宅建士は毎年20万人前後の方が受験する人気資格の一つです。宅建は不動産取引で欠かすことのできない資格として主に不動産業界で活躍できる一方、最近は不動産を取り扱う大手の金融機関や建築会社でも需要が高いなど、活躍のフィールドが広がっているのも大きな特徴です。
そこで今回は、宅建士の仕事内容や特徴などを確認し、宅建士試験の概要、資格を持つメリットなどを詳しく解説します。宅建の資格取得を検討している方、不動産業界への就職・転職を予定している方は、ご参考ください。
1.宅建士とは?
宅建士とは宅地建物取引士の略称で、単に「宅建」と呼ばれることもある国家資格です。不動産取引のエキスパートであることを証明する資格であり、司法書士や行政書士、税理士などと同様に宅建資格を保有していなければ専門の業務を行うことができない業務独占資格に該当します。
宅建資格は、不動産取引業務などにおいて重要な役割を果たします。例えば、土地や建物などの不動産取引は高額な取引となるケースが多いものの、個人の買主は情報格差によりどうしても不利な立場を強いられます。その際、物件の情報を多く持っている売主から正確な情報などが伝えられるよう、中立的な立場で取引に携わるのが宅建士に求められる役割です。
では、宅建士の主な独占業務(資格がなければできない業務)の内容を確認してみましょう。
1-1.重要事項説明
不動産の売買や賃借において、売主や貸主は、買主や借主に対して重要事項を説明する義務を負っています。これを重要事項の説明と言い、取引後にトラブルなどが発生しないように専門家である宅建士のみが行える独占業務の一つです。
1-2.重要事項説明書への記名・押印
重要事項には売買代金(賃借料)や設備の状況など数多くの情報があるため事前に書面を作成し、口頭で重要事項の説明を行います。事前に作成する書類を重要事項説明書と言い、書類に記名・押印できるのも宅建士のみとなります。
1-3.契約書への記名・押印
不動産のような高額取引では契約書を交わすのが通例であり、契約内容に漏れや法律に反する内容がないかなどを確認するのも宅建士の業務です。契約書の内容を確認し、特に問題がなければ契約書へ記名・捺印を行いますが、契約書への記名・捺印も宅建士のみが行える独占業務となっています。
2.宅建士の仕事内容・特徴
宅建士は土地や建物の売買、賃貸物件の斡旋業務などで必要となる資格です。そのため、不動産取引を主として扱う不動産業界では多くの有資格者が活躍しています。最近は、金融機関や建築会社でも直接自社で不動産を扱うことが多くなっているため、これらの業界で活躍する宅建士も増えています。
例えば、金融機関においては担保となる不動産の評価などで宅建士の知識が必要となります。また、建築会社においては建築した物件を自社で販売する際に宅建士の資格が必要になりますが、自社物件の長所などを詳しく買い手に説明できるため重宝されています。
このように、宅建士は主に不動産売買や賃貸の斡旋などの仕事において資格や知識を活かすことができるため、不動産を取り扱う企業などで宅建士資格が優遇される傾向にあります。
3.宅建士になるには?
宅建資格を取得するには、一般財団法人不動産適正取引推進機構が実施する国家試験に合格することが最初のステップとなります。その上で、宅地建物取引業における2年以上の実務経験を有すること、または国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関においての登録講習を修了することが、宅建士として登録できる条件になります。
まずは宅建士試験の概要を確認してみましょう。
3-1.受験資格と受験料
宅建士試験は年齢や学歴などに関係なく誰でも受験できる試験です。一回の受験料は7,000円となっています。
受験料は2020年7月31日時点の情報です。受験の際は、必ず最新の情報をご確認ください。
3-2.試験日程
試験は例年10月の第3日曜日に実施されており、令和2年は10月18日(日)に実施される予定です。
なお、令和2年度の宅建士試験は新型コロナウィルスの影響により試験会場の確保等が難しい都道府県が出ています。そのため、申込者が多く会場で受験者全員が受験できない場合、12月27日(日)に追加の試験日を設けて実施することが発表されています。試験日程等の詳細は、一般社団法人不動産適正取引推進機構のホームページで最新情報を確認するようにしてください。
3-3.試験の方法および試験時間
試験は4肢択一のマークシート方式となっており全50問の出題です。例年は13:00~15:00の120分間で実施されています。
3-4.試験内容
宅建業法施行規則という法律で試験範囲が決められており、民法や宅建業法などの不動産取引で必須となる法律からの出題が多い試験です。その他にも、建築基準法や農地法、地価公示法などの法律に関する問題や不動産取引にかかる税金など幅広い範囲から出題されます。
3-5.合格ラインと難易度
例年、試験は全50問中31問~37問の正解が合格ラインの目安です。過去10年の合格率は実際に試験を受けた人の約15~17%となっており、難易度の高い国家試験と言えます。
4.宅建資格を持つメリット
宅建資格を持つと不動産会社や金融機関、建築会社への就職や転職が有利になる点がメリットです。不動産の売買や賃貸の斡旋においては有資格者が必ず必要になるため、不動産を扱う企業からは資格を持っているだけで一定の評価を受けることができます。
また、宅建士は設置義務資格となっており、不動産取引などを行う宅建業者は事務所などで業務に従事する者の5分の1以上の割合の専任宅建士を設置しなければならないと宅建業法で定められています。そのため、宅建業者は必ず一定人数以上の宅建士を雇用しなければならず、労働市場において必ず一定数以上の需要があるため、宅建資格を持っていることで就職や転職が有利になります。
さらにキャリアアップを図れるのも宅建を取得するメリットの一つです。宅建士などの資格に手当を支給する企業もあるので、宅建資格を有することで年収アップなどの待遇改善が見込め、場合によっては昇進などのキャリアアップにつながることもあります。
宅建士は企業内だけに限らず、独立開業も視野に入れられる資格のため、今後の人生のキャリアアップにもつながる資格です。
5.宅建士はこういう人におすすめ!
宅建士は実用性が高い資格のため、転職を考えている方やキャリアアップを考えている方におすすめの資格です。就職市場において宅建資格は高い評価を受ける傾向にあるため就職や転職を有利に進めることができます。不動産を扱う業務などをされている方にとっては今の職場での待遇アップも期待できるので、取得することでキャリアアップにつながりやすい資格です。
また、宅建士はマンション管理士などの不動産系資格と併せることで実務の幅が広がるため、ダブルライセンスで資格を有効活用したい方にもおすすめです。特に、試験範囲が一部重複している行政書士や不動産鑑定士などは、宅建士とのダブルライセンスの相性が良く、両方の資格を取得することで独立開業なども視野に入れることができます。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は宅建士の仕事内容や試験概要などを中心に説明しました。宅建士は実用性の高い資格のため、就職や転職などのキャリア形成において有用な資格となっています。不動産業界での活躍を期待できるのはもちろんのこと、金融業界や様々な転職・キャリアップのシーンでの飛躍を後押ししてくれるでしょう。新たな資格取得を予定している方は、宅建士を候補の一つとして検討してみてください。
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