簿記は学生から社会人まで根強い人気を誇る資格です。簿記試験では会計知識を基本から学習できるため、多方面でその知識を生かすことができます。また、初級程度の試験なら数ヶ月の学習時間で取得を目指すことができるため、特にキャリアアップなどを考えるビジネスパーソンにとってコストパフォーマンスの良い資格とも言えます。
そこで今回は、簿記の概要や簿記がビジネスパーソンに必須と言われる理由について詳しく説明しますので、簿記の取得を検討している方は参考にしてみてください。
1.簿記とは?
簿記は会計知識を基本から習得できる資格です。会計という言葉を聞くと難しいイメージを持たれることもありますが、簡単に言えば、「数字を使って会社の取引などの記録を残す方法」です。簿記ではその記録を「仕訳」というツールを使って記録します。下記の例は100円の商品を売って現金で100円受け取ったという取引を仕訳に表したものです。
この例では「現金」という資産が増えたので左側に記載し、「売上」という収益が増えたので右側に記載するという簿記の技術が利用されています。
取引を一つ一つ仕訳の形で積み上げていくことで、「その企業はいくら儲かっているのか」「その企業にお金などの資産はどのくらい残っているのか」などを目に見える形で表すことが簿記の最終的な目的です。会計用語で言い換えると「経営成績」や「財政状態」の把握となり、損益計算書や貸借対照表が代表的な書類となります。
つまり、簿記とは企業の営業活動などに関する記録をする方法で、簿記を理解することによって最終的に損益計算書や貸借対照表などの財務諸表も理解できるようになります。上記では簡単な仕訳例を紹介しましたが、簿記では多少複雑な計算が必要になる場合もあり、お金や物が動かない取引などを記録する点も難しいポイントです。以下の例は、その代表例として挙げられる減価償却費の仕訳です。
上記は機械装置という固定資産について、減価償却という計算で200円を費用化した仕訳です。機械装置や建物などの固定資産は基本的に長期間にわたって使用することで事業に貢献するという考え方が根底にあります。そのため、購入した時期に全てを費用として計算してしまうとその年の企業の利益が大幅に減ることなるため、使用できる期間に応じて費用を計上するために減価償却という方法が用いられているのです。
例えば、工場で生産に使用する5年間使用できる機械装置を1,000円で買った場合、1,000円÷5年=200円を費用として処理することになります。これが使用可能な期間で均等に費用を計上する減価償却の定額法という考え方です。
もちろん、実際の減価償却の計算では使用できなくなった後に残るスクラップとしての残存価額を見積もることや定額法とは異なる定率法などを用いて計算することもあるため、あくまでも基本的な考え方として捉えましょう。
以上のように、企業の行う全ての取引を記録するために簿記というツールは使用され、これらの記録された取引を集計することによって損益計算書や貸借対照表などの財務諸表作成することが簿記の目的です。簿記の仕組みを理解することによって会社の業績把握などができるようになるだけでなく、集計の途中経過についても把握できるようになることは、ビジネスパーソンにとって大きなメリットになります。
2.簿記がビジネスパーソンに必須である理由
企業の業績把握などに役立つ簿記の資格は、以下の理由からビジネスパーソンにとって必須の資格とも言われています。
- 会社の財務状況がわかるようになる
- コスト感覚が身について仕事で活かせる
- 資格取得費用が安くコストパフォーマンスが良い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.会社の財務状況がわかるようになる
会社の財務状況がわかるようになるのは、簿記がビジネスパーソンにとって必須である理由の一つです。簿記を学習すると損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を理解できるようになるため、会社の財務状況についても把握できるようになります。
もちろん、簿記を少し学習したからといって公認会計士や税理士のような専門家と同様に財務諸表の細部まで理解できるようになるわけではありませんが、簿記の知識から得られる財務諸表の情報でも企業経営や経営管理、営業活動に役立つ知識を身に付けることは可能です。特に、財務諸表から読み取れる会社の財務状況は様々な場面で活用できる情報で、簡単な財務分析の知識を身に付けることで会社の資金面での状況なども把握できる重要な情報になります。
例えば、財務分析指標には流動比率という債務の支払能力など会社の安全性を確認する指標があります。流動比率は以下の計算式で求めることが可能です。
流動資産とは1年以内に現金化できる資産のことで現金預金や売掛金、受取手形などが該当します。同様に流動負債とは1年以内に支払わなければならない買掛金や支払手形、短期借入金などの債務のことです。
これらの知識は主に簿記3級で学習する知識になりますが、企業の支払能力を分析することができます。流動比率は業種などによって異なりますが、200%を超えていると優良企業と判断される水準です。
逆に100%を切るような場合は、支払能力に問題ありと判断されることもあります。このように簿記3級程度の知識でも経営者の方なら自社の財務水準がどのようなレベルにあるのかを把握でき、営業マンなどは取引先との取引金額の目安などを定めることができるようになります。
2-2.コスト感覚が身について仕事で活かせる
簿記の知識はコスト感覚を身に付けることにつながり、様々な仕事でその知識を活かせるようになります。簿記は企業などの経済活動を記録する手段です。そのため、簿記を理解することはその経済活動の内容を正確に把握することにもつながります。
特にコスト管理などを行う管理会計に役立つ知識で、製造業などで行われる製造コストの把握や分析などにもつながります。購買や生産管理などの管理部門でも活用でき、経営者のみならず多くのビジネスパーソンに求められる知識となっています。
また、売上のためにどれだけ経費を使ったかなどを管理する予算・実績管理においても簿記は重要な役割を果たします。簿記の知識があると進捗管理などにおいて詳細な内容を把握できるので、予算と実績を詳細に分析し的確な予算執行につなげることも可能です。
このように、簿記はビジネスパーソンにとって必要なコスト感覚が身につく資格であり、様々な職業でも活かせるため、ビジネスパーソンが教養の一つとして備えておくべき知識と言われています。
2-3.資格取得費用が安くコストパフォーマンスが良い
簿記は取得費用が安く、取得後も多方面で活用できるコストパフォーマンスの良い資格です。例えば、日商簿記2級の資格取得に要する費用の相場は独学で約1~2万円、資格スクールなどを活用しても約8~10万円と言われています。3級については独学で約1~2万円、資格スクールなどを活用しても約3~5万円が相場です。
このように簿記は比較的資格取得にかかる費用が安く、実際に仕事で活用できる資格として費用対効果の優れた資格試験に分類されます。しかも、簿記を取得するために必要な勉強時間は簿記2級が200~250時間、簿記3級が50~100時間が目安となっており、資格取得にかける手間も比較的少なく済むのも特徴です。
ただし、簿記資格の試験は初学者にとって分かりにくい内容も多いため、独学の場合は目安となる勉強時間よりも多くの時間を要する場合もあります。そこで、完全に独学で挑むのが難しい時は、資格スクールなども利用することで効率的に学習でき、合格までの勉強時間の短縮を図ることが可能です。
このように、簿記は費用が安く比較的手間も少なく取得できる資格でもあるため、キャリアアップを目指すビジネスパーソンにとって必須とも言える資格の一つとなっています。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は簿記の概要やビジネスパーソンに簿記が必要な理由について説明しました。簿記は資格取得の費用が手頃でコストパフォーマンスが良く、さらに多くのビジネスパーソンが仕事で使える知識を身に付けることができます。
「キャリアアップを目指したい」「会計に関する知識を学びたい」と考えている方は、効率的な合格を目指せる資格スクールや通信講座の利用等も含めて、簿記資格の取得を検討してみてください。
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