新型コロナウイルスの感染拡大により企業業績が悪化し、解雇や雇止め、賃金やボーナスカットなどに踏み切らざるを得ない企業が増えており、企業で働く人々の間では差し迫った雇用不安を解消しようと、資格取得にチャレンジする動きが活発になっています。
そこで、この記事では、新型コロナウイルスで広がる雇用不安に対し、今注目されている資格を紹介します。雇用不安を払拭したい方、転職や就職が有利になる資格を知りたい方は、参考にしてみてください。
1. 新型コロナウイルスで広がる雇用への不安
総務省の2020年(令和2年)労働力調査によると、就業者数・就業率の対前年同月比は2020年4月以降大きく落ち込んでいます。新型コロナウイルスの感染拡大が企業業績に影響を及ぼし、解雇・雇止めの増加や新規雇用の減少が大きな原因になっているとみられます。
これに伴い、2020年12月時点の完全失業率も2.9%と前年に比べ高止まりしています。就業者数の推移を正規・非正規別にみると、正規職員はおおむね横ばい状態であるのに対し、非正規職員は2020年4月以降大幅に減少しています。
また、旅行・運輸・飲食などを中心に、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた業界では、顧客の大幅な減少や休業・時短営業などの影響で、賃金やボーナスカットを行う企業が出ています。
この通り、新型コロナウイルスが雇用に与える影響は大きく、先が見通せない状況が続いているため、企業で働く非正規職員だけではなく、正規職員にも将来に対する雇用不安が広がっています。
2. 資格取得があらためて注目される理由
新型コロナウイルスで雇用不安が広がる中、資格取得が注目されている理由は以下の通りです。
- 企業で必要とされるキャリアアップを図るため
- 就職活動に備えるため
- 副業を始めるため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 企業で必要とされるキャリアアップを図るため
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業業績が悪化したため、解雇や雇止め、賃金やボーナスカットなど雇用不安を持つ労働者が増えています。そこで注目されるのが、資格を取得して企業内で必要とされるキャリアアップを図ることです。
社内で自分が携わっている業務に関連する資格を取得すれば、企業が必要とする人材としての必要性・重要性が増すことで重宝され、解雇や雇止めなどを事前に防止することができます。
2-2 就職活動に備えるため
自分が解雇や雇止めになった場合、次の働き口を早急に探さなければなりませんが、特別な能力や技能などがない限り、条件の良い再就職先を見つけるのは簡単ではありません。
そのため、解雇や雇止めになる前にあらかじめ資格を取得しておき、いざという時の就職活動を有利に進めようとする方が増えています。また、就職戦線が厳しさを増す中で、資格を武器にして就職活動を乗り切ろうとする学生が増えていることも、資格取得が注目されている理由の一つです。
2-3 副業を始めるため
旅行業・運輸業・飲食業などを中心に業績が悪化する企業が増えており、解雇や雇止めにならなくても、昇給停止やボーナスカットを行う企業も珍しくありません。そこで年収の落ち込みを補うため、副業に取り組もうとする会社員が増えています。
副業で一定の収入を得るには、社会的な需要がある資格を取得し、その資格を生かした副業を始めることが一般的な方法になるため、会社員を中心に副業を始めるための資格を取得する動きが出てきています。
3. 今注目されている人気資格
差し迫った雇用不安を乗り越えるため、企業で重宝されたり、就職や副業に備えたりすることができる資格は以下の通りです。
- 簿記
- FP
- 宅建士
- 社労士
3-1 簿記
簿記は、企業活動における資金の流れを記録し、財務状況や経営成績を把握するための記録作業です。この簿記の基礎知識や計算能力などを判定するための試験として簿記検定があります。
簿記検定は、実施機関によって次の3種類に分かれています。
日商簿記 | 日本商工会議所と各地域の商工会議所が主催する検定試験で、1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級の5種類に分かれています。 |
全経簿記 | 全国経理教育協会が主催する検定試験で、上級・1級・2級・3級・基礎会計の5種類に分かれています。 |
全商簿記 | 全国商業高等学校協会が主催する検定試験で、1級・2級・3級に分かれています。主に商業高校の学生が対象です。 |
簿記の資格を取得すると、就職や転職の際に有利になります。また、企業内においても、経理分野をはじめ様々な業務で役に立ち、キャリアアップにも役立ちます。
3-2 FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)は、金融・保険・不動産・年金・税金など幅広い経済的視野から、人生設計や生活上の問題について相談者に適確なアドバイスや提案を行い、問題解決を図るためのサポートを行う専門家です。
FPは、認定機関によって次の種類に分かれています。
FP技能士 | 厚生労働大臣が指定する試験実施機関が行う国家検定(FP技能検定)に合格した技能士です。FP技能士は1~3級に分かれており、1級が最難関で、2級が実務者レベル、3級が入門者レベルとなります。 |
CFP・AFP | NPO法人「日本FP協会」が認定する資格です。AFPは、ファイナンシャルプランナーとして必要かつ十分な基礎知識があり、適切な提案やアドバイスができる技能を有することを証明する資格です。CFPは、ファイナンシャルプランナーとして高度な知識と経験を必要とする難関資格です。 |
FPは、企業内でも活躍の場が多くあり、また就職する際にも有利な資格です。まずは、2級FP技能士やAFPの取得を目指すのが通常です。
3-3 宅建士
宅建士(宅地建物取引士)は、宅建試験に合格して取得できる国家資格です。宅建士は、不動産会社に勤務し、顧客の不動産取引に際して顧客が知っておくべき重要事項を説明する業務に従事しています。また、不動産売買の紹介・仲介・契約立会など、不動産取引全般にわたり顧客をサポートするのも主な仕事です。
宅建士を取得すると、不動産会社だけではなく、住宅メーカーや建築会社、銀行、保険会社などに活躍の場があるため、就職や転職で有利に働きます。また、これらの業界を中心に社内でのキャリアアップも望めます。
3-4 社労士
社労士(社会保険労務士)は、社会保険労務士法に基づく国家資格です。企業における労働社会保険や年金に関する実務・相談・指導を行うなど、以下のような専門的かつ広範囲な業務を担います。
- 労働社会保険の手続業務
- 労務管理の相談・指導業務
- 年金の相談業務
社労士を取得すると、企業の人事・総務部門に活躍の場があり、就職や転職でも有利に働きます。さらに、社会保険労務士事務所に就職し、経験を積んで独立することも可能です。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では新型コロナウイルスの中で注目されている人気資格をご紹介しました。上記資格はいずれも社会的な評価が高く、企業内でのキャリアアップや就職活動を有利に導いてくれる資格ですが、この他にもビジネスで役立つ資格は多くあります。興味のある方は、ご自身の仕事内容や目標達成に関連する資格を検討してみてください。
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