年間で約60万人が受験し、社会人が身につけるべき必須の知識ともいわれる簿記ですが、「資格取得の最初のステップに良いと聞いた」「就活で履歴書に資格を書きたいから取得したい」というように、簿記について具体的にはあまり知らないけれど、取得を目指しているという方も少なくありません。
今回は、そんな簿記について、仕事内容や簿記取得のメリット、資格取得のための試験に関する情報など、幅広くご紹介します。
簿記とは
簿記とは、企業の規模や業種、業態にかかわらず、日々の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにするための技能です。
簿記検定には日商簿記、全経簿記、全商簿記の3種類があり、それぞれ主催している団体や受験者層、等級の分け方などに違いがあります。
ここでは、簿記検定の中でも最もよく知られており、社会人が受けることも多い日商簿記について、ご紹介します。
日商簿記には、1級、2級、3級、簿記初級、原価計算初級の5つの種類があり、簿記の勉強が初めての人は、3級から受験してステップアップしていくのが一般的です。
以下では、3級以上の3種類にフォーカスして見ていきましょう。
簿記1級
日商簿記の中で最も難しい級で、年に2回(6月、11月)ペーパーで行う「統一試験方式」で実施されます。
主催団体である日本商工会議所の公式ホームページでは、簿記1級のレベルは以下のように規定されています。
※日本商工会議所ホームページより引用
合格すると税理士試験の受験資格が得られるため、公認会計士や税理士などの難関国家資格への登竜門にもなっています。
簿記2級
従来からの年3回(6月、11月、2月)ペーパーで行う「統一試験方式」に加え、2020年12月から「ネット試験方式」、2021年7月からは「団体試験方式」による試験が実施されています。
主催団体である日本商工会議所の公式ホームページでは、簿記2級のレベルは以下のように規定されています。
※日本商工会議所ホームページより引用
経営管理に役立つ知識として、企業からも一定の評価を得られる資格のひとつです。
簿記3級
簿記2級と同じく年3回(6月、11月、2月)ペーパーで行う「統一試験方式」に加え、2020年12月から「ネット試験方式」、2021年7月からは「団体試験方式」による試験が実施されています。
主催団体である日本商工会議所の公式ホームページでは、簿記2級のレベルは以下のように規定されています。
※日本商工会議所ホームページより引用
経理関連業務以外の職種でも活用できるため、いまやビジネスパーソンが身につけておくべき必須の基礎知識とも言われる資格で、簿記の学習を始めた人が最初に取得を目指すことが多いのも、この簿記3級です。
簿記試験の内容
簿記試験の内容や日程などについて、各級を比較してみてみましょう。
1級 | 2級 | 3級 | |
---|---|---|---|
試験方式 | 統一試験のみ | 統一試験 ネット試験 団体試験 |
統一試験 ネット試験 団体試験 |
日程 | 年2回(6月、11月) | 統一試験:年3回(6月、11月、2月) ネット試験:随時(ネット試験会場による) 団体試験:随時(企業・教育機関等と地元商工会議所で調整) |
統一試験:年3回(6月、11月、2月) ネット試験:随時(ネット試験会場による) 団体試験:随時(企業・教育機関等と地元商工会議所で調整) |
受験資格 | なし | なし | なし |
試験内容 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 | 商業簿記、工業簿記(原価計算を含む)5題以内 | 商業簿記3題以内 |
試験内容 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 | 商業簿記、工業簿記(原価計算を含む)5題以内 | 商業簿記3題以内 |
合格率 | 10.7% | 16.0% | 49.0% |
※合格率は実受験者に占める合格者の割合で、直近3回分の統一試験方式のデータから算出しています。
※試験に関する情報は2021年8月時点の情報です。受験の際には必ず公式ホームページをご確認ください。
簿記の資格が役立つ仕事
簿記は企業活動に必要不可欠な知識とスキルを得られる資格なので、簿記の資格を取得することで、様々な職場・仕事で活躍することができるようになります。
簿記の資格を役立てることができる代表的な仕事は次のようなものです。
