行政書士試験の難易度とは?民法改正が2020年度試験に影響するため注意が必要!

街の法律家とも呼ばれる行政書士は、幅広い法律知識を活用して様々な業務を担っています。行政書士になるための試験は年に一回実施されており、受験者の10%前後しか合格できない難関国家資格の一つです。
この記事では、行政書士試験の科目内容や難易度について分かりやすく解説します。また、2020年4月からの改正民法施行にあわせて、法律資格である行政書士試験も大きな影響を受けることが予想されます。民法改正が行政書士試験に及ぼす影響についても詳しく確認してみましょう。

1.行政書士の試験科目と内容

行政書士試験は毎年11月の第2日曜日に実施されています。受験資格は特に定められておらず、年齢や学歴などに関わらず誰でも受験できます。試験の出題形式は択一式と記述式で、180分間で2科目合計60問を回答します。試験科目は「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」の2科目から出題され、主な出題内容は以下の通りです。

1-1.行政書士の業務に関し必要な法令等

憲法、行政法、民法、商法及び基礎法学から出題され、行政法については行政法の一般的な法理論や行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心に出題されます。全部で46問出題され、近年は多肢選択式問題が3問と40字前後の記述式問題が3問、残りの問題は5肢択一での出題です。

1-2.行政書士の業務に関連する一般知識等

行政書士の業務に関連する一般的な知識が問われ、政治・経済・社会や情報通信・個人情報保護、文章理解に関する問題が出題されます。出題数は全14問で、全問が5肢択一式の出題です。

行政書士試験の合格基準は試験全体の60%以上の得点となりますが、各科目での足切りも存在するため、下記の3つの条件を全て満たさなければなりません。

  • 「行政書士の業務に関し必要な法令等」科目の得点が満点の50%以上
  • 「行政書士の業務に関連する一般知識等」科目の得点が満点の40%以上
  • 試験全体の得点が満点の60%以上

試験問題の難易度を考慮して補正的処理が加えられる年度もありますが、基本的には上記3つの条件を全て満たすと行政書士試験に合格となります。

2.行政書士試験の難易度は?

行政書士試験は毎年10%前後しか合格できない難関国家試験です。受験者数や年度ごとの合格率を過去10年間の試験結果から確認すると次の通りになります。

過去10年の行政書士資格試験受験者数・合格率等データ(行政書士試験研究センター発表のデータより作成)

近年の受験者数は減少傾向が続いており、平成22年度には7万人を超えていた受験者数が平成30年度には4万人を下回りました。合格者数は年度ごとの合格率によっても増減していますが、近年では毎年5千人前後です。合格率は毎年わずかに差があるものの、10%前後の数値で推移しており、過去10年で最も合格率が低かったのは平成22年度の6.6%で、最も高かったのは平成29年度の15.7%となります。

行政書士試験の難易度を他の国家試験の合格率(平成30年度実施)と比較すると、司法書士4.3%、中小企業診断士4.4%※、社会保険労務士6.3%となっており、単純な合格率の比較では行政書士試験が最も合格率の高い試験となっています。

試験の内容や合格のために必要な学習時間も考慮すると、行政書士試験は社会保険労務士と同程度で、司法書士や中小企業診断士よりも合格しやすいと言えるでしょう。行政書士試験は択一式の出題が多く、記述式の問題が少ないため、試験対策も比較的しやすい資格試験です。司法書士や中小企業診断士と比較すると合格するために必要な学習時間は少なくて済みます。

ただし、出題科目の範囲が広い上、法理論に対する深い理解力が求められる試験となっているため、質の高い学習方法で一定以上の勉強量を必要とする難関試験であることには変わりません。ここでの難易度の比較はあくまでも目安として捉えるようにしましょう。

※中小企業診断士の合格率は、1次試験と2次試験を両方ともストレートで合格する割合です。

3.民法改正の試験への影響

2020年4月1日から「民法の一部を改正する法律」が施行されます。今回の民法改正は、120年ぶりの民法大改正としてニュースなどでも大きく取り扱われていた法改正です。ここからは、新しく施行される改正民法の内容と行政書士試験に及ぼす影響について確認してみましょう。

3-1.民法の改正内容

2020年4月から施行される民法の改正では、債権法と呼ばれる契約等の基本事項に関する法律が大きく変わります。債権法は、1896年に法律が制定されてからほとんど見直しが行われていませんでしたが、現在の社会や経済の実態に合わせた法律へと見直しを行い、国民に分かりやすい民法とすることが改正の目的です。主な改正内容は以下の通りです。

  1. 消滅時効に関する改正
  2. 法定利率の改正
  3. 保証人の保護に関する改正
  4. 約款を用いた取引に関する改正

消滅時効に関する改正

債権者が一定期間債権回収等の権利を行使しなかった場合、債権が消滅することを「消滅時効」と言います。旧民法上は原則10年が消滅時効と定められていましたが、弁護士報酬は2年、医師の診療報酬は3年といった職業別の債権について例外的な時効を設けていたものを撤廃し、全て5年に統一するものです(ケースによっては10年が消滅時効となる)。商法で定められている商取引により発生した商事債権も時効期間が5年間と定められているため、今回の改正によりほとんどの債権時効期間が5年で統一されることになります。

法定利率の改正

定めのない貸金の利率や遅延損害金に適用される法定利率が5%から3%に変更されます。これは現在の金利情勢を鑑みたもので、今後も市中金利の状況によって自動的に法定利率が変動する仕組みです。

保証人の保護に関する改正

保証契約において個人が保証人となる場合、極度額(=契約上の最大限度額)の定めのない根保証(=複数債務の保証)契約が無効になります。また、改正後に個人が事業用融資の保証人となる場合には公証人による保証意思確認手続きが必要です。保証人を保護する観点から改正されます。

約款を用いた取引に関する改正

不特定多数の顧客を相手に取引を行う場合は、契約書に代えて詳細な契約事項を定めた約款に基づいて契約するケースが多くあります。改正後は約款に定めがあっても、一方的に消費者などの顧客利益を害する不当な条項は無効になります。また、約款の変更も顧客の利益を害するものについては、事前に周知するなどの手続きが必要です。

3-2.試験に与える影響

行政書士試験では、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令が出題範囲となります。つまり、2020年4月1日施行の改正民法(債権法)にあわせて、2020年11月の行政書士試験から改正に対応した試験対策が必要です。また、2019年7月には相続法の改正も行われるため、2020年度試験を受ける受験生は、相続法の改正にも対応した試験対策が必要となります。

法改正の行われた項目は試験に出題されやすいですが、全ての改正項目を網羅するためには膨大な時間と労力が必要です。そのため試験に合格するための学習を優先する場合、資格スクールなどを活用して過去問の反復練習とポイントを押さえた改正論点の学習がおすすめです。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。2020年に施行される改正民法は契約に関する基本的なルールが大幅に見直されるため、行政書士試験にも反映される可能性があります。行政書士試験の受験を考えている方は、2020年の民法改正の影響を受けない2019年11月の試験を受ける、もしくは資格スクールなどを活用して2020年の民法改正に備えた学習を行う、といった対策を講じる必要があります。この記事を参考にぜひ効率的な試験対策を検討してみてください。

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