2020年12月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、日本商工会議所は簿記検定3級にCBT試験(インターネット試験方式)の導入を開始しました。
従来の紙と鉛筆を使用した受験方法(統一試験)も引き続き実施され、今後はCBT試験と統一試験の併用で簿記3級試験が開催されることが決定しています。
この記事では、日商簿記3級の統一試験とCBT試験の違いについて詳しく解説していきましょう。
日商簿記の統一試験とCBT試験とは
日商簿記の統一試験とは、従来の紙と鉛筆を使用したペーパー試験のことです。決められた試験会場で一斉に受験を行います。統一試験は年に3回、原則として6月・12月・2月に試験日が決められており、指定の商工会議所会場で受験を行う方式です。
CBT試験とはComputer Based Testingの略称で、コンピューターを使用した方式の試験を指します。日商簿記におけるCBT試験は商工会議所が委託したCBT試験会社に登録し、全国の好きな試験会場で受験をすることが可能です。試験日時も、試験会場に空きがあれば自由に申し込みを行うことができます。CBT試験会場に設置されたコンピューターを通して試験解答を入力することとなります。
統一試験とCBT試験の違い
CBT試験では、申し込み方法や受験料・手続きの流れなど異なる点は多数ありますが、なかでも試験時間・点数配分・問題内容の違いは把握しておきたい点です。
ここからは、日商簿記3級での統一試験とCBT試験の違いを試験時間・点数配分・問題内容に分けて確認していきましょう。ここでは変更前の従来の統一試験と比較していきます。
試験時間
まずは試験時間についてです。従来の統一試験は120分に設定されていましたが、CBT試験の試験時間は60分です。それに伴い、出題形式も異なることが予測されます。
出題形式に関しては、CBT試験と統一試験の形式を統一すると発表されており、2021年6月の158回統一試験よりCBT試験の出題形式に変更されます。
点数配分
点数配分も従来の統一試験と比較して異なる点があります。
【従来の統一試験】
第1問:仕訳(5題、20点)
第2問:帳簿等(10点)
第3問:試算表(30点)
第4問:伝票等(10点)
第5問:決算(30点)
試験時間:120分
【CBT試験】(編集スタッフ受験調査結果)
第1問:仕訳(15題、45点)
第2問:総勘定元帳記入/補助簿選択(合計20点)
第3問:決算…損益計算書・貸借対照表作成
仕訳10題(35点)
試験時間:60分
試験時間の短縮に伴い、出題内容が大きく変容していることが分かります。
ここで注意しておきたいのは、CBT試験の場合、受験所によって試験の内容が異なるということです。統一試験の場合は同じ問題を同じ会場・時間で一斉に回答する方式ですが、CBT試験の場合は同じ会場で受験をする場合でも1人1人のコンピューターで出題される問題が異なります。
今回、同日に4人が受験を行いました。第3問が貸借対照表・損益計算書の出題であることは同じでしたが、修正仕訳の内容や第1問・第2問の出題内容は異なるという結果となっています。
問題内容
試験内容についても、従来の統一試験とは異なる点が数多く存在します。
試験内容の回答方式について、調査内容をまとめていきましょう。
【第1問】仕訳
勘定項目に関してはプルダウン形式、金額は直接入力で、行数は4桁となっています。
【第2問】総勘定元帳記入/補助簿選択
・総勘定元帳の相手勘定などは第1問と同様にプルダウン方式、日付・金額などは直接入力です。(日付は採点対象外)
・補助簿の選択はチェックボックスにチェックを入力する方式です。
【第3問】
・損益計算書、貸借対照表の作成に関しては、金額は直接入力・未払い費用の(未払い)部分も直接入力形式でした。
※基本的に半角となっているため、「未払い」などを入力する場合は半角/全角の入力切替が必要です。
問題内容における注意点として、【第1問】【第2問】などの画面で必ずスクロールをして、問題の内容を確認しておきましょう。
日商簿記3級CBT試験の注意点
受験を行った編集スタッフの所感として、以下のような意見が見られました。
・概ねの回答時間は30分程度、見直しで5~10分程度を要する
・第1問の仕訳・第2問の帳簿記入などは基本的な出題内容であり、ペーパー試験よりも易しく感じた
・受講生が受験する場合、試験解答時間がギリギリになることが予測される
これら、簿記3級CBT試験の受験調査から考えられる注意点は以下の通りです。
1.画面を見ながら回答をする練習が必要
CBT試験では画面を見ながら手元の計算用紙で計算などを展開していくため、従来の回答用紙での練習より、画面を見ながら回答を行うことを練習しておくと試験当日もスムーズに回答ができると考えられます。
2.第1問の仕訳・第3問の決算で点数が取れるよう学習を行う
CBT試験の合格点は70点以上であるため、時間配分が重要なポイントとなることが予測されます。
今回、編集スタッフが受験調査を行った結果から考えると、点数配分や問題数の多い第3問・第1問をスムーズに解けるよう学習を進めることが重要です。
まとめ
CBT試験は従来の統一試験と異なる点が数多く存在します。今後は、統一試験もCBT試験に合わせた出題形式に変容していくため、早い段階でCBT試験の出題形式に慣れておくことが必要です。
今回解説したのは主にCBT試験の出題形式や問題内容ですが、CBT試験では個人によって出題される問題が異なります。
あらゆる内容を想定しながら、学習を進めていく事が必要となるでしょう。
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