宅建士は毎年20万人前後の方が受験する人気資格です。以前は不動産業界で活躍する方々の資格というイメージが強かったものの、最近では建設業界や金融分野など様々な現場で活躍する方々も目指す資格となっており、幅広い業種で役立つ資格となっています。
そこでこの記事では、宅建士の仕事内容や宅建資格を活かせる仕事内容についてご紹介します。宅建士に興味のある方だけでなく、キャリアアップのために資格取得を考えている方なども参考にしてください。
1 宅建士とは?
宅建士は毎年20万人前後が受験する国家資格です。試験の合格率は15%前後と難しいものの、受験資格は特に定められていないため、誰でもチャレンジすることが可能な国家資格です。
以前は宅地建物取引主任者の名称で呼ばれていましたが、平成26年の宅建業法改正で宅地建物取引士(宅建士)が正式名称になりました。『士業』への名称変更により、更なる知識、能力の維持向上が求められるようになったと言われています。
宅建士の主な仕事内容は、土地や建物の売買、賃貸物件の斡旋などです。一般消費者にとって不動産取引は高額な取引となるので、宅建士は、売主や貸主の持っている物件情報を正確に伝えられるよう、中立的な立場で取引に携わることが義務付けられています。
また、最近の宅建士は、不動産会社だけでなく、建築業界や金融分野でも重宝される人材です。そのため、転職や就職などを目的として宅建資格を取得する方もいます。
さらに、宅建士資格の取得に資格手当などを支給している企業もあるので、待遇改善や将来の独立開業などキャリアアップの目的で取得を目指すことも可能です。
2 宅建士の独占業務
宅建士には宅地建物取引業法という法律で定められた以下3つの独占業務があります。これらの業務を行うことができるのは宅建士に限られるため、不動産取引の現場など重宝される理由の一つとなっています。宅建士の独占業務の内容について詳しく確認してみましょう。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書の記名・押印
- 契約書面への記名・押印
2-1 重要事項の説明
土地・建物の売買は高額取引になりやすい上、登記などの複雑な権利関係の問題も絡みます。そのため、売主は買主に対して事前に物件の重要事項を説明し、取引後のトラブルが起こらないように努めなければなりません。これを重要事項の説明と言い、宅建士の有資格者のみ行うことのできる独占業務となっています。
また、取引条件や住宅ローンなどの割賦販売に関する事項も重要事項として説明する義務があるほか、重要事項を説明する際は、宅建士証を提示した上で行い、契約の成立前に済ませる必要があります。
2-2 重要事項説明書の記名・押印
重要事項は情報量も多いため、説明の際には事前に書面を作成し、交付しなければなりません。宅地建物取引業法第35条に作成と交付が定められているため、「35条書面」とも呼ばれており、記名・押印できるのは宅建士のみです。
「35条書面」には、物件に関する登記事項や都市計画法・建築基準法に基づく制限の内容など物件に関する様々な事項のほか、代金や契約解除などの取引条件に関する事項なども盛り込まれています。
土地・建物の売買では、上記内容に関して責任の所在を明らかにする必要があるため、宅建士の独占業務となっています。
2-3 契約書面への記名・押印
土地・建物等の取引で契約書を交わす際、契約内容に漏れや法律に反するような事項などが無いかについてチェックするのも宅建士の重要な業務です。
このときの契約書は、宅地建物取引業法第37条で契約後に交付することが義務付けられた書面なので「37条書面」と呼ばれており、記名・押印できるのは宅建士のみです。
「37条書面」は契約後遅滞なく交付することが求められており、記載される内容は当事者の氏名や住所、物件の所在地や構造、代金や支払方法、引渡しの時期、移転登記の申請時期などとなります。
「37条書面」を作成し、交付することは宅地建物取引業者(不動産会社)もできますが、作成した書面には宅建士の記名・押印が必ず求められるので、重要な独占業務となっています。
3 宅建を活かせる仕事
宅建は不動産業に限らず様々な業種で必要とされる資格です。ここからは、宅建を活かせる仕事について確認してみましょう。
3-1 不動産会社
土地や建物などを取引する宅地建物取引業者は事務所ごとに5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置かなければなりません。そのため、不動産会社では規模に合わせて一定数の宅建士が必要になることから、不動産業界で特にニーズの高い資格となっています。
また、実務面でも「35条書面」や「37条書面」の作成、顧客への法律知識に基づいた的確なアドバイスができる等のメリットもあるため、不動産会社では重宝されています。
さらに、ある程度の業務経験を重ねることで将来的な独立や開業なども狙えるため、キャリアアップを図る上でも需要のある資格となっています。
3-2 建築業界
大手の建設会社では自社で設計や施工を行うだけでなく、完成した物件の販売なども行う企業もあります。一戸建て住宅やマンションの販売では、宅建業の免許が必要になるため、建築業界でも宅建資格を活かすことが可能です。
特に、自社で設計・建築した物件を販売する際、自社物件の長所や特徴を買主に詳しく説明できる宅建士は重宝されているほか、契約書のチェックを行う管理部門などでも活躍を期待されています。
3-3 銀行・信用金庫など金融関係
銀行や信用金庫などの金融機関でも宅建資格を活かした仕事が可能です。例えば、融資審査では、対象物件の担保価値評価などで宅建士の知識が役に立ちます。
最近は個人の顧客向けに不動産担保ローンを取り扱う金融機関もあるほか、大手金融機関では自社や関連会社などで不動産の活用を行っている企業もあるので、不動産に関する専門的な知識を持つ人材が求められています。
3-4 不動産管理会社
不動産管理会社とは、不動産オーナーの委託を受けて物件や入居者の管理などを行う会社です。入居者との契約や管理業務などで宅建資格が必要になるため、不動産管理会社でも宅建資格の保有者が重宝されています。
また、マンション管理業務などで必須となる国家資格のマンション管理士・管理業務主任者は、宅建資格と重なる専門知識もあるため、ダブルライセンスを目指しやすいのも特徴です。双方の資格を活かしながら、より専門的な分野で活躍することができます。
4 まとめ
宅建資格は、不動産会社だけでなく建築業界や金融関係などでも重宝されるため、転職などを考えている方にも役立つ資格の一つです。受験資格は特に定められていないため、ダブルライセンスやキャリアアップを図るときも気軽に受験できます。
合格率は15%前後と難しいですが、勉強時間と効率的な学習スケジュールを確保できれば、初めてでも一発合格を目指すことも可能なので、検討してみてください。
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