経理職
経理職では、会計帳簿の記帳と月次決算、現金や預金の出納管理、給与計算や固定資産の管理など、多くの簿記知識がスキルを必要とする仕事があります。
税理士事務所・会計事務所
税理士事務所や会計事務所では、記帳代行業務や月次決算・年次決算業務、金融機関へ提出する資料作成などで簿記の知識が必要となります。中には簿記1級に相当する高度な知識も必要となることもあります。
その他(経営者、フリーランサー、営業職など)
経営者であれば、財務諸表を理解して様々な経営判断を行わなくてはなりませんし、フリーランサーで活躍するためにはコストと売上の管理や確定申告に必要な帳簿付けも必要になってきます。営業職でも、取引先の経営状況把握や売掛金の管理など、簿記の知識を活用することができます。
簿記を取得するメリット
さまざまな仕事で活用することができる簿記ですが、簿記を取得することのメリットはそれだけではありません。簿記を取得することで、他にもどのようなメリットがあるのか、みてみましょう。
就職・転職に有利
企業活動全般で役立つ知識である簿記は、ビジネスマンの必須知識とみなされている場合もあり、求人の資格要件とされていることが多いため、簿記資格を取得していることで就職や転職が有利になるともいえます。
どんな仕事にも活かせる
簿記は上で紹介したように、経理や会計業務だけでなく、営業職や経営者など、一見簿記とは関係なさそうな職種においても役立てることができる資格です。
AO入試に活かせる
簿記の知識は、最近では企業に就職・転職するときだけでなく、大学受験の場でも求められることがあります。大学のAO入試等での出願要件として簿記資格が使われることが増えており、特に経営学科や経済学科のAO入試で求められるケースがあります。
独立・開業にも活かせる
独立開業をすると、会社員として働いていたときには不要だった確定申告書類や決算書を作成するために、帳簿をつける必要があります。また、会社経営をする際には、資金計画や事業計画書を作成する必要がありますが、その際にも簿記の知識は役立ちます。
他の資格取得に活かせる
簿記は企業活動に関わる幅広い分野の仕事に関連するため、他の資格取得への足がかりにもなります。経理や会計系のステップアップとして税理士や公認会計士の取得を目指す方もいますし、販売士や中小企業診断士など経営に関する資格や、お金に関する様々な領域を扱うファイナンシャルプランナーを目指す方もいます。
簿記を利用する仕事の年収
簿記取得者の平均年収についての明確な統計情報はありませんが、公開されている求人情報をもとに見てみると、簿記資格が応募要件になっている仕事では、年収は簿記資格の等級よりも、実務経験の有無・年数によって大きく左右される傾向にあるようです。
地域や企業規模、採用ポジションによっても違いはありますが、実務未経験者では簿記2級以上を取得していても250~350万円、実務経験があると300~700万円程度です。
なお、1級や2級の資格取得者には資格手当がつく場合もありますが、簿記資格で期待される手当は1,000円~10,000円程度が相場なので、簿記資格取得で業務範囲を広げて昇給を考えるよりは、上級資格を取得したうえでの転職を考える方が、年収アップにつながる可能性が高いでしょう。
簿記はこんな人におすすめ
簿記は資格取得の勉強の過程で、経理・会計系の知識や経営状況を把握できる知識が身につきます。そうしたことを踏まえると、以下のような方におすすめの資格といえるでしょう。
- 資格初心者の人
- 活躍の場を広げたいビジネスパーソン
- 将来、独立開業をしたい人
- これから就職する学生の人
まとめ
いかがでしたでしょうか。簿記は企業の日々の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにするための技能です。
資格初心者の方や、将来的に独立開業を目指している方、これから就職する学生の方や、すでに働いているビジネスパーソンなど、幅広い方々におすすめの資格ですので、仕事内容や資格取得に必要な情報はぜひ確認しておきましょう。
以下の記事も併せて参考にしてみてください。
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簿記取得のメリットとは?転職を考える人にこそおすすめの簿記、その理由3選
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