宅建士は年間受験者数20万人を超える国家資格です。円滑な不動産取引を支える専門家として、事務所への設置が義務付けられるなど安定的な需要があるほか、資格取得後はキャリアアップや独立・開業を目指せる職業として男女問わず人気があります。
この記事では宅建士の特徴や仕事内容、人気の理由について詳しく解説していきます。宅建士の仕事に関心のある方、不動産業界で活躍したい方は、参考にしてみてください。
1 宅建士とは?
宅建士(宅地建物取引士)とは、不動産売買や賃貸を円滑に行う専門家です。不動産知識に乏しい一般購入者が不動産取引を行う際に、安定的かつ公正な取引を確保するため、重要事項の説明や専門的なアドバイスを行うことができる国家資格となっています。
宅建士になるためには、毎年10月の第3日曜日に行われる宅建試験を受けて合格する必要があり、さらに2年以上の実務経験、あるいは国が実施する講習の修了をもって、都道府県知事から宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受けることができます。
不動産売買等は、本来、権利関係や事務手続きが複雑かつ高度な法律知識を要する取引です。そのため、宅建士は専門的かつ公平な立場で、買主および売主の双方に誤解が生じないよう、取引を円滑に進める事務手続き能力や、高いコミュニケーション力が求められます。
2 宅建士の資格でできる仕事
宅建士には、登録しなければ行うことができない独占業務があります。例えば、不動産売買契約や賃貸契約時における重要事項説明は、不動産取引の当事者にとって不利益とならないよう、対象不動産の権利関係や現在の状態について、宅建士が説明を行うこととなっています。
また、重要事項説明書への記名・押印や、契約内容記載書への記名・押印も宅建士のみが行える独占業務です。不動産の売買および賃貸ともに、誤解なく正確に理解してもらうような説明が求められます。
このほか、宅建士はその豊富な知識により、融資の担保となる不動産の担保価値を正確に判断することもできるため、不動産業界以外でもその能力を生かすことができます。例えば金融業界や一般企業でも不動産を投資対象として保有する場合、不動産に関する専門知識を持った宅建士がいると役立ちます。
このように、宅建士の活躍が期待されるフィールドは多岐に渡ります。
3 宅建士は独学で目指せる?
宅建試験は、例年、合格率15%前後の難関国家試験です。試験で出題される問題は以下の50問です。
- 民法等 14問
- 宅建業法 20問
- 法令上の制限 8問
- 税金その他関連知識 8問
試験内容は基本的なレベルの問題が多いものの、幅広く問われるため、合格するのに必要な勉強時間は300~350時間が目安となっています。短い人では100時間、長い人では500時間以上かかることもあります。合格までにかかる期間は、1日2時間の学習時間なら約6ヶ月を要します。
また、宅建試験では暗記に加えて理解力や計算力も問われます。ジャンルによって得意不得意があれば、学習時間の確保がさらに必要です。
1人での勉強に慣れている人は独学でも可能ですが、短期間で準備したいのであれば通信講座や資格スクールの活用が向いています。特に社会人で勉強時間の確保が難しい場合、学習スケジュールや専門テキストなども用意してくれるので、法律学習が初めての受験者でもスムーズな合格を目指せます。
また、資格スクールなどでは、生徒一人ひとりを担当スタッフがサポートしてくれるので、受験の悩みを聞いてくれたり、アドバイスをしてくれたりします。独学では挫折しがちな資格受験を全面的に支えてくれるのも強みです。
4 宅建士を他の人気資格と比較!
国家資格の種類は様々ありますが、宅建士はその中でも人気の高い資格です。受験者数や合格率、必要な学習時間について、金融機関や保険会社で活躍できる「ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)」、法律の専門家でもある「行政書士」、労務の専門家である「社会保険労務士」、税務の専門家である「税理士」と比較してみましょう。
宅建士 | FP技能士3級 | 行政書士 | 社会保険労務士 | 税理士 | |
受験者数 | 220,797人 | 31,607人 | 41,681人 | 34,845人 | 29,779人 |
合格率 | 17.0% | 86.53% | 10.7% | 6.40% | 18.1% |
勉強時間 | 300~350時間 | 80~150時間 | 800~1,000時間 | 1,000時間以上 | 1,800~2,000時間 |
(2019年または2020年の受験者数と合格率、独学での勉強時間の目安)
他の国家資格と比べて宅建士の受験者数が最も多く、社会的なニーズの高さがあらわれています。合格率はやや低いですが、必要な勉強時間は行政書士や社会保険労務士などと比べて半分以下なので、受験しやすい資格試験となっています。
5 宅建士が就職活動生にも人気の理由とは?
宅建士が就職活動生に人気の理由は以下の通りです。
- 他の国家資格よりも合格しやすい
- 不動産業界で安定した需要がある
- ほかの業界・業種でも役に立つ
- 収入面で有利になる
- 独立開業が可能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1 他の国家資格よりも合格しやすい
宅建士の合格率は15%ほどですが、合格に必要な学習時間は他の国家資格と比べて多くありません。資格を保有すれば収入面でも有利な司法試験や人気の社会保険社労士などと比べて合格率は高いほうなので、就職活動中の学生や社会人でも働きながら取得を目指せます。
5-2 不動産業界で安定した需要がある
不動産業界では宅建士の業務が不可欠であることも人気の理由として挙げられます。特に宅地建物取引業者は従業員の5人に1人は宅建士でなければならないと法律で定められています。
不動産会社に就職する際は、宅建士の資格取得を求められることもあるので、就職前に取得する学生も少なくありません。
5-3 ほかの業界・業種でも役に立つ
宅建士は不動産業界だけでなく、他の業界や業種でも活躍できる資格です。例えば、金融業界なら担保とする不動産の価値を評価する際に、宅建士の知識が役立ちます。
また、建設業界でも宅建士は活躍しています。自社で手がけた物件を販売する不動産会社などでは宅建士の在籍が必須となるため、一定の需要が見込めます。
5-4 独立・開業で高収入も狙える
宅建士の資格取得は就職や転職で有利になるほか、収入面のアップも期待できます。宅建士の平均年収はおよそ350~550万円ですが、不動産業界などで経験を積んだあとに、独立・開業することも可能です。
宅地建物取引業を開業すれば、仲介手数料がそのまま収入源となります。物件の規模や数によって得られる仲介手数料も変わってくるため、活躍次第で高収入も望めます。
さらに宅建士の資格手当を支給する会社もあります。業務内容によって金額は異なりますが、多いところでは3万円以上の資格手当が期待できるケースもあります。
6 まとめ
宅建士は専門性の高さや独占業務の存在から安定したニーズが見込める資格です。最近はコンプライアンス意識の高まりを受け、就職や転職、キャリアップに役立つほか、他業界・業種でもその活躍が期待されています。
一方、合格に必要な学習期間は約半年と他の国家資格と比べて取得しやすいのも特徴です。独学で目指すことももちろん可能ですが、働きながら学習時間を確保するのが難しい場合や、スケジュール管理などが苦手な方は、効率的に合格を目指せる資格スクールや通信講座などを検討してみてください。
なお、リンクアカデミーが運営する資格スクール大栄では、宅建士資格の勉強を初めて行う人でも効率的に合格に必要な知識を身につけられるように、独自のテキストとカリキュラムを用意しています。分からないところや、学習進捗に関する相談も講師とキャリアナビゲーターが二人三脚でしっかりとサポートするので、安心してチャレンジすることができます。
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