に関する知識を学ぶことになります。
1-2.簿記に関する資格の種類
簿記に関する資格には、商工会議所が主催する「日商簿記」、経理教育協会が主催する「全経簿記」、商業高等学校協会が主催する「全商簿記」があります。中でも受験者が多く、人気なのが日商簿記です。他の簿記検定と比べて知名度も高く、キャリアアップや就職などの場面で重宝されています。
日商簿記の試験は、最も基本的な「簿記初級」から最難関の「簿記1級」まで4つの区分に分かれます。例えば、簿記3級では小規模企業で必要な最低限の簿記知識が出題範囲となり、簿記2級では原価計算や本格的な決算書作成に関する知識が出題範囲で、一般的な企業の経営管理に求められるレベルです。
そして簿記1級では、高度な会計学や財務理論に関する問題が出題されるため、公認会計士や税理士試験の登竜門として位置づけられています。
受験料は、3級2,850円、2級4,720円、1級7,850円と、難易度が高くなるほど受講料も高くなります。(2020年5月1日現在)
合格率は、3級で40〜50%、1級は10%前後となります。難易度の高い資格ほど独学のみでは厳しくなるので、必要に応じて資格スクールや通信講座を利用するなど、十分な対策と学習が必要になります。
2.簿記のコスパが良い3つの理由
国内には1000種類以上の資格があるとも言われており、中でも簿記はコスパが良いと言われています。少ない労力や費用で取得できる割に得られるメリットが大きいのが簿記の特徴です。簿記資格のコスパが良いと言われる次の理由について詳しく見ていきましょう。
- 経営状況を知ることができるので就職活動に活かせる
- 不動産投資など投資に活用できる
- 上級の資格の足がかりにできる
2-1.経営状況を知ることができるので就職活動に活かせる
簿記の資格を取得する過程では、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成・分析する知識を習得できます。つまり簿記知識を身につけると、働いている企業の経営状況がどうなっているかを合理的に分析できるようになります。
業種により多少の違いはあるものの、基本的に経営状況を分析できる人材はどのような会社でも重宝されます。簿記に関する資格を持っていれば、持っていない人と比べれば就職や転職活動を有利に進めることもできるでしょう。
特に日商簿記2級または1級を取得すると、就職活動を進める上で大きなアピールポイントになります。就職先や転職先を見つけやすいだけでなく、年収や待遇の面で良い条件で就職できる可能性も広がります。
本来、就職・転職活動を有利に進めるには、会社の立ち上げや営業成績などの大きな成績を残していないと難しいですが、簿記資格は取得に要する労力や費用が比較的少なく済む上、高く評価されるので頼もしい武器になってくれます。
2-2.不動産投資など投資に活用できる
老後の資金を蓄える手段として最近注目を集めているのが不動産投資です。不動産投資とは、アパートやマンション経営で家賃収入を得たり、投資用の不動産を購入して価格が上昇したときに売却したりするなどして、利益を狙う投資手法です。
簿記知識は不動産投資を有利に進める上でも役に立ちます。例えばアパート経営を行う場合、減価償却費や修繕費などのコストが発生することになるので、このような専門用語の意味や計上方法について詳しく知っておく必要があります。また、投資用不動産を運用する場合でも、会計的な知識が求められるため簿記知識は欠かせません。
不動産投資を行うのに資格は必要ないですが、簿記知識がない状態で始めると、本来計上するべき費用を計上しなかったり、収益の計算を間違えて税金を多く支払ったりすることもあります。キャッシュフローに関する知識がなければ、大事な支払い時に現金不足に陥る可能性などもあります。
様々な支出や費用の計上が多い不動産投資では、簿記知識が大きな助けになってくれるでしょう。
2-3.上級の資格の足がかりにできる
簿記の資格を取得すると、国家資格である公認会計士や税理士などの上級資格の足がかりにもなります。例えば日商簿記1級を取得すると、税理士試験の受験資格を得ることができます。また、簿記1級レベルの知識を取得することで、税理士試験や公認会計士試験で出題される会計分野の問題にも対処しやすくなります。
公認会計士や税理士の資格を取得すると、大手企業や外資系企業で高収入を狙える上、独立・開業することも可能です。社会的評価の高い職業に転職できるという意味でも、簿記資格の取得は大きなメリットがあると言えます。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はコスパの良い資格として簿記資格を取得するメリットについてご紹介しました。簿記知識は日々の業務に役立つスキルを得られるだけでなく、就職・転職・キャリアアップ、不動産投資などでも役立つほか、税理士資格や公認会計士資格などを取得する足がかりとなります。
日商簿記は初学者でも3級試験なら3ヶ月程度、2級試験なら6ヶ月程度の学習時間で取得を目指すことができます。普段は仕事で忙しい方の場合、資格スクール等を活用すれば効率的に合格を狙うことも可能です。
簿記資格を含めてコスパの良い資格を探している方は、自身のキャリアアップや転職に役立つ資格を検討してみてください。
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