新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本商工会議所で実施される日商簿記2級試験にはCBT試験が導入されました。CBT試験とはインターネット方式の試験であり、従来の統一試験(紙に回答していく方式)と併せて実施されることが決定しています。
この記事では、日商簿記2級統一試験とCBT試験について比較し、注意点などを解説していきましょう。
日商簿記の統一試験とCBT試験とは
統一試験とは、年に3回(原則6月・12月・2月)に全国の商工会議所で一斉に実施されるペーパー試験です。紙の問題と解答用紙に鉛筆で回答していく方法となります。コンピューターを介して行うCBT試験が導入されましたが、今後も統一試験は実施されていくことが決定しています。
CBTとは、“Computer Based Testing”の略称で、簡単に言えばインターネットを介して実施する試験です。日本商工会議所が開催する「簿記初級」「原価計算初級」などの試験では早くから導入されていた試験方式ですが、日商簿記2級試験でも導入されることとなりました。
CBT試験は、日本商工会議所が委託しているCBT試験会場を介して実施する試験となっています。日程の決まりはなく、試験会場の空きがあればいつでも受験が可能です。また、コンピューターに回答を入力していく試験なので、従来のペーパー試験と比較すると試験方法が大きく異なっていくでしょう。
統一試験とCBT試験の違い
統一試験とCBT試験には、申し込み方法や手続きなど試験を受験するまでの流れに関して異なる点も多いですが、実際の試験内容にも異なる点が多々あります。試験結果に大きく影響する点であるため、日商簿記2級の統一試験とCBT試験の違いを試験時間・点数配分・問題内容から詳しく見ていきましょう。
ここでは従来の統一試験と比較していきます。
試験時間
まず1つ目に試験時間に関して見ていきましょう。従来の統一試験の設定時間は120分でしたが、CBT試験の試験時間は90分に設定されています。試験時間の変更に伴い、出題形式も異なることが予測されているため注意が必要です。
また、今後の統一試験ではCBT試験と出題形式を統一すると発表されており、2021年6月に実施予定の158回統一試験より変更の適応がされることとなっています。
点数配分
2つ目に、点数配分に関しても従来の統一試験とCBT試験を比較して異なる点があります。
【従来の統一試験】
第1問:商業簿記仕訳(5題、20点)
第2問:商業簿記計算(20点)
第3問:商業簿記決算・連結等(20点)
第4問:工業簿記問題(20点)
第5問:工業簿記問題(20点)
試験時間:120分
【CBT試験】※編集スタッフ受験調査結果
第1問:仕訳(5題、20点)
第2問:商業簿記
計算・標準的な連結会計清算表等または株主資本等変動計算書(合計20点)
第3問:商業簿記決算 財務諸表・損益計算書作成
仕訳修正 約7題(20点)
第4問:工業簿記 仕訳(3題)/財務諸表(1題)
(合計28点)
第5問:工業簿記 標準原価計算・直接原価計算・CVP分析等(12点)
試験時間:90分
試験時間の短縮に伴い、出題内容や点数配分が異なっていることが分かります。
また、CBT試験は試験を受験する会場や時間によって出題内容が変化するという特色があります。また、同じ会場で同じ試験を受けていたとしても、コンピューターに出題される問題は人によって異なるため注意が必要です。
統一試験の場合は全国一斉に同じ試験問題を回答していく方式でしたが、統一試験と比較すると出題形式そのものが大きく異なると言えるでしょう。
編集スタッフでは同日6名が受験を行いましたが、第1問・第6問の出題内容以外はすべて異なる出題内容であるとの結果が出ています。
問題内容
試験内容の回答方式も、従来の統一試験とは異なる点が数多く存在します。CBT試験の試験内容の回答方式について、調査内容をまとめていきましょう。
第1問:仕訳
プルダウン形式での回答で統一試験と同等レベルの問題です。
第2問:商業簿記
(計算・標準的な連結会計清算表等・株主資本等変動計算書)
金額を直接入力する方式です。統一試験と同等レベルの問題でした。
第3問:商業簿記決算(財務諸表・損益計算書作成)
決算問題は統一試験と比較すると易しい出題内容でした。勘定項目を入力する欄があるが、直接数値を入力する方式となっています。
第4問:工業簿記 仕訳(3題)/財務諸表(1題)
仕訳問題はプルダウン方式、計算は直接入力方式です。統一試験より比較的易しい出題内容でした。
第5問:工業簿記(標準原価計算・直接原価計算・CVP分析等)
金額は直接入力方式です。問題は統一試験と比較して易しい内容でした。
日商簿記2級CBT試験の注意点
編集スタッフが日商簿記2級CBT試験を受験した結果として以下のような意見が得られました。
・試験の回答時間は概ね60分程度、見直しで10分程度
同日90分経過まで問題を解いていた受験生もいたため、受験生の場合ギリギリになるケースもある
・比較的易しい問題もあったが、従来の統一試験とは異なった試験対策が必要
1. 第1問仕訳・第4問・第5問で60点近い点数が取れる学習が必要
試験の合格点数は70点であるため、力を入れるポイントを意識することが大切です。問題に割く時間配分が重要となってくるため、試験を解く順序などもチェックしておくといいでしょう。
今回の調査結果では、第1問→第5問、第4問→第2問、第3問で解くことが効率的であると分かりました。
2. 試験対策
合格を目指す学習を進めていく上で意識したい点は以下の2つです。
①工業簿記の2題は問題集などを活用し、30分以内に正答を導き出す必要がある
②商業簿記の仕訳は確実に抑えておくべきである
また、試験はコンピューターへ入力する方式なので、紙に回答を記載する場合と大きく異なります。当日は計算用紙とボールペンが配布されるので、ボールペンで計算をしてコンピューターに回答を入力するといった流れを意識しましょう。
まとめ
CBT試験は従来の統一試験と異なる点が数多く存在します。今後の統一試験もCBT試験に合わせた出題形式が適応されるため、CBT試験の出題内容や時間配分に慣れておくことが合格の秘訣となるでしょう。
この記事では、日商簿記2級CBT試験の出題形式や問題内容を解説しましたが、CBT試験では個人によって出題される問題が異なります。
情報収集はもちろんですが、あらゆる状況を想定して試験対策を練っていきましょう。
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